歯科医院の退出が加速しています。2026年1月から9月に発生した廃業は120件で、前年同期の106件から14件増となりました。9カ月累計の廃業件数は2年連続で100件超となり、倒産は負債1000万円以上の法的整理で23件に上り、同期間として過去最多です。結果として、期間中に消滅した歯科医院は計143件となりました。人件費や歯科材料の高騰に加え、電子カルテやマイナ保険証の読み取り機などデジタル投資の負担が増し、診療報酬での吸収が難しい局面が続いています。院長の高齢化や後継者不足も重なり、地域医療を担ってきた医院の退出が各地で相次いでいます。
都市部と地方で進む二極化が顕在化
競争環境は地域で様相が異なります。都市部では大型医療法人や自由診療に強い専門医院の開院が続き、患者獲得競争が一段と激化しています。一方、地方では人口減少や高齢化が進み、患者数の減少が小規模医院の経営を直撃しています。こうした動きにより、廃業によって治療先の確保が難しくなる地域も出ています。人材確保では歯科衛生士を中心に採用難が続き、人件費増が固定費を押し上げています。銀やパラジウムなど歯科用金属や医療機器の価格上昇もコスト増に拍車をかけています。結果として、競争過多の都市部と担い手不足の地方という二極化が鮮明になっています。
承継難で広がる静かな廃業と業界再編の兆し
承継難は深刻です。過去5年間に廃業となった歯科医院のうち、直近期の業績が判明した120件では半数超が黒字でした。それでも院長の平均年齢が70歳を超えるなか、子どもが継がない、承継相手がいない事情から自主的な閉院が増えています。経営基盤がありながら静かに幕を下ろすケースは、地域の医療アクセスにも影響します。足元では、倒産や閉院で周辺の歯科医院に患者が流入し、新規患者が増えた例も確認されています。複数の歯科医師を抱える大型医院への集約もみられ、業界再編の動きが進んでいます。今後は診療報酬改定への対応に加え、医療DX投資や人件費上昇への対処が求められ、対応が難しい歯科医院では余力があるうちに事業を畳む動きが一段と増える見通しです。 詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















