矢野経済研究所は2021年2月9日、アパレル向けRFIDタグの2019年の国内流通総数と、今後の予測を発表しました。アパレル業界でデジタル化の必要性が高まる要因についても触れました。
アパレル向けRFIDタグの流通数は増加傾向
2019年のアパレル向けRFIDタグの国内流通総数は24億7149万枚でした。2018年の22億8265万枚と比べて8.3%増加しています。
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今後も国内流通総数は増加すると見られ、2025年には32億1294万枚になると同社は予測しています。同社によると、RFIDタグの平均価格低下によって導入が進んだといいます。2017年にファーストリテイリングがGUでセルフレジを導入したこともあり、アパレル業界ではRFIDタグへの関心が高まっているとしています。
また同社では、大量の不良在庫を抱えてしまうアパレル産業の構造を変えるためには、需要予測の精度を高めて見込生産を最小限にとどめる必要があるといいます。このとき有効なのがDXで、とりわけアパレル向けのRFIDタグの期待は大きいそうです。
各作業工程でデジタル化のニーズを見込める
同社は、アパレル業界における各作業工程で、デジタル化のポテンシャルがあるとしています。
企画・製造工程では、3D CADを使ってサンプル作成を短期化する取り組みなどにより、在庫の適正化は進んでいます。その一方、企業と工場をマッチングするなどのサプライチェーン向けのソリューションを活用するケースは少なく、今後の動向を注視すべきとしています。
販売・販売促進工程は、他工程よりデジタル化が進んでいます。アパレル業界に限ると、リアル店舗やWebサイト向けサービスにはまだ導入の余地があるものの、今後はD2C(Direct to Consumer)のビジネスモデル拡大により、D2C向けビジネスを支援するプラットフォームが増えるとしています。
管理工程のデジタル化を支えるテクノロジがRFIDタグです。RFIDタグはこれまで、棚卸を効率化する目的で使われてきましたが、現在は在庫を管理する目的に移りつつあります。今後はセルフレジやマーケティングで使われる段階に移行するとしています。
採寸工程のデジタル化を支える主なテクノロジが3Dボディスキャンです。3Dボディスキャンの実施によって蓄積したデータをECサイトなどで利用できるようになれば、市場拡大につながるとしています。スキャンする回数を増やしてビッグデータを保有することで、ドラスティックな成長戦略を描けるようになるとしています。