アルテリックス・ジャパンは2022年6月16日、Alteryxが日本CFO協会と共同で実施した、企業のデータ活用に関する調査結果を発表しました。日本企業のCFO(最高財務責任者)など、経理・財務部門の幹部を対象に行われました。
米国カリフォルニア州アーバインに本社を持つAlteryx(アルテリックス)は、セルフサービス型のデータ分析プラットフォームを提供しています。
また日本CFO協会は、日本企業のグローバルな経営管理や倫理の高度化を目指す非営利団体です。経営手法や経営技術に関する教育やサービスを提供することで、企業の財務パフォーマンスの向上を支援しています。
今回、両組織は共同で、企業の「データの収集・分析・活用と、それらを支えるテクノロジーの現状と課題」について調査を実施しました。調査の概要は、以下の通りです。
調査実施 | 一般社団法人日本CFO協会 |
調査協力 | アルテリックス・ジャパン合同会社 |
調査対象 | 日本CFO協会会員を主体とした日本企業のCFOおよび経理・財務幹部 |
調査方法 | オンライン上でのアンケート調査 |
有効回答者数 | 218名 |
調査期間 | 2022年3月23日~2022年5月20日 |
回答者のプロファイル | ・業種:製造業38%、情報・サービス16%、商社・卸売業11%、建設・不動産8%、小売業6%、運輸・郵便業4%、その他17%
・グループ売上高:5,000億円以上28%、1,000億円以上12%、500億円以上8%、100億円以上27%、 100億円未満25%
・グループ従業員数:5,000人以上33%、1,000人以上17%、500人以上10%、 100人以上27%、100人未満13%
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今回の調査では、以下のような項目が分析されました。
●企業全体におけるデータ分析への取り組み状況
●経理・財務部門のDXの現状
●データ駆動型CFO組織の実現のために必要なこととは 以下に、それぞれの調査結果の概要を説明します。 ●企業全体におけるデータ分析への取り組み状況
まず、日本企業の「データ分析への取り組み状況」を調査しました。以下のような回答を含め、回答者の約50%が「データの分析や活用に取り組んでいる」ことが分かりました(図1)。 ・「経営層自体が、データや分析結果に基づいたアプローチで経営判断を行うこと(データドリブン経営)を強く意識し実行している」:27%
・「前以上に分析を管理するために必要な人材への投資や育成が行われている」:20%
●経理・財務部門のDXの現状
●データ駆動型CFO組織の実現のために必要なこととは 以下に、それぞれの調査結果の概要を説明します。 ●企業全体におけるデータ分析への取り組み状況
まず、日本企業の「データ分析への取り組み状況」を調査しました。以下のような回答を含め、回答者の約50%が「データの分析や活用に取り組んでいる」ことが分かりました(図1)。 ・「経営層自体が、データや分析結果に基づいたアプローチで経営判断を行うこと(データドリブン経営)を強く意識し実行している」:27%
・「前以上に分析を管理するために必要な人材への投資や育成が行われている」:20%
via www.alteryx.com
具体的に「データ分析を行っている領域」としては、以下のような回答結果になりました。
・「管理・レポート作成のプロセス最適化」:45%
・「収益性向上」:39%
・「意思決定のスピードアップ/効果的な意思決定の実現」:38%
・「予測分析」:29% また、「データ知見の共有」については以下の結果となりました。 ・「部門別に個別にデータにアクセス」:40%
・「中央集権型の分析チームが企業の全データにアクセス」:9%
・「あらゆる部門をまたいでデータにアクセス」:8% ●経理・財務部門のDXの現状
次に、経理・財務部門においてデータ分析の基盤となるDXの現状を調査しました。多くの企業が課題感を抱いていることが明らかになりました。 「今後5年間で自社の日本における経理・財務の業務量および部署の規模は変化すると考えるか」という問いに対する回答結果は、以下のようなものでした。 ・「経理・財務部門の業務量は増えるが、規模は変わらない」:全体の約50%
・「規模が大きくなる」:全体の約30% 昨今の経理・財務部門は、非財務情報に関する開示や、BEPS(税源浸食と利益移転)による税務情報開示など、制度面によって業務量が増えているのが現状だといいます。 そのように業務量が増加する中で、経理・財務部門のDX推進において、業務のデジタル化が「非常に遅れている」または「遅れている」と答えた企業は58%に上りました。 なお、業務のデジタル化について、「ある程度進んでいる」とした回答率を、売上高による企業規模別に見ると、以下のようなことが分かりました。 ・売上高100億円以上1,000億円未満:約35%
・1,000億円以上5,000億円未満:42%
・5,000億円以上:52% このように、企業規模に応じて割合が大きくなっています。 また、「経理・財務プロセスにおいてデジタル戦略が策定されているか」という質問に対しては、以下のような結果となりました。 ・グローバル拠点か日本拠点かを問わず「デジタル戦略が存在する」:42%
・「現状ないが検討中」:28% 上記を合わせて70%程度の企業が、経理・財務プロセスのデジタル戦略を進めていることが分かりました(図2)。
・「収益性向上」:39%
・「意思決定のスピードアップ/効果的な意思決定の実現」:38%
