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インタビュー

データ活用は段階的に高度化せよ、踏みとどまらずデータから価値創出する姿勢が重要

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多くの企業が喫緊の課題ととらえる「データ活用」。収集できない、分析できない、利用できる人材がいないなどのさまざまな課題が山積する中、包括的な取り組みで企業のデータ活用・分析を支援しているのがINSIGHT LABです。同社が提供するデータソリューションプラットフォーム「TERASU」の強みとは。高度なデータ活用を目指すためのポイントとは。INSIGHT LAB 取締役副社長COOの佐藤良彦氏と、セールスマーケティング本部 部長の梶原剛彦氏に聞きました。

データ収集・分析すら不十分な現状

―INSIGHT LABの事業内容を教えてください。 佐藤:当社は「データ」を中心としたビジネスを展開しています。「ビッグデータを活用し、より豊かな社会を創る」をミッションに掲げ、企業のデータ分析や活用を支援しています。現在の社員数は70名で、そのうち半数以上がデータマネジメントのエンジニアという技術者集団です。  目指すべきは「データの民主化」です。ITスキルや分析スキル、部署、役職などにとらわれず、誰でも必要なデータを集めたり、分析したりできる環境構築を支援できればと考えています。  極論かもしれませんが、既存のBIツールなどを活用し永続的にデータ利活用をするモデルと並行して利用シチュエーションによっては、データを可視化するダッシュボードさえ不要にし、人がAIに問いかけたら自動で分析結果を教えてくれる、その結果に基づき意思決定できる、そんな世界を見据えています。 ―企業のデータ活用は長年叫ばれているものの、まだ進んでいないように思います。企業はデータを活用する上でどんな課題を抱えているのでしょうか? 佐藤:1つはデータが不足していること。現在保有するデータだけでは分析が不十分で、確度の高い施策や意思決定に結び付けられない。そこで、より多くのデータを集めようとする企業が少なくありません。サードパーティのデータを購入するケースや、新たなデータを収集する仕組みを設計してほしいと当社に依頼してくるケースもあります。  データが散在しているのも課題です。いろいろなデータを保有するものの、社内外のあちこちにデータを保存しているため利活用できない企業は多いですね。これでは分析すらままならない。そこで、データを分析するための前段階として、散在するデータを一元管理するデータ収集・管理基盤の構築を検討する企業は多いと感じます。 ―データを収集・分析できたとしても、それを活かせないという課題もあるのでしょうか? 佐藤:はい。例えば、データを分析してBIツールで可視化しても、そこから経営に活かすアイデアを模索できない、知見を得られないという問題もあります。データをどう読み解けばいいのか分からないという経営者は少なくないですね。経営者に限らず、データを業務に活かせる人材がいないのは、多くの企業共通の課題ですね。  これまでは、データの分析やどんな兆候が見られるのかなどの推察を外部のコンサルタントなどに手伝ってもらうケースが多かった。しかし最近は、社内でデータを分析・推察し、各種施策やマーケティング活動などを早期展開できる体制を構築しようとする動きが目立ちます。データの収集・分析をすでに実践する企業の中には、次のステップとして内製化するための人材確保や組織整備を進める動きが見られますね。

段階的なデータ活用を見据えた青写真を描け

―データの利活用を支援する御社は、具体的などんな支援サービスを提供しているのでしょうか? 佐藤:データ活用における企業のさまざまな課題を解決するための基盤「データソリューションプラットフォーム TERASU」を用意します。「データ分析基盤」「データビジュアライゼーション」「AI」「DX」の4つのセグメントで構成し、企業の課題に応じた各種ソリューションを提供できるようにしています。
図1:4つのセグメントで構成するデータソリューションプ...

