帝国データバンクは2022年10月31日、企業のDXやリスキリングの取り組みに関する調査結果を発表しました。全国の企業1万1621社に聞いた結果です。DXの取り組み状況や課題、リスキリングの取り組み内容などを聞いています。
DXをどの程度理解し、取り組んでいるかを聞いた結果が図1です。
via www.tdb.co.jp
「言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない」がもっとも多く、35.3%を占めます。「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」と答えた割合は15.5%にとどまります。「意味を理解し取り組みたいと思っている」は24.2%で、「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」と合わせると4割近くの企業がDXに前向きであることが分かります。
なお取り組んでいる企業からは、「DX推進部署を新設し社内人材を配置転換。成果も上がっている」、「DX推進については外部専門企業との連携にて進めている。先々を見据えて社内人材も増やす必要性を感じている」などの声がありました。
「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」と答えた企業を規模別、従業員数別で見るとどうか。その結果が図2です。
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結果は「大企業」は26.6%で取り組んでいました。従業員数が多い企業ほどDXへの取り組みは積極的で、1000人超では企業の47.8%と半数近くが取り組んでいました。一方、「小規模企業」(8.8%)、「5人以下」(9.1%)と、小規模企業や従業員数が少ない企業の場合、DXに取り組む割合が低くなります。自由回答の中には、「小規模事業所では人材が不足し、当面対応できない」などの声もありました。
DXに取り組む上での課題を聞いた結果が図3です。
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「対応できる人材がいない」(47.4%)や「必要なスキルやノウハウがない」(43.6%)などが上位を占めます。4割以上の企業で人材やスキル・ノウハウの不足に関する課題が見られました。「対応する時間が確保できない」(33.3%)や「対応する費用が確保できない」(27.5%)など、時間・金銭面における制約を課題とする企業も少なくありません。
自由回答の中には、「社内に導入しようとしても、その実務を進められる人材がいないことが最大のネック」、「従業員にDXの考え方を定着させることが難しい」、「職員の高齢化が進み、対応できる人材が少ない」といった声もありました。
リスキリングの取り組み状況と、具体的な取り組み内容を聞いた結果が図4です。
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何らかの取り組みを1つ以上実施する企業(「取り組んでいる」企業)は48.1%と半数近くを占めます。ただし一方で、「特に取り組んでいない」企業も41.5%と高い割合を占めます。取り組む企業とそうでない企業とで二分されていることが分かります。
具体的な取り組み内容をみると、オンライン会議システムやBIツールなどの「新しいデジタルツールの学習」が48.4%で1位でした。次いで、「経営層による新しいスキルの学習、把握」(38.6%)、「従業員のデジタルスキルの把握、可視化」(32.3%)、「経営層から従業員に学習が必要なスキルを伝達」(29.5%)、「eラーニング、オンライン学習サービスの活用」(28.2%)と続きます。
自由回答の中には、「必要最低限のITスキルを身につけるべく、ITパスポート資格取得を義務化した」、「DXに対応する知識・技術を教育するのが困難で、効果があると見込まれるIT関連資格をいくつか提示し、社員に資格取得を奨励している」、「スキルマップの整備」、「現在いる従業員をDX学校へ受講させIT導入士の資格を取得。外部のDXに詳しい人材と毎月打合せをしている」などの声もありました。
デジタルスキルなどを有する兼業・副業人材の外部からの受け入れについても聞いています(図5)。
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結果は「現在受け入れておらず、今後も予定していない」が62.7%で半数を超えます。「現在、外部から兼業・副業人材を受け入れている」企業は3.3%にとどまります。「現在、外部から兼業・副業人材を募集している」は1.2%で、あわせても4.5%しか兼業・副業人材を受け入れ、募集していませんでした。
受け入れない企業の中には、「副業人材はスキルが期待できるが、データをみせる勇気がない。情報漏洩が気になる」、「兼業・副業については関心はあるものの、兼業・副業先との間で時間外勤務部分の扱いなどで導入の障壁がある」など、情報漏洩リスクや兼業・副業人員に対する労働時間の管理を懸念する声が見られました。
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