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インタビュー

人手不足・多言語対応…その顧客対応、AIで変えられる?CM.comが日本企業に示すAIと顧客エンゲージメントの未来

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メッセージサービスから発展したグローバルエンゲージメントプラットフォーム企業のCM.com。WhatsAppやSMSなどを一元管理するMSCを提供し、近年は「AIファースト」を掲げています。日本企業のどんな課題と向き合い、解決へと導くのか。日本市場向けにどんな事業を打ち出すのか。さらにAIを駆使することで顧客にどんな価値をもたらすのか。CM.comのインターナショナル・ゼネラル・マネージャーのホッドニー・ベナッジ氏と、テクニカルコンサルタントのユープ・ブーセンバーク氏、そしてカントリーマネージャーの中藤丹菜氏に話を聞きました。


――CM.comはどのようなきっかけで立ち上がり、どんな課題を解決しようとしてきた企業でしょうか?

ベナッジ:当社は、オランダ出身の2人の創業者が立ち上げた企業です。当初は迅速に企業がユーザーや顧客にSMS(ショートメッセージサービス)を提供できるプラットフォームを提供する会社、CMテレコムとして始まりましたが、他社の買収も積極的に行い、様々な異なる技術を統合し、企業がユーザーや顧客とのコミュニケーションをさまざまなチャネルを使って一つのプラットフォームで対応できるサービスの提供を実現し、現在のCM.comへと発展を遂げました。

CM.com株式会社 インターナショナル・ゼネラル・マネージャー ホッドニー・ベナッジ氏

ベナッジ:私がCM.comに参画したのは約7年前のことですが、その頃、当社は自社製品や買収したサービスなどさまざまなサービスが独立に複数存在しており、バラバラだった製品を「CM製品」という1つの大きなプラットフォームに統合しようと動き始めた時期でした。例えば、SMS送信と Eメール送信、CDPのために別々の契約を結ぶのではなく、CMのサービス一つでSMS、Eメール、CDP、その他のコミュニケーション機能を利用できるようにすることで、製品全体に統一性をもたらしました。複数の独立した製品を組み合わせることで、運用時の手間を省き、顧客の業務効率を上げ、利用の簡易化を実現し、それぞれのサービスを単独で利用する以上の価値を生み出すことができました。

CM.comは25年以上にわたり、常に技術の最先端を走り続けることを企業理念としています。そのために、毎年利益を技術開発に再投資し、社内に大規模な開発チームを抱えることで、明日の技術を自社で開発しているのです。私たちは他社の追随者ではなく、常に先駆者であろうとしています。この方針は、顧客が新しいテクノロジーを最初に導入したいと考えた際に、当社が常にそのニーズに応えられるという自信にも繋がっています。

――CM.comとして提供しているサービスの中で、特に強みとされているものはどれでしょうか?

ユープ:最大の強みは、企業がエンドユーザーと対話するための「グローバルエンゲージメントプラットフォーム」を提供している点です。このプラットフォームは、Mobile Service Cloud(MSC)という単一の管理画面で、WhatsApp、Eメール、RCSといった多様なコミュニケーションチャネルでの双方向コミュニケーションを一元的に実施管理することを可能にします。これにより、顧客は様々なチャネルを別々に管理する手間なく、一つの環境で全ての顧客対応を行うことができます。例えば、WhatsAppチャネルから入る問い合わせも、MSCの受信トレイに集約され、対応状況の把握や担当者への割り当てが容易になります。

特に近年では、AI技術の活用を強く推進しており、当社のプラットフォームは「AIファースト」を掲げています。例えば、MSCにもAIの技術を活用し、自動翻訳機能サービスが搭載されました。顧客は自然言語で商品・サービスに関する質問をすることができます。企業側も同様にMSCの管理画面から担当者が使用している言語を使って返信ができます。この機能により言語に依存しないコミュニケーションの実現が可能になりました。

CM.com株式会社 テクニカルコンサルタント ユープ・ビューゼンベルク氏

ユープ:使い方も非常に簡単です。MSCの管理画面で担当者が自分の言語を設定します。顧客が問い合わせをすると、顧客の使用言語をAIが自動で判別し、元の言語と担当者の設定した言語を同時に表示します。返信する際は、担当者の言語で返信をすると、AIが自動検知した顧客の言語で返信され、両方の言語で返信記録が残ります。

さらに、より高度なAIサービスの「Halo」の日本でのリリースも予定してます。企業が自ら開発することなく、AIを活用して顧客とコミュニケーションを取ることができるツールです。

ーーA Iプロダクトを日本で展開するにあたって特徴はありますか。

中藤: 日本では使い方がシンプルなサービスが好まれます。そのため日本ではHaloの機能の一部を切り取りパッケージ化したよりシンプルなサービスの提供も予定しています。高度な機能を持つHaloに対し、知識の抽出と出力に特化したサービスです。ユーザーに提供したい情報を企業側がPDFやURLでアップロードするだけでAIがその中から適切な情報を出力します。使い方ガイドやマニュアルの質問窓口をサポートスタッフの代わりに、チャット形式で対応するような使い方が簡単に実現できます。AIをより手軽に導入したい企業にとっての選択肢となります。

CM.com Japan株式会社  カントリーマネージャー 中藤丹菜氏

中藤: さらに日本市場での展開において最も重要だと感じているのは、「プロダクトをそのままプロダクトとして出すだけでは売れない」という点です。日本の顧客に受け入れられるためには、製品に「ストーリー」を持たせ、どのように使うことで課題が解決できるのか、具体的なイメージを持ってもらうことが不可欠です。例えば、「MSC」とそのまま紹介するのではなく、「インバウンド事業者向けの問い合わせ対応ツール」というように、そのメリットを明確に伝える見せ方を工夫しています。これは、オランダで「最高」と評価されるものが、必ずしも日本で「最高」ではないという文化的な違いに適応するためのローカライズ戦略の一環です。UI/UXにおいても、海外では丸みを帯びたデザインが多い一方、日本では四角いデザインに慣れているといった細かな違いにも対応するよう努めています。

ーーWhatsAppを中心とした海外のコミュニケーション文化について、日本の企業が知っておくべきことはありますか?

