働き方改革関連法の施行から5年が経過し、厚生労働省が労働時間に関する総点検を実施しました。労働者3千人を対象としたインターネット調査では、「このままで良い」が59.5%、「減らしたい」が30.0%、「増やしたい」は10.5%にとどまりました。月あたりの時間外労働で原則の法定上限となる45時間以上を「妥当」とする回答は約7%でした。厚生労働省の担当者は、現行の規制を超えた時間も働きたいとする人は限定的だとしています。調査は昨年10月から12月に実施され、施行5年後の検討規定に基づく見直し議論の材料として整理されました。働き方改革関連法は相次ぐ過労自殺を受けて2019年に施行されました。
総点検では、具体的な上限水準に対する意向も把握されています。所定労働35時間以下で年収200万円未満のパート労働者などを除いた上で、「時間外労働を月80時間以内で増やしたい」は4.9%となり、「時間外労働を月80時間を超えて増やしたい」は0.5%にとどまりました。厚生労働省は、労働時間を増やしたい人も一定程度いる一方、上限規制の水準である月80時間を超えてまで増やしたい人は限定的だったと評価しています。2019年施行の上限規制は、残業を原則月45時間、年360時間、特別な事情でも複数月平均80時間以内とする枠組みです。調査結果は、上限水準に対する受け止めや、健康確保への意識が根付いている実態を示しています。
企業側へのヒアリングも327社と97人を対象に行われました。結果は「このままで良い」が201社、「減らしたい」が73社、「増やしたい」は53社でした。増加を求める企業は約16.2%で、運輸や建設で多く、業務の性質、受注の確保、労働者側の希望といった理由が挙げられています。減少を希望する約22.3%の企業からは、労働者の健康を考えると上限まで増やしたいとは思わないといった声が示されました。企業の多数は現状維持を志向しつつ、産業特性に応じて増減ニーズが分かれる構図がうかがえます。月45時間以上の時間外を妥当とする労働者が約7%にとどまることも踏まえ、長時間労働の抑制意識は引き続き根強い状況です。
見直しの議論は、労働政策審議会で進んでいます。高市早苗首相は2月の所信表明演説で、総点検で把握した働く人の声を踏まえ、裁量労働制の見直しに向けた検討を進める方針を示しました。政府は調査の知見を基に、今後具体策の議論を本格化させます。今回の総点検は、労働時間に関する労使の意向を定量的に可視化し、制度運用の実態を整理するものです。全体では現状維持が中心で、次に短縮志向が続き、増加を望む層は少数という傾向が示されました。上限規制の順守と健康確保策の実効性を高める取り組みが、引き続き政策の焦点となります。
詳しくは厚生労働省の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















