2025年12月、金融庁は令和8(2026)年度税制改正大綱における主要項目を公表しました。その中でも、家計に直接関わる重要な改正の一つが、NISAのつみたて投資枠における年齢要件の撤廃です。令和9年(2027年)からの施行が予定されているこの改正は、子どもを持つ家庭の資産形成のあり方を大きく変える可能性があります。
これまでのNISAは「18歳以上」が前提
現行のNISA制度では、つみたて投資枠も成長投資枠も、対象年齢は18歳以上とされています。未成年の子どもを対象とした非課税の資産形成手段は、制度上設けられていませんでした。今回の改正大綱では、この前提が根本から見直されます。つみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0歳から17歳の子どもを対象とした年間投資枠と非課税保有限度額が新たに設定されます。
改正後の制度設計は以下のとおりです。0歳から17歳を対象とした年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円となります。18歳以上のつみたて投資枠(年間投資枠120万円)とは別枠で設定されており、18歳になった時点で自動的に通常のNISA(18歳以上のつみたて投資枠)へ移行します。投資対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。
運用管理については、12歳未満の間は親権者等が口座を管理します。12歳以降については、子の同意を得た場合にのみ、親権者等による払い出しが可能とされています。払い出しにあたっては、資金の使途が子のためのものであること、および子が払い出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出する必要があります。
なぜ今、この改正が必要とされたのか
金融庁の資料では、この改正の目的が明確に示されています。NISAの抜本的拡充・恒久化等に伴い、若年層を含め幅広い世代や所得階層にわたってNISAの利用が広がっている一方、次世代の資産形成を促進し、大学進学等、成人後のライフイベントに伴う必要資金を備えられるようにするための環境整備が必要とされていました。
子どもが生まれた時点から積立を開始できれば、18歳になるまでの期間、最大で年間60万円・総額600万円を非課税で運用することが可能になります。長期・安定的な投資という観点から、時間を最大限に活用できる制度設計といえます。
今回の改正では、つみたて投資枠の対象商品の拡充も行われます。株式指数については、「マーケット全体を広くカバー」「市場関係者に広く浸透」という観点から、一定の指数が新たに追加されます。また、つみたて投資枠対象の公募株式投資信託について、指定指数に連動しない投資信託の要件が「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」へと変更されます。
金融庁はこの変更について、リスク許容度が高くない若年層や高齢層などが投資の第一歩を踏み出せるよう、債券中心あるいはバランス型の投資信託の選択肢の充実を図るものと説明しています。
手続きの負担も軽減
あわせて、NISA口座に係る所在地確認の手続き簡素化も大綱に盛り込まれています。現行制度では、金融機関は口座開設から10年経過時(その後は5年経過ごと)に、転送不要郵便の送付や本人確認書類の提示等により顧客の所在地を確認することが義務付けられており、顧客・金融機関双方に負担が生じていました。確認ができない場合には新規買付が停止となり、顧客の資産形成プランに影響を与えるおそれもありました。改正後はこの定期確認措置が廃止され、業界ガイドラインを踏まえた運用へと移行します。
子どもが生まれた瞬間から非課税での積立が始められる──この改正が示すのは、資産形成の起点を「働き始めてから」ではなく「生まれた時から」へと前倒しするという方向性です。18歳時点での非課税保有限度額600万円は、大学進学や成人後のライフイベントに備えるための一つの基盤になり得ます。令和9年の施行に向けて、制度の詳細に注目が集まります。





















