パックのままの納豆や温めた冷凍食品を「手料理」と呼ぶ人が急増中。博報堂の最新調査が、私たちの「食の当たり前」が激変している衝撃の実態を明らかにしました。「おふくろの味」が過去のものとなりつつある現代、生活者が求める本当の理想と、驚きの価値観の地殻変動に迫ります。
完全栄養食はもはや正式な食事、タイパと効率を追求する現代のライフスタイル
博報堂生活総合研究所は、20代から69歳の男女1,500名を対象に「食に関する生活者調査2026」を2026年3月に実施しました。この結果から、家庭の手作りを中心とした「おふくろの味」から、調理済み食品を駆使した「ふくろの味」へと生活者の意識が大きく広がっている実態が明らかになりました。具体的には、焼かずにバターなどを塗ったパンを手料理だと思う人が27.9%に達し、3年間で6.3ポイント増加しています。また、パックのままの納豆を手料理とみなす人も22.6%となり、温めた冷凍食品を手料理と答えた人は40.7%を記録しました。さらに、食事の範囲そのものにも変化が起きています。完全栄養食やバランス栄養食が食事の代わりになると考える人は67.6%にのぼり、3年前に比べて15.9ポイントも急増しました。プロテインを食事とみなす層も34.1%に拡大しており、ハンバーガーや唐揚げも含めて、利便性の高いメニューがきちんとした食事であると認識される時代を迎えています。
このような食の定義の変化に伴い、生活者が抱く食の価値観もジェンダーレスや効率性を重視する方向へとシフトしています。家事分担において男性が料理を担当することを今の価値観と捉える人は82.9%に達しました。その一方で、宴会などで女性が料理を取り分ける文化を昔の価値観であるとする人は80.1%を占めています。多くの生活者が性差による役割意識を持たなくなっている様子がうかがえます。また、多忙な日常を背景に、料理の手間を減らして別のことをする時間を作ることという考え方を支持する人は81.5%を記録しました。料理の手間を省くことを手抜きだと思う価値観に対しては、66.4%の人が不支持を表明しています。メニュー用調味料や惣菜を活用することは今や主流であり、かつてのように手料理に過度にこだわる理想主義は影を潜めつつあります。
同研究所は、これらの食に対する意識を今と昔、支持と不支持の軸で4つの類型に分類しました。今の価値観であり多くの人が支持する「うけいれたい」の領域には、レトルト食品や冷凍食品を用いた簡便調理が定着しています。しかし、昔の価値観でありながら支持を集める「のこしたい」の領域には、手料理へのこだわりや手作り弁当が挙げられており、効率を求めつつも手作りの伝統を守りたいという思いも根強く残っています。一方、栄養食品で食事を済ませるスタイルは「みきわめたい」として支持と不支持が拮抗しています。性差の役割意識や手抜き論といった「なくしたい」古い価値観を否定し、多様性を尊重した自由な食事スタイルを受け入れる傾向が強まっています。
見解として、 手料理や食事の定義がタイパ重視で再定義される動きは、現代のライフスタイルに最適化された必然的な変化と言えます。 伝統的な手作りの価値を認めつつも、効率的な調理やジェンダーレスな家事分担を受け入れる柔軟な家庭内ガバナンスが広がっています。
詳しくは「株式会社博報堂」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部 戸田





















