株式会社帝国データバンクは、全国2万3,349社を対象に実施したアンケートで、2026年度の業績見通しに関する結果を公表した。有効回答は1万312社で、回答率は44.2%となった。調査期間は2026年3月17日から3月31日までである。増収増益を見込む企業は23.9%にとどまり、前回から0.7ポイント低下し、3年連続の減少となった。減収減益は22.6%で、同1.4ポイント上昇し、3年連続で増加した。前年度並みは21.9%でわずかに低下している。
直近の推移を見ると、2019年度を除く2020年度から2025年度までの6年間は、実績が見通しを上回る傾向が続いた。コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争などで不透明感が高まるなかでも、価格転嫁の進展が収益確保につながり、慎重な見立てよりも実績が上ぶれた形である。2026年は米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃開始など、中東情勢の緊迫が継続している。ホルムズ海峡の封鎖懸念も含め、地政学的要因が強まることで、企業は見通しを一段と慎重化させている。先行きの不確実性が高い分、年度を通じての着地を見極める姿勢が広がる。
業種別では、増収増益の割合が高いのは金融で35.7%となった。金利上昇に伴う利ざや改善や市場活況が追い風となっている。続いて精密機械、医療機械・器具製造が35.6%、情報サービスと飲食料品・飼料製造が30.9%、電気機械製造と飲食料品小売が30.0%で続いた。半導体関連投資の進展により素材や装置、部品の受注環境が改善している点や、AI活用や官民のデジタル化投資が安定需要となっている点が背景にある。他方、減収減益では電気通信が42.9%で最も高く、各種商品小売が36.8%、家電・情報機器小売が34.8%、医薬品・日用雑貨品小売が34.0%、専門商品小売が31.6%と続いた。減収減益の上位10業種のうち小売業が6業種を占め、販売現場での逆風が強い。
現場の声として、専門商品小売からは中東情勢の悪化で原油輸入が止まり、石油価格が異常に上がった結果、店頭で買い控えが始まったとの指摘があった。家電・情報機器小売では入荷の遅れが深刻で、売れても現金化できず、納入時期も不明という声が寄せられた。燃料費や原材料費、人件費の上昇を受けて価格転嫁が進む一方、相次ぐ値上げに消費者が敏感となり、売り上げへの影響を懸念する状況が広がっている。サプライチェーンの滞りやコスト増が重なり、短期の業績下押し圧力が意識されている。小売を中心に、需給の不安定化が販売計画に影響している。
上振れ材料としては、個人消費の回復が32.0%で4年連続のトップとなった。原油・素材価格の動向が26.9%、所得の増加が21.7%で続き、消費を支える要素が重視されている。中東情勢が改善すれば、原油・素材価格や各種コストの低減につながるとの声も目立った。下振れ材料では、原油・素材価格の動向が52.1%で最も高く、前回から18.6ポイントの大幅上昇となった。物価の上昇が38.3%、人手不足の深刻化が34.2%、個人消費の一段の低迷が30.2%と続いた。カントリーリスクは19.9%で前回から10ポイント以上上昇しており、中東情勢の悪化と連動した不安が強まっている。
2026年度の業績見通しは、金融など一部で明るさが見られる一方、全体では慎重姿勢が継続している。中東情勢の悪化に伴う資源価格の高騰や物流停滞が既に一部で顕在化し、小売業などの先行きは厳しい。個人消費の回復や所得の増加は上振れ要素となりうるが、コスト増と需要減の綱引きが続く構図である。実質賃金の改善が進めば、消費の好循環が企業業績の下支えとなる。今後は、原油・素材価格と物価動向が最大の焦点となり、事態の早期安定化が望まれる。企業はリスク要因の変化を注視し、年度内の計画修正に備える必要がある。
詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















