アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のIoT/OT機器運用監視サービス市場規模の推移および予測を発表しました。この市場は、工場や物流センターなどにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴い、急速な成長を遂げています。
2023年度のIoT/OT機器運用監視サービス市場の売上金額は7億5,000万円となり、前年度比で70.5%増加しました。この急成長は、OT(Operational Technology)機器が従来の独立した環境からインターネット接続を伴うオープンシステムに移行し、IoT機器の普及が進んだことによるものです。これにより、サイバー攻撃によるデータ改ざんや乗っ取りなどのセキュリティインシデントが増加し、運用監視やセキュリティ対策の重要性が高まっています。この市場の成長は今後も継続する見込みで、2024年度には売上金額が前年比64.0%増と予測されています。さらに、2023年度から2028年度にかけての年平均成長率(CAGR)は37.6%とされており、2028年度には市場規模が37億円に達すると見込まれています。
過去、工場や研究所、物流センターなどでは、システムが社内ネットワークやインターネットから切り離された形で運用されており、情報セキュリティの優先度は比較的低いものでした。しかし、現場のリアルタイムデータを迅速に取得し、意思決定や業務改善に活かしたいというニーズが高まったことから、外部接続が進んでいます。
ただし、これらのシステムは当初からセキュリティを考慮した設計ではないため、外部接続によるサイバーリスクへの対応が急務となっています。ITRのコンサルティング・フェローである藤俊満氏は、以下のようにコメントしています。「外部接続へのニーズが高まり続ける中で、IoT/OT機器運用監視サービス市場は大きな成長を遂げるでしょう。サイバー攻撃への対応を含む包括的なセキュリティ監視が求められる中、この市場の発展は企業の意思決定や業務改善を支える重要な役割を果たすと考えられます。」
今後、IoT/OT機器の外部接続が進むにつれて、セキュリティ監視サービスの需要はさらに増加し、より高度な運用監視技術が求められることが予想されます。この市場の拡大は、デジタル化による新たな価値創出を支える重要な柱となるでしょう。
レポート/DXマガジン編集部折川