Google Public SectorはNASAの有人探査計画と連携し、宇宙飛行士の安全確保と地球から独立した自律性の向上を目的とした物理ロボットの実証に取り組んでいます。取り組みは宇宙飛行士向けの医療支援システムであるCMO-DAの開発成果を土台に、月面南極域での長期滞在や将来の火星探査で課題となる時間遅延や人的負荷の軽減を狙います。NASAのHuman Research Program、ジョンソン宇宙センターロボティクスチーム、JPLとGoogle Public Sectorが連携し、貨物や装備を扱う汎用ペイロードハンドリングを軸に、ツール整理や区画の固定といった整備タスクに加え、医療用途に切り替えられる設計を検証しました。たとえば腎結石が疑われる強い背部痛のケースでは、ロボットが超音波診断装置の取り出しと準備を担い、人間のクルー医療担当者が診断と処置に専念できる体制を想定しています。狭い船内で人と協働するため、JPLは衛星の状況認識技術を転用し、カメラ中心の限られたセンサー入力で三次元環境を把握できるようにしました。ジョンソン宇宙センターのiMETRO施設では、Google DeepMindのMuJoCoで事前に物理動作を高精度にシミュレーションし、実機前に安全性を検証しています。
実証では医療バッグを探して運ぶピックアンドプレース課題に挑み、アイトゥハンド方式のカメラ構成と、Google Cloud上で開発されたPhysical IntelligenceのオープンソースPi0モデルを用いて、初期段階の実験室環境で成功率85パーセントのベースラインを得ました。さらに宇宙は究極のエッジ環境であるため、地上データセンター常時接続に依存しない計算基盤が重要となります。Google CloudのG4インスタンスでPi0の40億パラメータモデルを約2.5時間で高速に微調整し、その後は省電力なエッジデバイス上でローカル実行できることを確認しました。過去2年間で約15種類のエッジデバイスを検証し、将来の火星ミッションに求められる軽量低電力条件で効率的に動作する組み合わせを選定しています。言語と動作を結び付けるVLAモデルを活用することで、英語のテキスト指示で柔軟に操作でき、将来的には音声指示での多様なタスク実行も目指します。目的は人間の判断を置き換えることではなく、バイタル取得や簡易超音波などの補助を人間の指揮と監督の下で実行し、限られたクルー時間を科学活動に振り向けることです。詳しくは「Google Public Sector」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部




















