フリマアプリ大手のメルカリは10月9日、取引の基本原則を改定すると発表しました。2021年の公表以来初の見直しで、悪質な転売や誹謗中傷、価格の乱高下が確認された場合に特として出品禁止に踏み込む方針を明確化します。
出品禁止の対象拡大と改定の背景
メルカリはこれまで「安全」「信頼」「人道的」という三つの運営方針に基づき、流通が法令に抵触する商品など一部を除いて、利用者の自主的な売買を原則としてきました。2021年の公表以来、今回が初めての基本原則の改定となります。新たな規定はプラットフォームの安全性を維持するための例外対応を明確にするものです。
発表文では、新型コロナ禍で問題になったマスクや消毒液の流通を踏まえ、既に備蓄米や空薬きょうなどの出品を禁じてきた経緯を示しています。今回の改定は、これら過去の対応を土台にしつつ、突発的に発生する悪質な取引やコメントの急増、価格の激しい変動に対して運営側が迅速に対処できる仕組みを強化する狙いがあります。
契機の一例として任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」を巡る事象が取り上げられています。実体のない「箱のみ」の出品が確認されるなど、取引の趣旨から逸脱する出品が見られたほか、利用者間のコメント欄で悪質な投稿が増加し、価格が乱高下する状況が発生しました。こうした状況を受け、メルカリは特定商品の出品を運営判断で停止・禁止できる態勢を整えるとしています。
改定では「不正出品」「誹謗中傷の急増」「価格の乱高下」が確認された場合に、特例的に出品禁止を適用する旨が明記されます。ただし、発表時点で適用の具体的な判断基準や運用プロセス、適用の継続期間についての詳細は示されていません。運用の透明性や判断フローの公表が今後の焦点になるでしょう。
今回の改定は、プラットフォームが急速に変動する市場と利用者行動に対処するための制度的手段を整備した点で重要です。運用の実効性は判断基準の明確化と迅速な対応力にかかっています。利用者の納得を得るためには、停止・禁止の判断理由と期間を分かりやすく示すことが不可欠です。透明性のある運用がなければ、逆に信頼を損ねてしまうのでしょう。
レポート/DXマガジン編集部






















