寄稿・連載

    2022.07.07

    買い手の立場になって消費行動の変化に追随せよ【鈴木敏文のCX(顧客体験)入門 Vol.1】

    コロナの影響で大きく変化した消費行動。売り手となる小売業は、変化をどう受け止め、モノを売っていかなければならないのか。ここでは、「セブン‐イレブン・ジャパン」を創設したセブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文氏の著書「鈴木敏文のCX(顧客体験)入門」の内容をもとに、変化の捉え方を考察します。

    消費行動の転換を強く認識せよ

     新型コロナウイルス感染症は私たちの暮らしを大きく変えました。企業においては既存事業の見直しを迫られ、これまでの事業モデルや考え方に固執しないビジネスシフトが強く求められるようになりました。

     とりわけ小売業は、人々の消費行動が様変わりしたのに伴い、接客、販売、流通などのすべての工程で新たな方法を模索する必要性に迫られています。

     では、新たな方法を模索しない小売業はどうなるのか。

     「セブン‐イレブン・ジャパン」を創設したセブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文氏は、著書「鈴木敏文のCX(顧客体験)入門」の中で、次のように述べています。
    かつてない消費市場の大転換。売り手に求められるのは、その変化にいかに対応するかです。変化に対応できる売り手のみが成長し、できない売り手は退出を余儀なくされていくでしょう。
    via プレジデント社「鈴木敏文のCX(顧客体験)入門」
     リモートワークの定着により、人の活動量や消費は減少することになるでしょう。一方で、リモートワークによって人々の自由時間は増えることになります。こうした時間配分の変化をどう読み取るか。小売業は新型コロナウイルス感染症のまん延を機に、消費者の変化を強く認識させられることになったのです。もし強く認識しないとどうなるのか。鈴木敏文氏は著書で、消費行動の変化を読み取らなければ生き残れないことを強く訴えています。

    「独自性」が商品・サービスの新たな価値に

     「脱・時間節約型消費」。鈴木敏文氏の著書では、消費行動を示すキーワードの1つとしてこの言葉が使われています。

     日本ではこれまで、忙しい人の暮らしを手助けする商品やサービスが数多く登場してきました。掃除や料理などの家事に費やす時間を減らし、自由時間を少しでも増やせるようにすることに主眼が置かれてきたのです。

     しかし今、こうした考えは必ずしも当てはまらなくなっています。ポストコロナ社会でも、時間の節約はこれまで通り必要でしょう。ただし一方で、空いた時間を使った「独自性」が求められるようになっています。商品やサービスで言えば、時間を節約するという価値ではなく、独自性を出したものへと価値が変わりつつあるのです。

     例えるなら、パンケーキを買って時短するのではなく、小麦粉やバターを購入してパンケーキをつくるという独自の体験に価値があるということです。つまり、モノそのものに価値を見い出すのではなく、体験という「コト」に価値を見出す時代になったと言えます。モノを売ってきた小売業は、コトを売る時代へのシフトしているのです。

    DXマガジン総編集長 鈴木康弘が捉える「顧客体験(CX)」とは? 

    「小売業は変化対応業だ!」

     私がセブン&アイHLDGS.に籍を置いていたとき、鈴木元会長から何度もこの言葉を聞かされました。セブン-イレブンは、消費者は常に新しいもの、便利なものを求めるニーズに対応して業績を伸ばし続けてきました。これは顧客体験(CX)を常に進化し続けてきたからです。

     現在ではネットの普及に伴い消費者はあらゆる情報を得られるようになり、消費者のニーズは大きく変わると同時に多様化しています。多くの企業では新しい顧客体験(CX)への取り組みが始まっていますが、今こそ鈴木氏の変化対応の考え方を知ることが、新しいCXを考える上で大きなヒントになると思います。
    via DXマガジン総編集長 鈴木康弘
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    information
    書名
    鈴木敏文のCX(顧客体験)入門
    著者 鈴木敏文 取材・構成:勝見明
    出版社 プレジデント社
    発売日 2022年5月31日
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