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コラム

AIエージェントを企業はどう管理するのか AIガバナンスが新たな経営課題へ

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生成AIの進化によって、企業のAI活用は新たな段階へ入り始めています。これまでのAI活用は、「ChatGPTを使う」「Copilotを導入する」といった“利用”が中心でした。しかし現在は、AIが業務を支援・実行する「AIエージェント」の活用が広がりつつあります。

MicrosoftのCopilot Studioでも、単純なチャット応答だけではなく、ワークフローを実行する自律型エージェントの方向性が示されています。実際に、会議内容の整理、データ分析、問い合わせ対応、複数システムを横断した処理など、業務プロセスそのものへAIが関与する動きが進み始めています。その一方で、企業には新たな課題も生まれています。それが、「AIエージェントをどう管理するのか」という問題です。

AIエージェントの“乱立”が始まる可能性

現在、多くの企業では、現場主導でAI活用が進み始めています。今後、AIエージェントがノーコードで簡単に作成できるようになるほど、部署ごと、担当者ごとに多くのAIエージェントが生まれる可能性があります。Gartnerは、Fortune 500企業におけるAIエージェント数が今後大幅に増加し、“AIエージェントのスプロール(乱立)”が課題になる可能性を指摘しています。誰が作成したのか。どのデータへアクセスしているのか。どの業務プロセスへ関与しているのか。こうした情報が把握しづらくなるほど、企業にとってAI管理の重要性は高まっていきます。

特に生成AIは、単なる情報検索ではなく、意思決定支援や業務実行にも関わり始めています。そのため企業は今後、「AIを導入するか」だけではなく、「AIをどう統制するか」というテーマへ向き合う必要が出てきそうです。

“禁止する管理”だけでは難しくなる

これまで企業では、新しいITツールに対して「禁止する」「制限する」といった管理が行われるケースも多くありました。しかし生成AIは、個人でも簡単に利用でき、業務効率への影響も大きい技術です。そのため、単純な利用制限だけでは、現場活用との両立が難しくなる可能性があります。その結果、今後は「安全に活用するための管理」へ発想が変わっていく可能性があります。

例えば、どのAIエージェントが存在しているのか。誰が利用しているのか。どのデータへアクセスしているのか。どの業務へ関与しているのか。こうした“AIの可視化”が重要になると考えられます。

MicrosoftもCopilot Studioで、エージェントガバナンスや可視性、管理機能を強化しています。AIエージェント時代では、「AIを作れること」だけではなく、「AIを管理できること」も重要になる可能性があります。

AI管理の本質は“業務理解”に近づく

さらに難しいのは、AI管理が単なるシステム管理だけでは終わらない点です。AIエージェントは、業務フローや組織内データと結びつきながら動作します。そのため、企業側も、自社の業務プロセスや意思決定の流れを整理・構造化しておく必要性が高まります。

どの部署がどの業務を担っているのか。どこで承認が発生しているのか。誰が最終判断を行うのか。こうした業務理解が曖昧なままでは、AIエージェントを安全かつ効果的に運用することは難しくなる可能性があります。AI時代のDXでは、「AI導入」そのものよりも、「自社業務をどこまで整理・構造化できるか」が重要テーマになるのかもしれません。

AI時代、企業は“AIの役割設計”を求められる

今後、企業では複数のAIエージェントが業務へ関与する時代が来る可能性があります。営業支援を行うAI。問い合わせ対応を行うAI。社内ナレッジ整理を支援するAI。経理確認を支援するAI。そうした複数のAIエージェントを、どこまで業務へ関与させるのか。どの範囲まで権限を持たせるのか。最終責任を誰が持つのか。こうした“AIを前提とした役割設計”そのものが、今後の経営テーマになっていく可能性があります。

AIエージェントの進化は、単なる業務効率化ではありません。それは、「組織とは何か」「管理とは何か」を、企業に改めて問い直す変化になり始めています。

レポート/DXマガジン編集部 小松

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