MENU

ニュース

国内初、読影と同時にAIが脳動脈瘤を検出。富士フイルムが薬事承認を取得

  • URLをコピーしました!

富士フイルム株式会社は、MRA画像から脳動脈瘤の検出を支援するAI技術搭載ソフトウェアを開発し、コンカレントリード型の医療機器として日本で初めて薬事承認を取得しました。承認日は2026年7月6日で、対象は医師が読影するのと同時にAI解析結果を提示する方式です。これにより、従来のセカンドリード型のように読影後に結果を確認する手戻りが減り、業務の効率化が期待されます。ソフトウェアはMRA画像およびそこから生成された3D画像上で、病変が疑われる領域を橙色の枠で可視化し、見落とし防止を支援します。感度が使用しない場合と比べて10%以上向上することが確認され、診断の質向上への寄与が見込まれます。使用環境はSYNAPSE SAI viewerとSYNAPSE VINCENTでの運用を想定しています。

背景と課題。くも膜下出血予防へ破裂前の早期発見を支える

脳動脈瘤は脳血管の一部が弱くなり膨らむ疾患で、破裂するとくも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血は死亡率が30%と高く、救命後も後遺症により日常生活に制約が生じやすいとされています。そのため、破裂前の早期発見と適切な治療につなげることが重要です。発見には撮影条件の異なる頭部MRIのMRA画像が用いられ、複数の2Dスライスと3D画像を多角的に読影して、わずかな膨らみを見極める必要があります。診断の質を保ちながら読影負荷を軽減することが長年の課題でした。今回のソフトウェアはこうした臨床現場のニーズに応え、読影と同時に解析結果を提示することでワークフローの効率化を図ります。ディープラーニングを設計に用いていますが、導入後に自動で性能や精度が変化しない点も特徴です。

製品の概要。2mm以上の局所的膨らみを自動検出し可視化

本ソフトウェアはMRA画像を解析し、脳動脈上にある長径2mm以上の局所的に膨らんだ領域を自動で検出します。検出対象には紡錘状や解離性の瘤、起始部拡張は含まれません。MRA画像とその3D画像に対し、病変が疑われる部位を橙色のボックスで表示し、位置関係を直感的に把握しやすくします。画像右側のスクロールバーに他スライスの解析結果が一覧表示され、クリックで該当スライスへジャンプできるため、疑われる領域と位置を網羅的かつ効率的に確認できます。3D画像上でも疑わしい領域をマーキング表示し、立体的な理解を助けます。これらの可視化により、初期段階での見落としリスクを下げ、確認作業の手戻りを抑制します。ワークフロー全体として、読影と同時参照が可能なコンカレントリード型の設計になっています。

性能評価と有効性。感度が10%以上向上し、見落とし防止に寄与

有効性評価では、263症例を後向きに収集し、放射線診断専門医3名、脳神経外科専門医3名、後期研修医6名の計12名で読影試験を実施しています。評価ではMRA画像非含有例や重複検査、診断不能なアーチファクト例、外科的処置例などを除外し、後大脳動脈の評価は対象外としています。2mm未満の脳動脈瘤は含まれておらず、評価もされていません。試験の結果、ソフトウェア使用時は未使用時と比較して感度が10%以上向上することが確認されました。これにより、疑わしい領域の拾い上げ能力が高まり、読影の信頼性向上が期待されます。なお、ソフトウェアはAI設計を用いていますが、運用後に自動学習して性能や精度が変化することはありません。臨床導入において一定の性能で運用できる点が強調されています。

運用環境とワークフロー。SYNAPSEでの同時提示で効率化を後押し

想定する運用環境はAIプラットフォームのSYNAPSE SAI viewerと、3D画像解析システムのSYNAPSE VINCENTです。SYNAPSE SAI viewerは画像表示プログラムFS-V686型と画像処理プログラムFS-AI683型を含む製品群で、SYNAPSE VINCENTは富士画像診断ワークステーションFN-7941型に対応しています。コンカレントリード型のため、医師は観察と同時にAIの解析結果を参照でき、セカンドリード型と比較して読影の再確認工程が省略されます。MRAの2Dと3Dの両方で疑わしい領域を把握できる仕組みにより、確認の抜け漏れを抑えます。視覚的なマーキングとスライスナビゲーションが組み合わさることで、複雑な血管分岐の把握を効率化します。結果として、診断の質を保ちつつ、業務の迅速化が期待されます。

医療現場へのインパクト。早期発見につなげ、社会的負担軽減を目指す

くも膜下出血は社会的負担の大きい疾患であり、早期発見による予防的対処が重要です。今回のソフトウェアは、MRAからの自動検出と同時提示により、破裂前の段階での注意喚起を強化します。見落とし防止を支援する仕組みは、医療従事者の負担軽減にもつながります。富士フイルムは独自の技術とアプローチで医療の課題解決に取り組み、健康の維持・増進への貢献を目指すとしています。今後も臨床の現場での運用を通じて、読影効率と診断の質の両立に資するソリューション提供を継続します。なお、脳動脈瘤の検出支援として国内で薬事承認を得たコンカレントリード型医療機器は今回が初であり、JAAMEの情報に基づく同社調べとされています。MRAの特性を活用し、造影剤なしで血管可視化が可能な点も、運用上の利点となります。

詳しくは富士フイルム株式会社の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • 日本オムニチャネル協会
  • 公式LINEメンバー

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる