世界のPC市場に変化が起きています。PCの出荷台数が9四半期連続の成長を経て前年同期比で減少に転じた一方、メーカーによる値上げを背景に売上は増加しているといいます。IDCが2026年7月8日に発表した調査によると、2026年第2四半期(4~6月)の世界PC出荷台数は6820万台となり、前年同期比4.9%減少しました。IDCは、メモリーチップの供給不足が市場の反転を引き起こした大きな要因だとしています。
PC出荷台数は4.9%減、9四半期連続の成長から一転
世界のPC出荷台数は2026年第2四半期に6820万台となり、前年同期比4.9%減少しました。9四半期連続の成長を経て、減少に転じたことになります。背景にあるのが、メモリーの供給不足です。IDCは、メモリーに加えてストレージなど他の部品や、地政学的な問題もPC市場に影響していると指摘しています。
一方、興味深いのは、出荷台数が減少しても市場の売上は増えていることです。IDCのリサーチディレクター、Jitesh Ubrani氏は、メーカーによる価格上昇のペースが需要減少を上回っているため、出荷台数が減る一方で売上は増加していると説明しています。販売されるPCの台数が減っていても、1台あたりの価格上昇によって市場の売上が押し上げられているという構図です。
メモリー不足、2028年初頭まで緩和しない可能性
PCを購入する企業や消費者にとって気になるのが、メモリー不足がいつまで続くのかです。IDCは、現在のメモリー不足が2028年初頭まで緩和しない可能性があるとみています。また、PCメーカーは2027年に向けてさらなる値上げに備えているとしています。こうしたコスト上昇が長期化すれば、PCの買い替えサイクルを鈍らせる可能性もあるとIDCは指摘しています。
その一方で、クラウド上でAIを処理するためのコストが高まる中、PCなどの端末側でAI処理を行う「オンデバイスAI」への関心は高まっています。PC価格の上昇とAIを端末上で処理するニーズ。この2つの動きが、今後のPC市場を左右する要素になりそうです。
Lenovoが世界首位、Appleは2桁成長
メーカー別では、Lenovoが世界首位となりました。続いてHP、Dell Technologies、Apple、ASUSの順となっています。特にAppleは前年同期比10.1%増となり、上位メーカーの中でも高い伸びを記録しました。IDCは、メモリー不足が続く環境では、大手メーカーが購買力やサプライヤーとの長期的な関係を生かして部品を確保しやすくなると分析しています。その結果、小規模な競合企業から大手メーカーへ市場シェアが移る可能性もあるとみています。
PCは「安くなるまで待つ」が通用しなくなる?
今回の調査から見えてくるのは、PC市場が単純な需要減少局面に入ったわけではないということです。世界PC出荷台数は前年同期比4.9%減少した一方、価格上昇によって売上は増加しています。さらにIDCは、メモリー不足が2028年初頭まで緩和しない可能性を示しており、メーカーも2027年に向けたさらなる値上げに備えています。
企業にとっても無関係な話ではありません。大量のPCを更新する企業では、端末価格の上昇がIT予算や更新計画に影響する可能性があります。AI PCへの移行も進む中、「いつ、どのPCへ買い替えるのか」。メモリー不足が長期化すれば、企業のPC調達でも価格や更新時期をこれまで以上に慎重に判断する必要が出てきそうです。
詳しくは「IDC」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部




















