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DXを止めるのは「技術」ではなく「人」 2025年の崖、越えられたのは7%

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株式会社SmartHRは2025年10月23日、従業員数51名以上の企業に勤め、情報システム系業務に従事している担当者・経営者を対象に「『2025年の崖』総括とDXに関する実態調査」を実施したと発表しました。調査結果によると、“崖を完全に乗り越えられた”と回答した企業はわずか7%にとどまり、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進において依然として大きな壁が存在していることが明らかになりました。

「2025年の崖」に立ち向かう企業の現状

この調査ではまず、「『2025年の崖』(旧来の基幹システムを刷新せずDXが進まないと、日本の企業競争力が低下するという課題)への対応状況」を質問。「完全に乗り越えられた」と回答した企業は7%、「ほぼ乗り越えられたが一部に課題が残る」が34%で、合計41%が“乗り越えつつある”という認識を示しました。一方で「深刻な課題を抱えている」「事業に深刻な影響が出ている」企業は40%にものぼるという結果でした。

乗り越えられない主な要因は「人材の不足」

調査では、「崖を乗り越えられた企業が想定する要因」と「乗り越えられていない企業が想定する障壁」も明らかになっています。乗り越えられた要因としては、「クラウドサービス(SaaS)への移行」が38%で最多となりました。
一方、乗り越えられていない要因では「DXを推進する人材が不足している」が48%と最も多く、ITインフラの刷新以前に“人材・組織体制”の課題が浮き彫りになりました。

DXの目的に偏り、真の変革には至らず

さらに、企業のDXにおける目的を尋ねたところ、最も多かった回答は「既存業務の効率化」で59%、続いて「コスト削減」が55%でした。一方で、DX本来の意義とされる「ビジネスモデルの変革・創造」を目的とする企業はわずか7%にとどまり、多くは“守り”のDXにとどまっている実態が浮かび上がっています。

部門連携の重要性が76%、しかし壁も

DX推進に関連して「人事部門」と「情報システム部門」の連携の重要性を問う設問では、76%の企業が「非常に重要/やや重要」と回答しました。 ただし具体的な連携運用においては、「人事部門の情報開示が遅い」「部門間でデータ使用の理解が不足している」など、データ連携と相互理解を妨げる課題も多く挙げられています。

経営層・管理職に向けたインパクトと今後の示唆

この結果は、経営層・管理職にとって「DXは始まったが、脱却できていない」という危機感を明確に示すものです。とりわけ、IT・システム刷新だけでなく「人材育成」「組織体制」「部門横断のデータ活用」が攻めのDXを実現する鍵となりそうです。SmartHRは、12月2日には本調査をテーマにしたディスカッションセミナーを開催予定としており、今後は“守り”から“攻め”への転換を図る企業の動きに注目が集まりそうです。

DXはもはや新規プロジェクトではなく、企業にとっての“持続可能な変革”を問う時代に突入しています。今回の調査は、その現状と課題を明らかにしており、経営層・管理職が今すぐ取り組むべき視点を提示しています。
今後、自社のDXにおいてどの位置にいるのか—この“7%の壁”を越えられるかを問われる時が来ています。

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