119番で国番号から言語を即判定し、自動でAI通訳を立ち上げる。群馬発の特許技術が、米国・中国・インド・韓国へ展開しました。C&Tは2026年春にBtoC版、夏にPBX連携のBtoB版提供を予定し、先行利用の案内受付を開始しています。
国番号で瞬時に言語特定、PBX連携で自動通訳起動 緊急時の初動を変える実装計画
株式会社C&Tは、電話の発信国番号をキーに通話開始と同時に最適言語を特定し、ボタン操作なしでAI通訳を起動する特許技術の国外移行手続きを完了しました。対象は米国、中国、インド、韓国で、特許番号は第7816905号です。医療や救急の現場では、通訳手配の待ち時間が初動を遅らせるとされ、同社はPBXと連携し「通訳接続まで0秒」を掲げます。受電直後に国番号を識別し、例えば+1は英語、+82は韓国語といった言語セットを自動展開します。人手の介在を抑え、通話の流れを止めずに多言語対応を始動できる点をインフラ技術と位置づけています。代表取締役の瀧澤清美氏は、医療現場での研究を背景に世界共通の解決策として認められたとし、春の提供に向け準備を進めると述べています。
提供計画は段階的です。まず2026年春にスマートフォンアプリ「tel-trans」のBtoC版を公開予定です。訪日外国人だけでなく、日本人が海外で助けを求める際にも、自分の使い慣れた言語で状況を即時に伝える体験を目指します。続いて2026年夏にBtoB版「tel-trans」加えてPBX連携の提供を予定しています。医療機関や自治体、企業での導入を想定し、国内の多言語対応と海外での日本人支援の双方を視野に入れています。アプリの正式リリースに合わせ、先行利用と通知の優先案内フォームの受付を開始しました。対象は医療機関、自治体、インバウンド関連企業、一般ユーザーで、優先通知や導入検討資料の送付を案内しています。時期や対象範囲、提供形態が明示され、利用準備を促す構成になっています。
C&TはフルオートAI通訳「Talk-Trans」の展開実績も示しています。2025年1月から3月にかけて、群馬県庁を中心とした半径1キロ圏で無料の社会実験を実施しました。群馬県のアクセラレーションプログラム「RAITO2024」に採択され、外国人住民の生活支援と観光活性化を目的に効果検証を行う取り組みです。社会実験ではアプリを無償提供し、住民や来訪者、店舗、公共施設で利用状況や満足度、地域社会への影響を調査しました。成果は3月5日の成果報告会で発表予定としています。今後は伊香保温泉やみなかみ町、たくみの里など県内観光地でも実証を進め、観光客の満足度向上と誘客による経済活性化を目指すとしています。群馬発の現場検証を重ねつつ、緊急通報の即時通訳という要衝のユースケースに技術を展開する構図が見て取れます。
「Talk-Trans」はハンズフリーで操作不要のフルオート音声AI通訳として2024年9月にリリースされました。インストール不要のクラウド型で、AIが自動で言語を識別しリアルタイム通訳を行います。自動対応は日本語、英語、中国語の簡体字と繁体字、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、タイ語、インドネシア語の10言語です。大阪・関西万博の海外来場者予測を参考に選定し、これらでインバウンドの約88パーセントに対応可能としています。他に83カ国語を手動選択すれば、インバウンドの99パーセントと通訳可能と案内しています。医療、ビジネス、教育、観光での活用事例や展示会出展予定も紹介され、翻訳精度や運用性への評価が示されています。課題としては言語拡張、専門用語の精度、インフラの安定化、UI改善を挙げ、継続改善を表明しています。
同社は2025年の大阪・関西万博「リボーンチャレンジ」への正式出展者として認定されています。群馬県のスタートアップ支援「RAITO」にも採択され、観光地や行政窓口への導入でインバウンド活性化と在住外国人向け行政サービスの利便性向上を掲げます。医療分野ではパートナーと連携し、主力領域として展開を強化します。将来的な展望として、群馬から言葉の壁をなくし、世界へと広げるパートナー募集を告知しています。スローガンは「世界から助けを呼べない人をなくす」で、緊急時の多言語コミュニケーションを社会基盤として位置づけています。国番号による即時言語特定とPBX連携の組み合わせは、通報の最初の一言から支援までの遅延を短縮することを狙う実装であることが明確です。
見解
国番号ベースの即時言語判定は、既存の電話網と親和性が高く、現場導入の障壁を下げる打ち手です。社会実験と万博出展の“現場接続”が、実装の確度を高める追い風になるはずです。
詳しくは「株式会社C&T」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部






















