MENU

コラム

若者は変わったのか。それとも会社が変わっていないのか

  • URLをコピーしました!

「最近の若者は、何を考えているのか分からない」

経営者や管理職から、そんな言葉を聞くことがあります。出世したがらない。会社への帰属意識が低い。飲み会に参加しない。転職への抵抗も少ない。確かに、私たちの世代とは仕事に対する考え方が違うように見えます。

でも、私は時々思います。本当に変わったのは、若者なのでしょうか。むしろ、社会が大きく変わったのに、会社の方が昔のままなのではないでしょうか。

私たちの「当たり前」は、今も当たり前なのか

かつては、いい会社に入り、長く勤め、経験を積み、管理職を目指す。それが一つの分かりやすいキャリアでした。会社に長くいれば給与が上がり、役職が上がり、生活も豊かになっていく。だから、会社のために頑張ることと、自分のために頑張ることが比較的一致していました。

しかし、今の若い人たちが見ている社会は違います。会社がずっと存続する保証もない。一つの会社で働き続けることが、自分の市場価値を高めるとも限らない。AIによって仕事そのものが変わる可能性もある。そう考えれば、「会社に尽くせば将来は安心だ」と言われても、簡単には信じられないでしょう。

「やる気がない」と決めつけていないか

若い社員が会社の指示に疑問を持ったとき、「最近の若者は我慢が足りない」「すぐに答えを求める」「会社への忠誠心がない」と片づけてしまうのは簡単です。

でも、その前に会社側も考える必要があります。

なぜ、この仕事をするのか。この経験によって何が身につくのか。この会社で働くことが、その人の未来にどうつながるのか。それをきちんと説明できているでしょうか。「昔からこうやっているから」では、もう人は動きません。

会社と社員の関係が変わっている

私は、これからの会社と社員の関係は、少し変わっていくと思っています。会社が社員を一方的に育て、社員が会社に忠誠を尽くす関係ではありません。

会社は、社員に成長する機会を提供する。社員は、そこで自分の力を高めながら、会社に価値を返す。つまり、会社と個人が、お互いを成長させる関係です。

そのためには、会社も変わらなければなりません。仕事を与えるだけではなく、任せる。答えを教えるだけではなく、考えさせる。失敗させないことより、挑戦する機会をつくる。

これからの人材育成では、そうした発想がますます重要になると思います。

若者を変える前に、会社を疑ってみる

もちろん、若い世代に課題がないと言いたいわけではありません。世代に関係なく、自分から学ばない人、挑戦しない人は成長しません。ただ、若者の価値観が理解できないときに、「若者がおかしい」で終わらせてしまえば、会社は何も変わりません。

変革とは、自分たちが正しいと思ってきた常識を疑うことでもあります。これは、第1回で書いた「変革する人」にもつながります。相手に変化を求める前に、まず自分たちは変わる必要がないのかを考えてみる。企業にも、経営者にも、管理職にも必要な姿勢ではないでしょうか。

最後に、皆さんに一つ問いかけます。
若者が会社に合わなくなったのでしょうか。それとも、会社が今の時代に合わなくなっているのでしょうか。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • イノベーション大賞
  • DSW

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる