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DXが遅れているジュエリー業界、店舗改革や販売スタッフの働き方改善がDXを加速させる

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インフォーマ マーケッツ ジャパンと日本ジュエリー協会は2023年8月30日から9月1日まで、展示会「ジャパンジュエリーフェア 2023」を開催しました。会場となった東京ビッグサイトには、宝石を扱う小売や卸売事業者など約300社が国内外より集結。多くの出展企業が商品である宝石を展示し、来場者との商談に臨んでいました。ここでは期間中に会場内で開催したセミナーの様子を紹介します。

「ジャパンジュエリーフェア 2023」の期間中、3日間で20近くのセミナーを開催。宝石市場の現状や海外企業の動向のほか、小売事業者向けに顧客体験の創出方法や店舗スタッフの接客技術、ECビジネスの可能性をテーマにしたセミナーを開催しました。

中でも多くの聴衆で賑わっていたのが、最終日に開催した「ジュエリー販売DXの最新事情」というセミナーです。多くの小売事業者がDXに舵を切る中、DXへの取り組みが遅れていると言われるジュエリー業界。セミナーではDXに精通する識者をゲストに迎え、店舗の販売業務のDXについて議論しました。

ゲストには、宝飾品の製造や販売を手掛ける企業を傘下に持つフェスタリアホールディングス 代表取締役社長の貞松隆弥氏、企業のDX推進を支援するコンサルティングを展開するデジタルシフトウェーブ 代表取締役社長の鈴木康弘氏、店舗スタッフのDXを支援するサービス「STAFF START」を提供するバニッシュ・スタンダード CEO/代表取締役の小野里寧晃氏の3人が登壇。日本ジュエリー協会 理事・国内活性化委員会 委員長の宮崎晋之介氏がモデレータを務め、販売業務の現状に斬りこみました。

セミナーに登壇したフェスタリアホールディングス 代表取締役社長の貞松隆弥氏(写真左)、デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長の鈴木康弘氏(写真中央)、バニッシュ・スタンダード CEO/代表取締役の小野里寧晃氏(写真右)

ジュエリー店を国内外に87店舗展開するフェスタリアホールディングスの貞松隆弥氏は、店舗を取り巻く現状を考察します。「スマートフォンを使って商品情報を事前に調べてから来店する人が増えた。商品知識なしに来店する人は激減した。つまり、消費行動は変わりつつある。にもかかわらず、店舗の販売スタッフはこうした消費行動に追随できずにる。店舗こそ行動を変えなければいけない」(貞松氏)と指摘。同社では、顧客とのあらゆる接点を“360度タッチポイント”と呼び、あらゆる顧客接点に追随する体制づくりを進めているといいます。「店舗かECサイトかを問わず、どんな顧客接点でも自社の取り組みや姿勢を訴求できなければならない。そのためにはブランドをきちんと確立するのはもとより、顧客管理を一元化するCRM、さらには物流網といったインフラの整備が欠かせない。さらに、大切なのは『人』だ。店舗はもちろんECサイトであっても、人を起点に消費者ニーズを満たす取り組みを模索することが必要だ」(貞松氏)と訴えます。販売を担うスタッフこそ改革すべきだと主張します。

イベント会場内のセミナーブースには多くの人が参加した

バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃氏は、DXによってスタッフの役割がどう変わるかを説明。同社が提供するサービス「STAFF START」は、店舗スタッフがオンラインでも接客を行えるようにするものです。これにより、スタッフは店舗に限らず、オンライン上でも顧客に商品説明やアドバイスを提供できるようになります。また、このサービスはスタッフの販売実績を評価し、インセンティブを与える仕組みを導入しているため、スタッフのモチベーション向上にも寄与しています。小野里氏は、「人の力を最大限に活用することがDXの成功の鍵である」と述べました。

鈴木氏は、DXの本質について「デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革すること」と説明しました。単なるIT化やデジタル化ではなく、企業全体の変革を目指すものであることを強調しました。これにより、企業は新しい価値を創造し、競争力を高めることができます。DXは、従来のビジネスの枠組みを超えて、お客様のニーズに柔軟に対応するための手段であるとされました。

DX導入に際しては、組織内の抵抗勢力との向き合い方も重要と続けます。鈴木氏は、抵抗勢力は新しいことに対する恐怖心から生まれるものであると指摘し、丁寧な説明と未来のビジョンを共有することが重要であると述べました。また、貞松氏も、マーケティング部門からの抵抗があることを認めつつも、現実の店舗で行われていることをオンラインに反映させるだけであると説得しました。このように、組織内のコミュニケーションを強化し、共通の目標に向かって協力することがDX成功の鍵であるとされています。

ジュエリー業界におけるDXは、まだ始まったばかりです。しかし、DXは顧客体験を向上させ、業績を伸ばすための強力な手段であることが本セミナーで明らかになりました。貞松氏、小野里氏、鈴木氏の取り組みと見解は、業界全体にとって貴重な示唆を提供しています。これからのジュエリー業界は、DXを積極的に取り入れることで、さらなる成長と発展を遂げることが期待されます。参加者全員が、ジュエリー業界の未来に向けて新しい一歩を踏み出すことを決意したセミナーとなりました。

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