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NECの生成AIが119番の緊急度入力を支援へ 消防局で有効性を検証

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猛暑や高齢化で増える119番に、待ったなしの改革です。日本電気株式会社が生成AIを使い、通報内容から緊急度判定の入力を自動支援するプロトタイプを開発しました。横浜市消防局での検証では約85%の正答率という結果です。なぜ今AIなのか。現場の課題と導入計画から、その答えが見えてきます。

119番のボトルネックをAIがほどく仕組みと検証結果

日本電気株式会社は、119番通報の会話から傷病者の状態や症状を抽出し、横浜市消防局の「緊急度・重症度識別プロトコル」の入力項目を自動選択するプロトタイプを開発しました。背景には、2024年の全国の119番通報が約1,014万件に達し、過去最多だった2023年の約1,025万件に迫る高水準という事実があります。通報が集中すると、指令管制員に繋がらない滞留呼の発生が懸念され、受付業務の効率化が急務です。横浜市消防局は2008年から同プロトコルを運用し、20を超える症状ごとに緊急度基準を定め、90以上の入力項目で判定を行ってきました。指令員は住所確定や災害種別の判断、現場への申し送りも並行処理しており、入力負荷が高いことが課題でした。プロトタイプは、通話音声を認識し、生成AIでテキストを構造化し、該当項目を自動で選択して判定結果を提示します。横浜市消防局の協力による検証では、人手入力との比較で約85%の正答率を確認しています。

この仕組みは、非構造化データから必要情報を抽出し、既存プロトコルに沿って画面上の項目選択を自動化する点が要です。具体的な処理は、受電、聞き取り、音声認識、構造化、項目自動選択、判定提示という流れです。プロトコル準拠のため、判定根拠の透明性と運用の親和性が確保されます。入力時間の削減が期待され、滞留呼の抑制につながる可能性があります。正答率はボタンのONとOFFそれぞれの正答率を平均したバランス正答率として算出されています。数値の意味づけが明確なため、改善指標としても運用しやすい設計です。横浜市消防局と連携して、実フィールドでの開発と検証を継続する計画です。現場データに基づく精度向上が進められます。

日本電気株式会社は2026年度中の実用化と横浜市消防局への導入を目指しています。総務省が2023年に公開した「緊急度判定プロトコルVer.3」にも対応し、同プロトコルを使う全国の消防に提供する方針です。提供開始の目標も2026年度中です。これにより、地域差をまたいだ共通基盤での運用が想定されます。さらに、通信指令の専門家が集う場として「第8回 通信指令シンポジウム」で横浜市消防局から発表予定です。現場からの知見が共有され、改善サイクルが進む機会になります。プロトタイプの段階ながら、導入と展開のロードマップが示されています。

通報増加の背景には高齢化や酷暑があり、今後も処理能力の底上げが欠かせません。音声からの自動構造化は、指令員の負荷を軽減します。プロトコル準拠の判定支援は、手続きの一貫性を保ちます。正答率の向上を目標に実証を積み重ねる姿勢が示されています。横浜市消防局の長年の運用知見が、AIの実装と学習を後押ししています。全国展開を見据えた設計は拡張性に配慮したものです。現場の連続性を保ちつつ、入力の自動化で処理速度を高める方向性が示されています。

見解 日本電気株式会社の取り組みは、通報受付の律速段階である入力業務をAIで最適化する実装例です。共通プロトコル対応により、標準化とスケールの両立が進むと考えます。

詳しくは「日本電気株式会社」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部

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