MENU

ニュース

量子コンピュータはどこまで進んだ? 富士通が新型試作機、2035年度「1000論理量子ビット」へ

  • URLをコピーしました!

富士通株式会社は、ダイヤモンドスピン方式量子コンピュータのプロトタイプを開発したと発表しました。高フィデリティと光接続による拡張性を特長とし、従来比約10倍の高輝度を持つダイヤモンド中のスズ空孔センターを量子ビットとして用いる世界初の構成であると説明しています。動作温度は約マイナス271.6℃で、超伝導方式の典型温度より高温での動作を確認しています。さらに、Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform経由で方式の違いを意識せず利用できることを実証しました。この成果は、デルフト工科大学とその研究機関QuTechとの共同研究の結果に基づくものです。量子コンピュータの大規模化を見据えたモジュール型アーキテクチャの重要な一歩となります。

背景と方式の特長

量子計算の実用化に向け、超伝導やイオントラップなど多様な方式が研究される中、ダイヤモンドスピン方式はカラーセンターを量子ビットに用い、高いフィデリティを示すのが特長です。より少数の物理量子ビットで論理量子ビットを構成できる可能性が示されています。光を用いた量子モジュール間接続により、高い自由度で拡張できる点も利点です。従来一般的だった窒素空孔センターに対し、今回の試作機は対称性が高く外部ノイズに強いとされるスズ空孔センターに着目しました。非常に安定した高輝度カラーセンターとして期待され、今回の高輝度化により光接続の効率向上も見込めます。モジュールを光でつなぐ構想は、異なるチップや冷凍機間でも成立する点が示されています。

開発技術と実証内容

スケーラブルなチップ実現のため、スズをイオン注入した高品質ダイヤモンド基板とアルミナ・酸化膜付きシリコン基板を接合する異種材料接合技術を開発しました。厚いダイヤモンドを数百ナノメートルへ薄層化する加工も確立しています。加えて、SnVセンターを含むナノダイヤモンドと可視光で透明なアルミナ導波路を集積したフォトニクス集積回路を作製しました。ダイヤモンド加工には東京大学との共同研究成果を活用しています。制御面では、量子ゲートで表現された回路をダイヤモンドスピン向け制御命令に変換する機構を実装し、プラットフォームからの制御を実現しました。これらにより、光子取り出しの高効率化と遠隔接続の基盤づくりが進みました。図版ではフォトニクス回路やSnVとNVの構造と発光差異が示されています。

今後の展望とコメント

富士通株式会社は、高輝度SnVセンターの集積技術を発展させ、2027年に複数量子モジュールから成るプロトタイプの開発を目指すとしています。超伝導方式との接続技術にも取り組み、両方式を組み合わせた大規模な誤り耐性量子コンピュータの実現に向け研究を推進します。経営陣は、ダイヤモンドスピンのスケーラビリティと超伝導接続による拡張可能性を強調し、2030年度に250論理量子ビット、2035年度に1000論理量子ビット機のロードマップを掲げています。デルフト工科大学とQuTechは、2020年からの共同研究の重要なマイルストーンと位置づけ、長期的な挑戦を継続する姿勢を示しました。本研究は国内外の助成支援を受けて実施されています。商標は各社に帰属します。

詳しくは「富士通株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • DXイノベーション大賞
  • DSW

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる