独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、戦略・技術・人材の視点から日本企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組とその成果、技術利活用、人材育成などについて調査した結果をまとめた「DX動向2024」を公開しました。この調査は、DX白書に続く形で2024年2月から5月まで実施され、その結果を速やかに公表しています。調査の結果、日本企業のDXの取組は順調に増加しており、成果が出ている企業の割合も増加傾向にあります。しかし、DXの取組をデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類して分析すると、各段階の具体的な取組項目別の成果には大きな変化が見られませんでした。特にデジタルトランスフォーメーション段階での成果は、他の段階に比べて道半ばであることが明らかになりました。調査によると、DXの取組状況は2021年度から年々増加しており、2024年時点で7割強の日本企業がDXに取り組んでいます(図1)。これは2022年度の米国とほぼ同水準です。DXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度の55.8%から2024年度には73.7%に増加しており、着実にDXが企業に浸透していることがわかります。
また、DXの取組において成果が出ている企業の割合は、2022年度調査の58.0%から2023年度調査では64.3%に増加しています(図2)。しかし、9割程度の企業が「成果が出ている」と回答した2022年度の米国と比べると、日本企業のDXの成果はまだ道半ばといえます。
さらに、DXの取組項目別の成果状況については、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分けて分析したところ、2022年度調査から大きな変化は見られませんでした(図3)。特に、「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」といったデジタルトランスフォーメーションの取組は、他の段階と比較して成果が出にくい傾向がみられます。
この調査では、データ利活用やAI、生成AI、システムの内製化、レガシーシステムの刷新といった技術の利活用状況や、DXを推進する人材の過不足や育成に関する状況も分析され、過年度調査との経年比較も行われています。IPAは、本調査がDXに取り組んでいる、あるいはこれから取り組もうと考えている企業の参考となり、DX推進に役立つことを期待しています。