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セミナー

ビジネスモデルの革新をイメージせよ、成功事例からDX成功のヒントを探る

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DXマガジンは2022年7月21日、定例のDX実践セミナーを開催しました。今回のテーマは「DXビジネスモデル~DXを成功させる攻めの戦略に迫る~」。ローランド・ベルガー パートナーの小野塚征志氏がゲストとして登壇し、著書である「DXビジネス」の内容をもとにDX成功の秘訣を紹介しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

4つに大別されるビジネスモデルの方向性

 セミナーでは、小野塚氏が「DXビジネスモデル」を執筆した背景に言及。特に強調したのが、「DX=デジタル化」ではないことを理解してほしかったという点です。「多くの企業がDXをデジタル技術の導入と勘違いしている。デジタル技術を活用したビジネスモデルの革新こそDXだと強く認識してほしい」(小野塚氏)と訴えました。同氏は、RPAやペーパーレス化といったデジタル化を進めることを必ずしも否定しません。しかし、「ツールの導入は他社も真似できる。これでは長期的な競争力強化に結び付かない。最近のDX関連セミナーの中には、先端のDXツールを提供、DXの目的は生産性向上、現場管理に必須のDXなどのキーワードをよく目にするが、これらに取り組んでも国際競争力は養えない」と断言します。デジタル技術でどう儲けるか、どんな価値を提供するかに目を向けるべきと訴えます。
「ビジネスモデルの革新」を多くの人にイメージしてもらうことも執筆理由の1つだと小野塚氏は続けます。「収益を得る方法や差別的優位性の源泉などを変えることで企業価値を高めることはビジネスモデルの革新と言える。誰にどのような価値をどう提供するのかを変えることで競争力を高めることも同様だ。しかしこうした“理屈”だけでは革新をイメージできない」(小野塚氏)と指摘。その上で著書「DXビジネスモデル」では、ビジネスモデルの革新を具体的にイメージできるようにしたと言います。「著書ではビジネスモデルの革新について80の事例を紹介する。さまざまな業種の事例をイメージすることで、“理屈”ではない革新を理解しやすくした」(小野塚氏)と言います。
では、どんなビジネスモデルを描けばよいのか。著書ではDX時代のビジネスモデルの方向性を4つに大別します。「DX時代のビジネスは、『場の想像』『非効率の解消』『需要の拡大』『収益機会の拡張』に大別できる。従来のビジネスと違い、デジタル技術を駆使すれば、モノやサービスを提供する側、モノやサービスを提供する場、モノやサービスを利用する側の仕組みやニーズが変わることを念頭に置き、これら4つを基準にビジネスモデルを模索してほしい」(小野塚氏)と訴えました。
セミナーでは4つの方向性に突き進む企業事例も紹介しました。例えば「場の想像」では、世界中のデザイナーズ家具を取り扱う英OpenDeskのビジネスモデルを取り上げました。
同社のビジネスモデルについて小野塚氏は、「OpenDeskのサービスは、家具デザイナーのデザインだけを売り買いできる。加えて、そのデザインを家具にする企業とマッチングする機能も備える。世界中の家具工場と連携し、デザイン購入者の住む地域で家具にしてくれる家具工場まで紹介する。デザイン購入からデザイン家具製作、家具納品までを一気通貫で提供するのがサービスの強みだ」と言います。さらに、「海外のデザイナーズ家具を購入すると輸入しなければならない。しかしOpenDeskのサービスを利用すれば輸入コストを省ける。これまでの物流を革新した事例ともいえる」(小野塚氏)とメリットを分析します。
図1:OpenDeskのビジネスモデルイメージ

図1:OpenDeskのビジネスモデルイメージ

 「非効率の解消」の事例も紹介しました。Standard Cognitionは、小売店舗向けにAIを基盤としたレジレスのチェックアウトシステムを提供する企業。入店から商品確保、退店、決済までを店員を介さず自動化するプラットフォームを展開します。小野塚氏は同社のプラットフォームについて、「レジ要員が不要になるといったメリットはもちろん、店舗来店者にとってはレジに並ばなくて済むのが何よりのメリットだ。混雑時にレジに並ぶのが嫌だから来店を控えるといった利用者を減らせることから、店舗運営企業は売上向上を見込める。カメラで来店者の行動を把握でき、どんな身なりか、何人で来店したか、どの商品を一度手に取って元に戻したのかまで追跡できる。同社のプラットフォームは前述の『非効率の解消』に当てはまるとともに、来店者のデータ収集を機に『収益機会の拡張』まで見込めるのが強みだ」(小野塚氏)と指摘します。なお、代表的なレジレスプラットフォームに「Amazon Go」があるが、Standard Cognitionのプラットフォームの優位性を小野塚氏は、「Amazon Goは顔認証を必要とするが、Standard Cognitionのプラットフォームは顔認証不要だ。欧州を中心に個人情報保護の観点で顔認証を認めない動きもある。Standard Cognitionのプラットフォームなら、欧州のこうしたニーズを満たすことができる」と指摘します。
図2:Standard Cognitionのビジネスモ...

図2:Standard Cognitionのビジネスモデルイメージ

 セミナーではこれらの事例に加え、「需要の拡大」「収益機会の拡張」に当てはまる事例も紹介。図をもとにどんなビジネスモデルを描いたのか。何を強みとしているのかも解説しました。

DX成功への道筋を具体化せよ

 小野塚氏は講演後半、DXの実現方法にも触れ、目指す姿とその実現に至るまでの戦略を具体化することが重要と述べました。どんな企業を目指すのか、それをどう実現するのかを描くことから取り組んでほしいとセミナー参加者に訴えました。例えば、目指すべき企業像を描くなら次の点を具体化すべきだと指摘します。
・どのような企業/個人に対して価値を提供するか
・誰からリターンを得るのか
・どのような価値を提供するか
・どの価値提供を通じてリターンを得るのか
・どのように価値提供を実現するか
・どのような方法でリターンを得るか
実現方法についても、次の点をイメージすることが大切だと指摘しました。
・誰が実行主体となるのか
・誰が責任を負うのか
・どのような施策を実行するのか
・どのような成果を得られるのか
・いつ実行するのか
・どのような順番で実行するのか
小野塚氏は最後に、「企業は今後、DXを成し遂げなければ生き残れない。実際、社会や消費者の変化に対して挑戦しなかった企業が倒産したり、赤字が常態化したりするケースが散見される。一方、変化に先んじた企業が過去最高益を更新したケースもある。10年後や20年後を見据え、今からDXに取り組まんでほしい。もし乗り遅れれば、自社も倒産や赤字常態化といったケースに陥りかねない。ぜひ新たなビジネスモデルを模索してほしい」とまとめました。
 前回のDX実践セミナーでは、「全体最適」を浸透させるマネジメント理論「TOC」の考え方や業務改革のポイントについて解説しています。こちらの記事も合わせてお読みください。
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