イオンフィナンシャルサービス株式会社は、2025年度第2四半期(2025年9月期)において、スマートフォンを起点とした金融・決済サービスの利用者基盤が拡大し、「有効ID数」が5,724万人に達したと発表しました。これは期首から152万人の増加となり、前年同期比でも大幅な伸びを示しています。同社は「スマートフォンを起点とした顧客基盤の拡大が、取扱高および債権残高の増加に寄与した」と説明しており、デジタルを中心とした金融サービスの拡充が確実に成果を上げていることがうかがえます。
イオンフィナンシャルサービスが公表しているIR資料によると、「有効ID数」とは同社およびグループ各社が提供するサービスを実際に利用している顧客のID数を指します。単なるアプリのダウンロード数や会員登録数ではなく、何らかの金融・決済サービスの利用実績を持つユーザーを示しており、実際の稼働顧客数としての意味を持ちます。グループ全体で5,724万人という数字は、イオングループの国内顧客基盤の大部分をデジタル接点でカバーできる水準に達したことを意味します。
同社では、スマートフォンを通じたサービス提供を強化しており、アプリを中心に銀行・カード・電子マネーなどを横断的に利用できる環境を整えています。代表的な例が「AEON Pay」です。AEON Payは、これまでのバーコード決済に加えて、電子マネー「WAON」との統合が進められ、アプリひとつでコード決済とタッチ決済の両方を使い分けることができるようになりました。また、WAON残高とAEON Pay残高を相互に移行できる機能が追加されるなど、より一体的な利用体験を提供しています。これにより、利用者は買い物や公共料金の支払いなど、さまざまな場面でスムーズにキャッシュレス決済を行うことができるようになりました。
さらに、イオン銀行アプリやWAONアプリなど、グループのスマホサービスを通じて、残高照会やポイント管理、ローン申込みなどの機能が一元的に利用できるようになっています。特にWAON POINTとの連携を強化することで、支払い・貯蓄・ポイント利用がシームレスに行える“生活密着型の金融体験”を実現しています。イオンフィナンシャルサービスは、これらのアプリを「お客様との最も身近な接点」と位置づけ、利便性と利用継続率の向上を図っています。
2025年10月には、個人事業主や法人向けの新サービスとして「イオンビジネスカード」も発行を開始しました。このカードでは、イオングループ対象企業での利用時にWAON POINTが付与されるほか、空港ラウンジの無料利用や各種経費管理機能も備えており、個人消費だけでなく事業者領域にもキャッシュレス・ポイントサービスを拡大しています。これにより、グループ全体での“経済圏”が個人から法人へと広がりを見せています。
同社の資料によれば、こうした顧客基盤の拡大は「資産収益性の向上」にも寄与しており、スマホを通じた取引データやポイント利用履歴を分析し、利用者一人ひとりに合わせた金融提案を行う取り組みも進めています。これにより、単なるキャッシュレス決済にとどまらず、個々の生活行動に寄り添った“金融DX”が実現しつつあります。
今後について同社は、「スマートフォンを中心としたサービス拡大を引き続き推進し、国内外で顧客接点を拡大していく」との方針を示しています。AIを活用した支出分析や、地域・自治体との連携によるキャッシュレス還元施策なども視野に入れており、グループ全体でのデジタル化が加速しています。
5,724万人という有効ID数は、単に顧客数の増加を意味するものではありません。イオングループが生活者の日常に深く入り込み、スマートフォンを通じて“金融・買い物・ポイント・地域”をつなぐ仕組みを築いてきた結果でもあります。今後は、このデジタル基盤をどのように深化させ、利用者の利便性と満足度をさらに高めていくかが注目されます。






















