株式会社東陽テクニカは、フィンランドのIQM Quantum Computersから超電導型量子コンピューター「IQM Radiance」を導入することを決定し、発注を完了しました。日本でのIQM社製量子コンピューター導入は初めてで、導入機は20量子ビットのハイエンド拡張モデル「IQM Radiance20」です。オンプレミスとクラウドの両環境での利用を予定し、研究用途のユースケース開発、クラウド提供、人材育成などを通じて国内での量子技術の社会実装を後押しします。売買契約は2026年4月に締結され、2026年末までに納品予定とされています。HPCとの統合や課金制クラウド利用など、利用者から寄せられた具体的ニーズに対応する体制を整備します。
HPC統合、クラウド提供、人材育成までを一気通貫で推進
東陽テクニカは2025年7月にIQM社と国内販売代理店契約を締結し、量子ソリューション事業に参入しました。量子技術の社会実装に向けた活動の中で、導入前の実機検証、HPCとの統合研究、クラウドでの従量課金利用、実機によるアルゴリズム開発や人材育成といった要望が多数寄せられていました。これらのニーズに応えるため、同社は実証実験に適した20量子ビット機の導入を決定しています。オンプレミス運用とクラウド提供の両輪で展開することで、企業や研究機関が段階的に検証から実装まで進めやすい環境を整えます。日本では2030年に量子技術の国内利用者1,000万人や生産額50兆円の目標が掲げられており、同社はパートナー連携を通じてユースケースの創出と人材育成を強化します。量子センシングや教育キットも含めた包括的な取り組みで、産業界への普及を図る方針です。
20量子ビットの超電導型で実証から応用へ架け橋
導入される「IQM Radiance20」は超電導型量子コンピューターで、量子ビット数は20です。底面サイズは126 x 453センチメートル、最低天井高は290センチメートル、最小荷重耐容量は平方メートル当たり1000キログラム、平均総電気消費量は24キロワットと記載されています。実験設備としての据付要件が明確で、オンプレミス運用に向けた物理要件の把握が可能です。ハイエンド拡張モデルの位置付けにより、アルゴリズム検証やベンチマーク、HPCとの連携研究など幅広い用途が想定されています。東陽テクニカはこの実機を活用し、クラウド経由の利用機会も提供する計画です。発注は完了しており、納品は2026年末までの予定です。
国内量子戦略の重要な一歩と産業実装の推進
IQM Quantum ComputersのCEOであるJan Goetz氏は、自社運用のインフラが量子技術の真価を引き出すとし、東陽テクニカの実機導入を日本の量子戦略実現に向けた重要な一歩と位置付けています。IQM社の先進技術を基盤に、日本の量子分野の発展に寄与すると述べています。株式会社東陽テクニカの代表取締役 社長執行役員である高野俊也氏は、量子は新しいものづくり日本を支える必須分野であり、既にHPCとの融合やユースケース開発、人材育成などの実用化競争が始まっていると強調しています。IQM社の協力を得て世界に先駆けた社会実装を推進する姿勢を示し、産業界への早期普及を目指す考えを示しています。両者のコメントは、研究から実装、教育までを視野に入れた包括的展開を裏づけています。実機導入は、国内エコシステム形成の呼び水となる可能性があります。
東陽テクニカの量子ソリューション事業
東陽テクニカは計測技術の実績を背景に、2025年7月のIQMとの代理店契約を起点に量子分野へ本格参入しました。2026年2月には英国Raptor Photonics Limitedと販売代理店契約を締結し、ダイヤモンド量子センサーの微弱光を検出する高感度イメージングカメラの取り扱いを開始しています。さらに2025年12月からは一般社団法人日本量子コンピューティング協会の「量子ジェネラリスト講座」検定で学生と教員の受験費用を全額負担する制度を導入し、2026年4月にはスイスのQZabre AGと販売代理店契約を締結して量子教育キット「Quantum Edukit」を提供しています。量子コンピューター、量子センシング、量子人材育成の三位一体で社会実装を推進する姿勢が明確です。今回のRadiance20導入は、その中心に据える実機リソースの拡充に当たります。国内外のパートナーと連携し、ユースケース創出や新たなビジネスモデルの開発を進めるとしています。
フルスタック提供とオンプレミス導入モデル
IQM Quantum Computersは超電導型量子コンピューターの世界的リーダーで、研究機関や大学、高性能計算センター、国立研究所にフルスタックの量子システムとクラウドアクセスを提供しています。オンプレミス導入モデルにより、顧客は自社の量子インフラを直接所有し管理できます。2018年設立で本社はフィンランド、従業員数は350名超、欧州、アジア、北米で事業を展開しています。Real Asset Acquisition Corp.との合併を通じ、米国主要市場への上場計画を発表し、ヘルシンキ証券取引所への二重上場も検討していると説明されています。日本での同社製実機導入は今回が初めてであり、東陽テクニカの取り組みがアジアでの展開を後押しする契機となります。クラウドとオンプレミスのハイブリッドな利用像は、国内の検証環境整備に有効です。
詳しくは「株式会社東陽テクニカ」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















