全国2万2,095社を対象に実施された調査では、従業員を採用する際の最低時給が平均1,255円となり、前年から50円上昇しました。2026年度の最低賃金の全国加重平均は1,177円で、差は78円でした。差額は2024年の112円、2025年の84円から連続で縮小しています。企業からは、最低賃金の改定によりパート従業員の賃金が上がる一方で粗利益の伸びが追いつかず、正社員の賃上げ原資が圧迫されている実態が示されました。業界別では不動産が1,318円で最も高く、サービスが1,296円、建設が1,293円と続き、農・林・水産は1,155円、小売は1,172円、製造は1,203円と全体平均を下回りました。
都道府県別の採用時最低時給では、東京都が1,410円で最も高く、神奈川県が1,381円、埼玉県が1,322円、大阪府が1,318円でした。最も低い鳥取県は1,107円で、東京都との差は303円でした。最低時給と最低賃金の差額は、東京都が130円、埼玉県が126円、福井県が121円と大きく、鳥取県は17円、秋田県は29円、徳島県と鹿児島県は33円でした。東京近隣では人材確保のために水準を引き上げる必要があり、差額が大きくなる傾向がうかがえます。企業が事業を継続しながら支払可能と考える最低時給の上限は平均1,275円で、採用時の最低時給との差は20円でした。
上限額の分布では、1,200円台以下が合計52.8%となり、1,500円以上は14.4%にとどまりました。近年の最低賃金の引き上げペースについては、速すぎるが42.3%で最多、妥当であるは34.4%、遅すぎるは6.2%、分からないは17.1%でした。業界別では、小売で速すぎるの回答が58.9%と最も高く、農・林・水産が56.9%、運輸・倉庫が51.5%、製造が50.4%でした。一方、建設では妥当であるが43.0%で、速すぎるの29.3%を上回りました。企業からは、引き上げの頻度と幅だけでなく、賃金体系や取引価格を見直すための時間や、価格転嫁の難しさを指摘する声が寄せられています。
企業実務では、採用時給だけでなく、等級や手当を含む賃金体系全体の整合性を保つことが重要です。新人と既存従業員の賃金差が縮む局面では、役割と経験に応じた処遇の基準を明確化し、就業規則や手当の設計を定期的に点検することが求められます。さらに、人件費増に見合う価格交渉の準備や、業務プロセスの省力化を進めることで、継続的な賃上げの原資確保につなげられます。調査期間は2026年9月14日から9月30日で、有効回答は1万235社、回答率は46.3%でした。調査は株式会社帝国データバンクにより実施されました。
詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