・「予測分析」:29% また、「データ知見の共有」については以下の結果となりました。 ・「部門別に個別にデータにアクセス」:40%
・「中央集権型の分析チームが企業の全データにアクセス」:9%
・「あらゆる部門をまたいでデータにアクセス」:8% ●経理・財務部門のDXの現状
次に、経理・財務部門においてデータ分析の基盤となるDXの現状を調査しました。多くの企業が課題感を抱いていることが明らかになりました。 「今後5年間で自社の日本における経理・財務の業務量および部署の規模は変化すると考えるか」という問いに対する回答結果は、以下のようなものでした。 ・「経理・財務部門の業務量は増えるが、規模は変わらない」:全体の約50%
・「規模が大きくなる」:全体の約30% 昨今の経理・財務部門は、非財務情報に関する開示や、BEPS(税源浸食と利益移転)による税務情報開示など、制度面によって業務量が増えているのが現状だといいます。 そのように業務量が増加する中で、経理・財務部門のDX推進において、業務のデジタル化が「非常に遅れている」または「遅れている」と答えた企業は58%に上りました。 なお、業務のデジタル化について、「ある程度進んでいる」とした回答率を、売上高による企業規模別に見ると、以下のようなことが分かりました。 ・売上高100億円以上1,000億円未満:約35%
・1,000億円以上5,000億円未満:42%
・5,000億円以上:52% このように、企業規模に応じて割合が大きくなっています。 また、「経理・財務プロセスにおいてデジタル戦略が策定されているか」という質問に対しては、以下のような結果となりました。 ・グローバル拠点か日本拠点かを問わず「デジタル戦略が存在する」:42%
・「現状ないが検討中」:28% 上記を合わせて70%程度の企業が、経理・財務プロセスのデジタル戦略を進めていることが分かりました(図2)。
via www.alteryx.com
●データ駆動型CFO組織の実現のために必要なこととは
経理・財務部門のDXにおいては、以下のようなことが求められているといいます。 ・プロセスの効率化・自動化
・それにより削減された工数を事業や経営に資するためのFP&A(ファイナンシャル・プランニング&アナリシス)機能にシフトしていくこと そうした中、経理・財務部門において何らかのデータの分析や活用に取り組んでいるとした企業は、回答者の54%でした(図3)。
経理・財務部門のDXにおいては、以下のようなことが求められているといいます。 ・プロセスの効率化・自動化
・それにより削減された工数を事業や経営に資するためのFP&A(ファイナンシャル・プランニング&アナリシス)機能にシフトしていくこと そうした中、経理・財務部門において何らかのデータの分析や活用に取り組んでいるとした企業は、回答者の54%でした(図3)。
via www.alteryx.com
「データ分析・活用が実施されている経営分析および予測の領域」としては、以下のような回答が上位に挙げられました。
・「限界利益分析などによる収益予測分析」:56%
・「マーケット、顧客の変動などの需要予測」:29%
・「連結ベースでの製品サービス/顧客・チャネル等の収益性分析」:28%
・「複数ビジネスシナリオによる将来予測」:25% 一方で、以下のような項目の回答率は高くありませんでした。 ・「人的資本経営に関連する非財務指標の収集と進捗管理」:15%
・「ESGに関連する非財務指標の収集と進捗管理」:10% また、「内部監査・不正検知」の領域では、以下の、伝統的な手法を活用する項目が、高い回答率を得ました。 ・「財務指標の推移分析」:61%
・「特定勘定科目の推移分析/例外取引抽出」:47% 一方で、他の取り組み、特に新しいテクノロジーを活用する分析手法は、それぞれ20%以下だったとのことです。 さらに、「データ分析を行う仕組み」については以下の結果となりました。 ・「製品を利用し社内にて分析」:75%
・次に「社内にてスクラッチ開発したシステムを活用」:56%
・社外への委託は28% そして、経理・財務部門がテクノロジーを活用する「阻害要因」として、以下の回答が上位に挙げられたとのことです。 ・「業務の属人化」:63%
・「デジタル化されていない資料」:59%
・「社内の意識」:56%
・「異なるシステムの乱立」:45%
・「マーケット、顧客の変動などの需要予測」:29%
・「連結ベースでの製品サービス/顧客・チャネル等の収益性分析」:28%
・「複数ビジネスシナリオによる将来予測」:25% 一方で、以下のような項目の回答率は高くありませんでした。 ・「人的資本経営に関連する非財務指標の収集と進捗管理」:15%
・「ESGに関連する非財務指標の収集と進捗管理」:10% また、「内部監査・不正検知」の領域では、以下の、伝統的な手法を活用する項目が、高い回答率を得ました。 ・「財務指標の推移分析」:61%
・「特定勘定科目の推移分析/例外取引抽出」:47% 一方で、他の取り組み、特に新しいテクノロジーを活用する分析手法は、それぞれ20%以下だったとのことです。 さらに、「データ分析を行う仕組み」については以下の結果となりました。 ・「製品を利用し社内にて分析」:75%
・次に「社内にてスクラッチ開発したシステムを活用」:56%
・社外への委託は28% そして、経理・財務部門がテクノロジーを活用する「阻害要因」として、以下の回答が上位に挙げられたとのことです。 ・「業務の属人化」:63%
・「デジタル化されていない資料」:59%
・「社内の意識」:56%
・「異なるシステムの乱立」:45%
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