図1:4つのセグメントで構成するデータソリューションプラットフォーム「TERASU」

 例えば、散在するデータを一元管理したいという課題なら「データ分析基盤」、データを経営に役立つ情報として可視化したいという課題なら「データビジュアライゼーション」といったように、適材適所なソリューションを提供します。データ活用するための上流の考え方から現場の利活用促進までを包括的に支援するプラットフォームと位置付けます。 ―4つのセグメントをもう少し詳しく教えてください。 佐藤:「データ分析基盤」は、データ分析に必要な点在データを統合し、柔軟にデータを分析・活用できるようにするための基盤構築サービスです。データを用意する準備段階から手伝ってほしいという企業に向きます。当社では「MatoMeru(マトメル)」と呼ぶソリューション名で展開しています。
図2:「MatoMeru」サービス全体概要図

図2:「MatoMeru」サービス全体概要図

 「データビジュアライゼーション」は、複数のBIツールの中から、顧客のニーズに応じた最適なものを使って環境構築を支援するサービスです。さまざまなデータ活用方法を参考にしながら、データ主導型の経営を目指したいと考える企業に向きます。当社では「KizuKi(キヅキ)」と呼ぶソリューション名で展開しています。
図3:KizuKiサービスで提供する分析プラットフォーム例

図3:KizuKiサービスで提供する分析プラットフォーム例

 「AI」は、MatoMeruやKizuKiだけでは解決するのが難しい課題を、機械学習手法や統計的手法をプラスすることで解決する支援サービスです。最新の人工知能を使って潜在的な問題発見も支援します。大量のデータを保有するが、AIや機械学習のスキルやノウハウがなく活用できないといった企業に向きます。当社では「+One(プラスワン)」と呼ぶソリューション名で展開しています。  「DX」は、業務上のさまざまなコミュニケーション課題を解決するためのIT導入を支援するサービスです。ZoomやSlackを使ってコミュニケーション環境を構築するなど、主にITツールの導入を支援します。IT導入をきっかけに業務を効率化したい、生産性を高めたいと考える企業に向きます。当社では「KakeDashi(カケダシ)」と呼ぶソリューション名で展開しています。 ―企業がプラットフォームを利用するメリットは何でしょうか? 佐藤:データ活用といっても、企業が抱える課題はさまざまです。オンプレミスのデータ管理基盤をクラウド化したい、基幹システムのデータを転送するETLツールを用意したい、データ分析を高速処理するシステムを構築したいなど、企業ごとに要求は異なります。こうしたさまざまな課題を柔軟に解決できるのがプラットフォームのメリットです。  用途に応じたITツールを提供できるのが最大の強みです。特定ベンダーの特定ツールのみを用意せず、状況や課題に応じたITツールを豊富にそろえます。例えば「データ分析基盤」のMatoMeruには、クラウドデータプラットフォームであるsnowflakeをメインに、 Arm Treasure DataのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)、ETLとしてembulkやCDataなど、「データビジュアライゼーション」のKizuKiには、Qlikや Tableau 、Sisenseなどといったように、最適なITツールを選択利用できます。  もちろん、ITツールの導入を支援して終わりではありません。各分野のプロフェッショナルが課題解決に最適なITツールの選定や導入後の支援もします。保有するデータをどう整理・管理すべきかのアドバイスや、データを経営指標として使えるようになるまでサポートするカスタマーサクセスも含めてワンストップで提供するのも特徴です。企業がデータを使って売上向上やコスト削減、利益改善などの具体的な効果を上げるまで支援します。 ―4つのセグメントをプラットフォームとして1つに集約した意図は何でしょうか? 佐藤:データ活用の取り組みは、段階を踏んで高度化することが大切です。データ収集・管理基盤を構築したら、次のステップはデータの可視化、さらにその先にはAIやRPAを駆使して業務の一部を自動化することも見込めます。眼前の課題がデータ収集基盤の構築だからといって、データ収集基盤を構築して終わりでは企業のデータ活用は加速しません。  データを活用するなら、次のステップ、さらにその先を見据えた青写真を描くことが極めて重要です。そんな青写真を描きやすくするため、セグメントとセグメントを連携して次のデータ活用の姿を模索できるようにするのがプラットフォームのビジョンです。当社には各セグメントに精通するスペシャリストが多数います。スペシャリスト同士が密に連携することで、次のデータ活用の姿を提案したり、構築するために必要な取り組みをアドバイスしたりできるようにしています。常にデータの高度な活用を見据えた提案・支援をできるのがプラットフォームの特徴であり、当社の強みでもあります。

