寄稿・連載

    2021.12.28

    地方の広告代理店が抱える課題とDXを進める3つのポイント(後編)

    DXを推進してネット広告事業に舵を切り、既存事業からの脱却を図りたい地方広告代理店。しかし情報不足や人材不足などの課題に直面し、DXを思うように進められずにいるケースが目立ちます。課題を解消するポイントはどこにあるのか。具体的な課題を提起した前編に続き、後編では、課題を解消する上で考えるべき3つのポイントを紹介します。※本記事で触れる「地方」とは、大阪と名古屋、福岡商圏を除く、首都圏以外の地域を指します。

    課題の解決策とDXを進める3つのポイント

     前回の記事(前回)で触れた通り、地方広告代理店が抱える課題の主な原因は「情報不足」です。それでは、情報不足を解消してDXを推進するにはどうしたら良いのでしょうか。ポイントは下記の3つです。

    ・良いパートナーを見つける
    ・媒体公式のWebサイトから正しい情報を収集する
    ・マスとネット広告を掛け合わせてシンプルなパッケージを作り、提案する


     それぞれのポイントを具体的に解説します。

    ポイント1. 良いパートナー会社を見つける

     広告商材のDXを進めるには、自社だけの力だけでなくパートナーの力を借りましょう。良いパートナーとは、話を聞いて、潜在的な要望を引き出してくれる存在です。例えば家を建てるとき、なるべく近くにいる大工さんを見つけて、相談しながら工事を進めるのが一般的です。同様に親身に対応してくれるパートナーを探すべきです。自社の課題を相談しながら正しい解決策を導き出せれば、自社にあったネット広告の運用体制を構築できるようになるはずです。

     パートナーは広告代理店以外でも構いません。ネット広告運用の代行実績があって信用できるフリーランスでも良いでしょう。地元でパートナーが見つからなければ、近くの大都市で探したり、地元の広告代理店の横のつながりを利用してパートナー候補を紹介してもらったりするのもおすすめです。

     インターネットでパートナーを探す場合、「ネット広告 運用代行 地域名」とシンプルに検索してみましょう。その上で複数のパートナー候補企業から話を聞くことが大切です。道のりは地道ですが、心強いパートナーと出会うためにも、「自社の課題を一緒に考えてくれるかどうか」を大切にしていただきたいと筆者は考えます。

     ネット広告の提案や運用を支援するサービス、広告運用に活用できる便利なツールを提供する会社に相談するのも有効です。多くの広告代理店の課題解決に乗り出すツール開発・提供会社から正しい情報を学び、ネット広告を効果的に運用するノウハウを社内に蓄積すれば、ネット広告に対する世代間の隔たりを取り払い、社員一丸となって取り組める環境改善も見込めます。ツールを徹底活用することで、マンパワー不足を解消しながら組織体制も構築できるようになるでしょう。

    ポイント2. 媒体のWebサイトから正しい情報を収集する

     情報収集を行う際、まずインターネットで検索する人が多いと思います。しかし、インターネット上には正しい情報だけでなく、誤った情報も多く存在します。さらに、ネット広告は進化が早く常に情報がアップデートしているため、正しい情報を見極めることが不可欠です。

     インターネットを活用して正しい情報を収集するには、まず各広告媒体のWebサイトでネット広告に関するページを読んでおくことをおすすめします。主なネット広告媒体は以下の通りです。
    ■Yahoo!広告
    https://ads-promo.yahoo.co.jp/

    ■Google広告
    https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/

    ■Facebook広告/Instagram広告
    https://www.facebook.com/business
     これらの“正しい情報”を正確に理解することが大切です。不明点があれば問い合わせるなどして理解を深めることも重要です。こうして何が正しいのか、何が誤っているのかを判断できるスキルを養うべきです。なお、媒体のWebサイトには、それぞれの広告媒体の特徴や広告を作成する手順などが掲載さえています。まずは、これらの情報を徹底的に理解しましょう。

    ポイント3. マス広告とネット広告を掛け合わせてシンプルなパッケージを提案する

     ネット広告単体ではなく、マス広告とネット広告を掛け合わせたシンプルなパッケージ商品づくりも、DX推進には見逃せないポイントです。

     マス広告とネット広告は両輪であり、どちらかをやれば良いという訳ではありません。マス広告にはマス広告の良さがあり、ネット広告にはネット広告の良さがあります。マス広告とネット広告がしっかりと補完関係にある形で運用すれば、効果を最大化できます。

     例えば、既存のマス広告商材にネット広告を加えたオプションをパッケージにして提案すると、顧客(広告主)は具体的な広告展開や効果、課題などをイメージしやすくなります。顧客側だけでなく「ネット広告は手間がかかり提案が難しい、たくさん勉強しなくては提案できない」というイメージを持つ営業担当者にとっても、既存の広告商材を中心としたパッケージサービスであれば提案しやすくなるというメリットがあります。

     マス広告とネット広告を掛け合わせたパッケージを提案する際は、初めから高度なことを望むべきではありません。少額の予算でできる範囲のことをシンプルに提案しましょう。小さな予算で始めれば、成果に対する期待値も小さく済むので取り組みやすくなります。

     もっとも、ネット広告を始めたからといって成果はすぐに出ません。小さな予算では大きな成果を得ることも難しいでしょう。予算を段階的に上げながら、より大きな成果を出せるように顧客(広告主)への提案を継続して取り組むのが望ましいでしょう。

    まとめ

     冒頭で伝えた通り、地方の広告代理店がDXを推進するには、良いパートナーの力を借りるのが一番の解決策です。しかし、ネット広告媒体の公式情報を収集して学んだり、自社の強みであるマス広告商材を活かすパッケージサービスを作ったりするなど、自社の力だけでも進められる部分もあります。まずは、できる範囲でネット広告を取り入れるのが望ましいでしょう。

     一方、ツールやツールを提供するITベンダーの力を借りることも検討すべきです。ツールの開発・提供企業から正しい情報を得ることで、ネット広告を効率的に運用しやすくなります。

     ネット広告を効果的に運用できる組織体制を整えれば、ネット広告に精通する人材を新たに採用しなくても顧客(広告主)の期待に応えられるようになります。本記事で紹介した「媒体のWebサイトからの情報収集のポイント」や「マス広告とネット広告を掛け合わせたシンプルパッケージの提供」などを参考にしながら、自社のDX推進に役立ててみてください。
    筆者プロフィール
    SO Technologies株式会社 執行役員
    荒木 央
    2006年、リスティング広告の草分けであるオーバーチュア株式会社へ入社。大手Web専業広告会社の営業に従事。2013年、株式会社オムニバスに入社。当時最先端の海外製のDSPや動画DSPの拡販を行う。2016年、サーチライフ(現SO Technologies)へ入社。ソーシャメディアの仕入~運用代行~レポーティングを一括支援するパッケージサービスの開発と営業責任者、運用代行本部の本部長を経て、2018年より取締役に着任。2019年7月の社名変更時より現職。
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