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業界・規模で想定に最大12円超の開き。輸入企業は円安、大企業はより慎重にリスクを織り込む実態

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企業が2026年度の業績見通しに用いる想定為替レートは平均1ドル147円87銭となり、前年5月比で8円23銭の円安方向に修正されました。中央値は155円、最頻値は160円で、企業数ベースでは150円台後半を見込む層が厚くなっています。分布では156~160円が33.6%で最多、146~150円が18.8%、151~155円が16.5%でした。背景には、日米金利差の縮小が一時的に円安進行を抑えたものの、原油価格の上昇圧力や地政学リスクが残存し、輸入物価の高止まりが続く環境があります。輸出やインバウンドには追い風となる一方、仕入単価の上昇で利益が圧迫される懸念が根強い状況です。

企業の声からは、為替変動の需要への影響に対する実務的な懸念と機会の双方が示されました。織物製寝着類製造では「為替レートが130円くらいにならないと、商品を仕入れても高くて誰も買ってくれない」とし、145円で想定しています。デザイン業では「為替状況の悪化やインフレ、戦争の影響でコストが増加、また消費者の懸念で消費マインドが悪化してしまう」として150円を設定しています。他方、不動産管理では「宿泊事業は、円安の影響もありインバウンドが好調」とし、当面は150円の想定で好調維持を見込んでいます。企業の置かれたビジネスモデルや価格転嫁力の差が、想定レートの水準と見通しの温度感に反映されています。これらの声は、需要の変動とコスト上昇の両にらみでの前提設定が進んでいることを物語ります。

業界別では想定レートに明確な開きが見られました。農・林・水産は156円60銭と最も円安水準で、輸入コストや燃料価格の感応度が高い構造が影響しているとみられます。一方で、建設や小売、不動産、運輸・倉庫は144円台と比較的円高の想定でした。最も円安の業界と最も円高の業界の差は12円56銭に達しています。取引の内外比率、原材料や燃料の価格連動性、価格転嫁の容易さといった産業特性が、想定のばらつきをもたらしています。企業規模や商流に応じて、想定の見直し頻度や感応度が異なる点にも注意が必要です。複数の部門や事業を抱える企業では、事業別の想定レンジ管理が重要性を増しています。

輸出入の有無でも差が明確です。輸出を行う企業の想定は150円54銭に対し、輸入を行う企業は151円89銭と円安寄りでした。特に直接輸入のみの企業は152円38銭で、直接輸出のみの144円24銭より8円14銭の円安水準です。収益が為替に受ける方向性が逆であるため、輸入企業はより円安を見込み、収益悪化リスクを織り込む前提となっています。規模別では大企業が151円53銭、中小企業が147円84銭、小規模企業が146円25銭でした。直接輸出のみでも大企業は中小企業より6円23銭円安の想定で、為替管理体制や海外取引の多寡が前提に反映されています。資金繰りや与信に影響が及びやすい中小企業では、想定と実勢の乖離が一段のリスクとなり得ます。

調査設計も明確です。期間は2026年5月18日から31日、対象は全国2万2,749社で、有効回答は1万521社、回答率は46.2%でした。想定為替レートを設定している2,290社を分析対象とし、2017年から毎年実施して今回が10回目です。2026年4月以降の実勢レートは160円前後で推移しており、平均想定147円87銭との差は依然10円以上です。前年まで続いた実勢の大幅な円安に、企業の想定が追随しきれていない状況がうかがえます。購買力平価は106~108円程度で推移しており、ファンダメンタルズと市場実勢、企業想定の三層の乖離が続く中で、中長期の為替変動を前提にした前提管理が求められます。想定と実勢の差が輸出入取引を通じて収益を下押しする局面には、引き続き注視が必要です。

詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

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