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空飛ぶクルマは本当に普及するのか?万博の“未来展示”で終わらせない最後の壁

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大阪・関西万博を契機に、空飛ぶクルマの社会実装を関西で先導する構想が具体化しています。公益社団法人 関西経済連合会は、2030年と2035年を見据えた「ありたい姿」と「あるべき姿」を設定し、制度整備から運航、インフラ、人材まで網羅する取り組みの方向性を整理しました。観光とビジネス双方での需要を見込み、中心エリアとして大阪ベイエリアを核に半径80キロ圏での運航像を提示し、離着陸場であるバーティポートの計画的な拡大を掲げています。運航初期は低密度となることを前提に、関西国際空港や神戸空港の円滑な利用と、広域観光の促進で旅客需要を掘り起こす方針も整理されました。複数モーターの冗長設計や電動化による安全性向上、騒音低減など技術的進展の見通しが示され、社会受容性の向上につなげる考えです。関西が「ファーストペンギン」として先行実装を進めることで、万博で描かれた未来社会の定着を図る狙いがあります。

制度整備と運用の適正化が土台に

取り組みの第一は、関係する制度の早期整備と運用の適正化です。今後策定されるバーティポートの整備基準や、自治体のアセスメントに関わる条例について、継続的なフォローアップを行い、機体特性を踏まえた基準の適正化に働きかける方針が示されています。操縦士や整備士の資格要件についても、適正化に向けた働きかけを進めると整理されています。制度の整備は社会受容性と市場形成の前提であり、現場運用の実効性確保にも直結します。関西経済連合会は、空飛ぶクルマの普及に必要な規制見直しや運用の明確化を段階的に進める姿勢を打ち出しています。制度側の遅れが実装のボトルネックにならないよう、行政と民間の対話を継続し、適用基準の解像度を高めることが重視されています。

空港活用と広域観光で需要を創出

二つ目の柱は、運航と離着陸場の運営に関わる事業の安定と成長です。普及初期は運航が低密度である期間に限定した事業者支援を想定し、収益確保を後押しする設計が必要とされています。旅客需要の拡大が見込まれる関西国際空港や神戸空港の円滑な利用を進め、既存アセットの活用で早期の運航実績を積み上げます。関西観光本部などとの連携により広域観光を促進し、旅客需要の掘り起こしを図る方針が明示されました。さらに、交換部品の安定確保や官民連携での人材育成を含むサプライチェーンの構築が挙げられています。運航の持続性は部品供給と技能の裾野に依存するため、エコシステム形成を計画的に推し進めることが重要です。

公共用地活用や周辺自治体との対話を推進

三つ目の柱は、離着陸場を増やす機運の醸成です。公共用地の活用も視野に入れた用地確保を進め、バーティポート設置を考慮した都市計画の検討を進展させることが盛り込まれました。バーティポートに必要な充電設備などの設置に対する支援も位置付けられ、インフラ整備を前倒しする考えが示されています。事業者と離着陸場周辺の自治体との丁寧なコミュニケーションを推進し、合意形成と地域理解を積み重ねる方針も示されました。離着陸場の拡充は運航ネットワークの価値を高めるため、都市内外の移動需要と観光ルートの両面で効果が期待されます。関西経済連合会は、民間主導で必要数のバーティポートや格納庫などの設置が完了する状態を目標としています。

高密度運航に向けた仕組みづくり

四つ目の柱は、高密度かつ多頻度の運航に必要な仕組みの構築に向けた準備です。新しい管制方式に関する情報収集を行い、関係する研究開発プロジェクトに貢献する姿勢が明確にされています。都市内運航の高度化に向け、将来的な遠隔操縦や自動化を見据えた技術や運用の知見を積み上げることが示されました。運航安全の確保と空域の最適配分に資する実証と、標準化に向けた取り組みが進むことが期待されます。高密度運航を見据えた段階的整備により、初期の低密度運航からのスムーズな移行を図る狙いも整理されています。新たな管制や運航管理の枠組みが整うことで、事業の拡張性とサービス品質の両立が可能になります。

半径80キロ圏を核に観光と都市内移動を両立

将来像として、2035年には大阪ベイエリアを中心とした半径80キロの中心エリアで100機程度が運航する姿が示されています。中心エリアと今後検討が必要な候補エリアの間でも日常的に運航が行われ、遊覧を含む観光用途で複数ルートが日常化する構図です。都市内でも運航量が拡大し、誰もが利用可能な都市内交通の一つに成長することが描かれています。山間部や離島部での移動手段としての活用も開始し、運航や離着陸場の整備運営で安定して採算を確保する姿が示されました。2030年に向けては、期待が高い離着陸地点の一部で運営が進み、二地点間の商用運航が継続されることが示されています。都市内で十分な運航実績を蓄積し、高密度運航に必要な仕組みの準備を進めることで、2035年の段階的拡大につなげる構想です。

騒音低減と安全性向上で導入を後押し

技術面では、機体の簡素化や部品点数削減による製造と運用コストの長期的低下が期待されています。複数のモーターやローターを装備することで高い冗長性が実現され、安全性の向上が見込まれます。将来的に遠隔操縦や自動化が主流となれば操縦が簡便化し、ヒューマンエラーの排除にもつながると整理されています。電動化とローターの小径化により離着陸時は65デシベル以下、上空飛行時は45デシベル以下の騒音を見込み、社会受容性を高める指標が示されています。数値の参考として、65デシベルはファミリーレストラン店内や銀行窓口周辺、45デシベルは美術館館内や閑静な住宅街に相当するとされています。こうした技術的前提が、運航地域での受容と需要喚起の下支えになります。

万博の運航ノウハウを継承し広域展開へ

関西は古来より交通のハブとして発展してきた歴史を持ち、史跡や文化財などの観光資源が豊富です。大阪IRの開業や神戸空港の国際定期便などの予定もあり、広域観光の発展に寄与する環境が整いつつあります。大阪・関西万博での展示やデモ飛行を通じて空飛ぶクルマへの関心が高まり、期間中に蓄積された運航ノウハウが地域の取り組み継続に活用される見通しが示されています。万博を契機として、商用運航の実現とサービス拡大に向けた協議の場が存在し、複数の運航事業者が商用運航計画を公表している状況も整理されています。中心エリアに加え、今後検討が必要な候補エリアに広がるルート形成が視野に入り、関西全体での社会実装と広域展開に弾みがついています。関西経済連合会は、先駆ける関西の姿勢を「ファーストペンギン」と表現し、挑戦の意思を明確にしています。

詳しくは「公益社団法人 関西経済連合会」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

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