NECが東京都の「Tokyo Cross Lab」に採択されました。千葉・我孫子事業場の合成から成形、評価まで揃う研究設備を開放し、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を軸にスタートアップと共創することで、素材分野のDXと新規事業創出を狙います。
我孫子の設備開放で何が変わるか
NECの我孫子事業場は、プラスチック素材の合成実験ドラフト設備や成形加工設備、多様な分析機器を有しており、環境調和型素材やセルロース系高機能バイオ素材「NeCycle®」の事業化にも取り組んできました。今回のTokyo Cross Lab採択により、これらの物的インフラと研究ノウハウがスタートアップや中小企業に提供され、実験・検証のスピードが飛躍的に高まる見込みです。公的マッチング支援を経て、2026年4月から設備提供と協業検討が本格化します。これにより、実データを活用したMIのPOCが現場で回せるようになり、素材開発の試作・評価サイクル短縮や品質安定化が期待されます。
NECは過去にMIを活用した再生プラスチックの製造効率化や、住友ゴムなどとの連携で研究開発基盤強化に取り組んできた実績があります。今回の枠組みでは、NECの研究力とスタートアップの技術・アイデアを融合し、リサイクル対応やサステナブル素材開発といった社会課題解決型イノベーションを目指します。大企業側は設備・ガバナンス整備、スタートアップ側は実証に必要なプロトコルやスケール案を用意することで、PoCから事業化へと道筋を作りやすくなります。東京都による仲介で信頼性やマッチング精度が高まる点も重要です。
最後に、NECは「NEC Open Innovation」の下で外部共創を推進しており、今回の採択はその実装例といえます。研究設備の開放は単なる貸出以上の意味を持ち、データと現場設備を組み合わせたDXの具体モデルを提示します。これにより、素材領域の新規事業創出と地域産業の活性化が促されることが期待されます。
公的支援を活用した設備開放は、素材分のDXを現場レベルで加速する有効な手段です。NECの実装例は他企業のオープンイノベーション戦略の参考になります。
詳しくは「日本電気株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部






