データ収集基盤構築からRPA活用まで踏み込んだ事例も

―プラットフォームを提供開始してまだ間もない時期ですが、すでに導入して効果を高めている企業はありますか? 梶原:もともと「データ分析基盤」のMatoMeruを利用していた企業が、現在はRPAを使ったデータ活用の高度化に取り組んでいるという事例があります。  その企業はクロスメディアや動画配信などのメディア事業を展開する会社で、CMSや広告管理プラットフォームなどから番組視聴率、動画再生数、アプリケーションダウンロード数、広告クリック数、各種ログなどを収集したDWHを構築し、これらの状況をBIツールで可視化できるようにしています。もともと当社がDWHを構築したあと、次のステップとしてBIツール導入を検討してもらっていましたが、実はBIツールは他社が導入を支援することになったのです。しかし、さらにその先のデータ活用を見据えたとき、データの構成や管理、運用法などを熟知しているのが当社ではないかという意見が社内に出たそうで、再びBIツールの運用から支援することになりました。その後、さらなるデータ活用を検討し始め、そこでRPAを使った業務効率化に踏み出すことになりました。  具体的には、データの分析結果を関係者に通知する作業を、RPAを使って自動化しました。番組放送後の視聴率やSNSの反応などをまとめたレポートを関係者に週1回メールする作業と、広告の進捗状況などをまとめたレポートを広告主に毎日報告する作業の2つを自動化しました。BIツール画面上の任意の数値情報などを自動で読み取ることで、これまでBIツールの画面を見ながら作成していたレポート作業の工数を削減しました。  局所的なITツール導入で終わらせず、データ活用を段階的に高度化させた、まさにプラットフォームのビジョンを具現化した事例ですね。

人材育成に主眼を置いた情報提供も

―データの利活用促進に向け、今後はどんな取り組みに注力していきますか? 佐藤:データ活用や分析は、今注目のDXを推進する上で不可欠の取り組みです。しかしITツールを導入すれば済む話ではありません。データを使いこなす人材育成こそが重要だと考えます。そこで当社は今後、人材育成を支援する情報発信や、デジタル人材が集まるコミュニティなど、データ活用を軸にした副次的なエコシステムの構築に携われればと思います。  すでに、BIやRPAなどのツールを活用する上で役立つナレッジやスキルをまとめたサイトを展開し、ツールの利用と定着に取り組んでいます。今後は各サイトの内容の拡充とともに、新たなサイトの展開も視野に入れます。  研修サービスにも乗り出しています。「Data × Analytics Dojo」と呼ぶデータ分析に特化したオンライントレーニングを用意し、企業のデータサイエンティスト育成を支援しています。「Tableau入門コース」や「SQL基礎コース」「Python基礎コース」など、最短2日から受講できるコースをそろえています。  企業にとって「データ」の価値は高まる一方です。しかし「分からない」といって手をこまねいているだけでは競合他社に一気に乗り遅れてしまいかねない。当社はこうした企業と手を取り合い、一緒に課題を解決していきたいと考えます。データを活用できなかった企業が、先進的で高度なデータ活用に踏み出す…。そんなゴールを見据える企業の一助に当社が携われればうれしいですね。
INSIGHT LAB
https://www.insight-lab.co.jp/ データソリューションプラットフォーム「TERASU」製品紹介ページ
https://solution.insight-lab.co.jp/ データ活用研究所 データ活用に役立つ情報配信しています。
https://knowledge.insight-lab.co.jp/bi Twitterでも情報発信中
https://twitter.com/insightlab_inc

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