保険の判断は人かAIか。第一生命保険が示した答えは「協働」です。2030年度までの5年間で4,000億円をAIとデジタルに投資し、査定や支払いの中核業務を自動化します。営業現場には対話型AIを順次配備し、提案から記録作成までを支援します。基幹システムをAIネイティブへ移行し、業務の質とスピードを両立させる狙いです。
4,000億円の構造改革。AIネイティブ化で査定自動化と営業支援を同時進行
第一生命保険は、生成AIの開発やシステム刷新を含むデジタル分野へ総額4,000億円規模の投資を行います。目的は基幹系を含む全体の構造改革であり、AIネイティブな環境への移行を掲げます。対象はアンダーライティングの自動化、営業職員の活動を支えるデジタル活用、これらを支えるインフラ整備と人財育成です。査定領域では、診断書や入院証明書の異なるフォーマットから高度なOCRと自然言語処理で情報を即時にデータ化します。不備チェックからリスク評価まで自動で行い、判断の迅速化と品質向上を目指します。約款や法令を学習させたAIは、持病のある顧客の割増保険料や特約付加の可否判断を支援し、複雑なケースの検討を補完します。
支払いの安定運用も重視されています。請求が急増する災害時でも、AI基盤により安定した支払い体制を維持し、契約成立から保険金支払いまでの期間を大幅に短縮します。営業面では、AIアバターや対話型AIの支援ツールを2026年4月下旬から全国約1000カ所の営業拠点に順次導入します。顧客の同意を前提に、過去の応対記録や属性データを分析し、ライフステージに応じた商品提案やシミュレーションをリアルタイムに生成します。商品知識の呼び出しや応対記録の自動作成などの事務をAIが担い、営業職員は対話と提案に専念できます。国内生命保険業界でも異例の投資額とされ、単なる業務効率化を超えたビジネスモデル転換を狙う計画です。
人への投資も並行します。第一生命保険は全社員を対象にリスキリングを実施し、専門的なデジタル人財の社内育成を進めます。2030年度には時価総額10兆円、修正利益7,000億円という定量目標を掲げています。既存業務の効率化で生み出した資金を成長投資へ循環させる資本循環経営を計画し、技術革新のスピードに応じて追加投資の検討も行います。これらの取り組みにより、査定と営業の両面で顧客対応の迅速化と体験価値の向上を同時に追求します。システム、人財、現場運用を一体で進めることで、効果の立ち上げと持続性を確保する構えです。
見解として、基幹業務のAIネイティブ化は保険価値の中核である迅速性と公平性を高める打ち手です。一方で、運用設計と人財育成を同期させる継続的なチューニングが成果の左右を決めると考えます。
詳しくは「第一生命保険株式会社」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部






















