富士通株式会社は、データ&AIで小売業の成長を支援する「Uvance for Retail」の取り組みの一環として、株式会社イオンフードスタイルと共同開発した店長協働型のAIエージェントの実店舗実証を2026年7月に開始します。本AIエージェントは、店舗の戦略立案や売場レイアウトの検討を自律的に支援し、迅速な意思決定、業務の標準化、効率化の効果を検証します。イオンフードスタイルは、マックスバリュ関東、ダイエーの関東事業、イオンマーケットの統合により2026年3月1日に発足した企業で、全店舗で一貫した高品質なサービスの実現を目指します。富士通株式会社は、今回の実証を通じてAIエージェント活用の有効性を見極め、店舗運営と経営の高度化を支援するとしています。実証の結果を踏まえ、将来的な適用範囲の拡大や売上向上に資する検証にも取り組みます。小売現場の人手不足と業務属人化が進む中、店長業務の生産性向上に資するアプローチとして注目されます。
背景と狙い
小売業界では人手不足が深刻化し、店長が担う業務が多岐にわたることで属人化が課題となっています。イオンフードスタイルは統合により発足し、人口減少や多様化する消費者ニーズに対応しながら、全店舗で一貫した高品質なサービスを提供する体制の構築を急いでいます。富士通株式会社は、こうした要請に応えるため、店長の迅速な意思決定と戦略的な店舗運営の実行を支援するAIエージェントの活用を推進します。実店舗での実証は2026年7月の数日間を予定し、戦略立案と棚割りレイアウトという現場の負荷が高く効果測定がしやすい領域に焦点を絞ります。目的は、業務の標準化や効率化を定量的に把握し、導入価値を明確化することにあります。実証で得られた知見は、店舗運営の高度化や経営判断の改善につながる基盤として活用されます。
店長協働AIエージェントの開発プロセスと特徴
開発では、富士通株式会社のForward Deployed Engineerとデザイナーが、統合後の店舗業務を横断的に把握し、共通化するべき業務を特定しました。そのうえで、イオンフードスタイルにおける理想の店長像を定義し、あるべき運用プロセスを業務モデルとして策定しています。このアプローチにより、現場で課題意識が高い領域に対して、店長と協働する形で機能を提供する4つのAIエージェントのプロトタイプを約10日間で開発しました。AIエージェントは、戦略立案、棚割りレイアウト、施策の実行性検討、商圏分析といった意思決定密度の高い業務を主対象とします。短期開発の背景には、定義された業務モデルに沿った要件の明確化と、タスクごとの期待成果が明示されていることが挙げられます。店長と協働する設計により、現場の判断を生かしながらAIが提案と作業の定型化を支え、業務のばらつきを抑制します。
実証内容 店舗戦略立案エージェントの検証
戦略立案エージェントは、3Cのフレームワークに基づく分析を実行し、中長期の店舗戦略の策定を支援します。実証では、店長の戦略立案に要する作業時間の削減度合いを測定し、AIが提示するプランの採用率を指標として有効性を評価します。さらに、人事異動で着任した新任店長に対する教育面での効用や、実務の標準化への寄与も検証対象に含まれます。分析から戦略の素案生成、根拠の提示、修正提案までの一連の流れをエージェントが支援することで、検討の抜け漏れを減らし、意思決定の質とスピードを両立させる狙いがあります。これにより、店舗ごとの状況に合わせた戦略立案の再現性が高まり、運用面の属人化課題の緩和が期待されます。評価結果は、店長の業務負荷軽減と組織全体の計画プロセス最適化に向けた基礎データとして活用されます。
実証内容 棚割りレイアウトエージェントの検証
棚割りレイアウトエージェントは、本部の陳列指示書や商品情報、店舗特性を踏まえ、棚割りの詳細プランとレイアウトイメージを生成します。実証では、棚割り作成から売場担当者への指示に至る一連の業務の効率化効果を検証します。レイアウトイメージを共有することで、店内の関係者間のコミュニケーションを円滑化し、指示の解釈差異を減らすことも評価対象です。プランの具体度が高まることで、作業準備と現場展開の時間短縮が見込まれます。店舗の特性に応じたプランの生成により、均質なオペレーションと現場適応の両立を図ります。評価結果は、店頭施策の実行精度を左右する棚割りプロセスの標準化に資する知見として整理されます。
今後の展開とマルチAIエージェントへの拡張
富士通株式会社は、実証結果を踏まえ、イオンフードスタイルと共にAIエージェントの精度向上と適用範囲の拡大を検討していきます。あわせて、売上向上に資するエージェントの実証も検討対象に含め、店舗運営のKPIに結び付く効果の把握を進めます。将来的には、店長支援AIエージェントを起点に、複数のAIエージェントが協働し自律的にタスクを遂行する小売業向けマルチAIエージェントの開発を目指します。生活者と働き手の体験革新を掲げる「Uvance for Retail」を通じ、小売業の競争力強化と持続的成長の支援を継続します。イオンフードスタイルの店舗運営と経営の高度化に向け、AIの実装プロセスと運用知見を蓄積しながら展開を進める方針です。なお、実証は2026年7月の数日間を予定しています。
詳しくは「富士通株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