ベナッジ:日本の企業が海外のコミュニケーション文化、特にWhatsAppを中心としたメッセージング文化について知っておくべきことはいくつかあります。まず、WhatsAppはインド、メキシコ、ブラジル、インドネシア、東南アジア、そして米国など、世界の多くの地域でビジネスにおける主要なコミュニケーションチャネルとして広く普及しています。しかし、日本は他のメッセージングアプリが普及している関係で、WhatsAppの浸透率が他国に比べて低いのが現状です。外国人観光客や海外ビジネスパーソンにとって、WhatsAppは日常的な連絡手段であるため、日本企業がインバウンド顧客と効果的にコミュニケーションを取るためには、このツールの企業版サービス「WhatsApp Business Platform」の活用が不可欠となります。

次に、日本のビジネス文化や顧客対応の慣習が、海外では必ずしも通用しないという認識を持つことが重要です。例えば、日本人はテストの成績は良いものの、実際の英会話でのコミュニケーションに課題を抱える傾向があり、これが海外の人々との深い交流を制限している側面もあります。企業がグローバルビジネスを展開する上で、このコミュニケーションの壁は大きな課題となり得ます。また、製品やサービスの「見せ方」においても、日本のデザインやUI/UXの好みは海外と異なることが多いため、単に製品をそのまま提供するのではなく、現地の文化や習慣に合わせてローカライズする視点が求められます。

当社が日本市場に参入した際も、プラットフォームをオランダ語や英語だけでなく、完全に日本語に対応させるという大きな挑戦がありました。これは、誰もが英語を理解するわけではないという世界の現実に対応するためです。例えば、英語のフォームでは「Name」と一言で済むところが、日本語では「どのボックスに何を記入すべきか」をフルセンテンスで説明する必要があるなど、言語の背後にある文化的な思考プロセスも考慮しなければなりません。 このように、日本の企業が海外の顧客と効果的にビジネスを行うためには、まず彼らが利用しているコミュニケーションツール(WhatsAppなど)に対応すること。そして、自社のスタンダードに固執せず、現地の文化やトレンドに柔軟に適応する姿勢を持つことが極めて重要です。当社の顧客である銀座の時計店様がWhatsApp Business Platformを導入されたのも、海外のお客様から「WhatsAppでやり取りできないか」という要望があったことがきっかけであり、来店客の6割が海外の方という現状に即した最適な選択だったと言えます。彼らの事例は、日本の企業がグローバルな顧客層を取り込むために、海外のコミュニケーション文化に寄り添うことの重要性を示唆しています。

ーー今後、日本市場においてCM.comとして提供していきたい価値や方向性は?

中藤:今後、日本市場においてCM.comが提供していきたい最大の価値は、AI技術を活用した企業の効率性向上と人材不足の解消です。現在、AIマーケットは大きく拡大しており、人間が行うことのできる業務をAIに代替させることで、リソース不足の課題を解決し、コスト削減に貢献できると強く感じています。AIは24時間365日稼働することが可能であり、これは人間には不可能なことです。当社のAIサービスは、開発コストや時間をかけずに導入できるよう設計されており、使いやすさも大きな特徴です。

例えば、「Halo」は採用プロセスにおいて転職エージェントのように機能し、候補者のスコアリングや推薦、さらには面接日程の調整までを自動で行うことができます。また、AIをより簡単に利用できるパッケージサービスでは、商品やサービスの使い方に関する質問をチャット形式でマニュアルの代わりにお客様からの問い合わせにチャット形式で回答するといった、知識ベースの簡単なAI活用を可能にします。これにより、企業のサポート担当者の業務効率化や負担軽減に貢献できます。私たちは、顧客の「自動化したい」「人手が足りない」「コストを抑えたい」といった具体的な課題や要望からAI導入をスタートさせることを推奨しています。

これらのAIサービスは、特に費用対効果が高いと見込まれる業界、例えば人材紹介業や不動産業といった、大きな利益を生み出す企業にとってのアーリーアダプターとして非常に有効であると考えています。まずは社内で弊社のAIシステムを活用し、効率性と確実性の向上に役立てることで、その効果を実証していく計画です。

また、弊社のAIプロダクトは複雑な開発が不要であることも革新的です。ノーコードで将来的には、日本の市場がさらにグローバル化を理解し、国際的なビジネス文化に適応する中で、CM.comがそのプロセスを支援していきたいと考えています。我々は、ただ製品を提供するだけでなく、日本の顧客が当社のプラットフォームを100%活用し、顧客コミュニケーションの深化、そして最終的な売上・顧客満足度向上に繋がるよう、共に歩んでいきたいと願っています。私たちは、日本が当社のビジネスにおいて、中国や米国と並ぶトップ3~4カ国の一つになることを目指しています。そのためには市場の理解に時間がかかりますが、日本市場の成長に大きく貢献できると信じています。

CM.comJapan株式会社
https://www.cm.com/

MSC
https://www.cm.com/ja-jp/mobile-service-cloud/

WhatsApp Business Platfom
https://www.cm.com/ja-jp/whatsapp/

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