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セミナー

ステーブルコインは企業の決済をどう変える? AIによる自動支払いから見えた財務DXの未来

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DXマガジンは2026年10月21日、「ステーブルコインが変える財務DXの未来 ~よくわからないから、自社で使えるへ~」をテーマにDX経営セミナーを開催しました。登壇したのは、アステリア株式会社のCXO(最高変革責任者)兼ステーブルコイン事業部長であり、一般社団法人ノーコード推進協会の代表理事も務める中山五輪男氏。モデレーターはDXマガジン総編集長兼日本オムニチャネル協会会長の鈴木康弘氏が務めました。

ステーブルコインとは、法定通貨などの価値に連動するよう設計されたデジタル資産です。送金や決済の効率化が期待される一方、企業が実際にどのように活用できるのか、まだ十分に知られていません。

セミナーでは、金融機関の動向や既存のキャッシュレス決済との関係、普及に向けた課題について議論しました。参加者からも具体的な質問が寄せられ、ステーブルコインが企業活動にもたらす可能性を探りました。

ステーブルコインは「使うためのデジタルなお金」

まず中山氏が解説したのが、ステーブルコインの基本的な仕組みです。ステーブルコインとは、円やドルなどの法定通貨の価値に連動するよう設計されたデジタル資産です。価格が大きく変動することのあるビットコインなどの暗号資産とは異なり、送金や決済への活用が期待されています。

中山氏は両者の違いについて、「ビットコインのような暗号資産はデジタルな資産です。一方、ステーブルコインはデジタルなお金です」と説明しました。企業にとってのメリットとして挙げたのが、送金の迅速化とコスト削減です。ステーブルコインは、ブロックチェーンを通じてウォレット間で資金を移転する仕組みで、24時間365日の送金が可能です。

海外の取引先への支払いでは、従来の銀行送金に比べて、送金にかかる時間や手数料を抑えられる可能性があります。また、中山氏は企業の財務部門が抱える課題として、資金効率の向上や事務作業の削減、取引の透明性確保などを挙げました。ステーブルコインは、こうした課題を解決する新たな手段としても期待されています。

中山氏が強調したのは、ステーブルコインが単なる新しい決済方法ではなく、企業の資金移動や経理業務を変える可能性を持っているという点です。

写真:アステリア株式会社のCXO(最高変革責任者)兼ステーブルコイン事業部長であり、
一般社団法人ノーコード推進協会の代表理事も務める中山五輪男氏

商品が届いたら自動で支払い? AIと連携する新しい決済

続いて中山氏が紹介したのが、ステーブルコインとAIを組み合わせた決済業務の自動化です。その鍵となるのが「スマートコントラクト」。あらかじめ設定した条件が満たされると、プログラムが自動的に処理を実行する仕組みです。

中山氏は、商品が納品された場面を例に挙げ、「AIが納品を確認すると、スマートコントラクトという小さなプログラムが自動的に作動し、商品を納めた会社に対してステーブルコインで代金を支払います」と説明しました。具体的な活用場面として、小売業では、店舗の在庫が一定数を下回るとシステムが自動発注し、商品が納品されるとステーブルコインで代金を支払う仕組みが考えられます。

製造業では、納品された部品をAIカメラなどで確認し、検収結果に応じて代金を早期に支払う構想も紹介されました。仕入れ先が速やかに代金を受け取れるようになれば、資金繰りの改善にもつながります。さらに、身近な例として挙げられたのが、イベントのチケット代金の返金です。悪天候などでイベントが中止になった際、あらかじめ設定した条件に基づいて参加者のウォレットへ自動返金する仕組みも考えられます。

中山氏は「こうしたさまざまなシステムや予約システムなども、ステーブルコインを活用することで便利になるのではないかと思います」と期待を示しました。これらは今後の活用を想定した事例ですが、ステーブルコインが企業間の送金だけでなく、さまざまな業務やサービスに応用できることを示しています。

銀行送金はなくなる? ステーブルコインとの使い分け

講演後の対談では、ステーブルコインの普及によって、従来の銀行送金や金融サービスがどのように変化するのかについて議論が交わされました。中山氏は講演の中で、企業がステーブルコインを導入する際の考え方について、「すべての銀行送金をやめるということではありません。ハイブリッドで進めていきましょう」と強調していました。従来の銀行送金を残しながら、用途に応じてステーブルコインを活用するという考え方です。対談では、国内の金融機関によるステーブルコインの取り組みについても話題が及びました。

鈴木氏は、複数の金融機関が共通の仕組みを構築する可能性や、それぞれが独自のサービスを展開する可能性に言及。今後、金融機関がどのような形でステーブルコインを提供していくのかが、普及を左右する要素になるとの見方が示されました。また、講演ではアステリアが提供する企業向けの「JPYCゲートウェイ」も紹介されました。既存の会計システムや業務システムと連携させることで、ステーブルコインによる送金や入金情報の管理を効率化する仕組みです。企業にとっては、現在利用しているシステムを生かしながら、新しい決済方法を取り入れることも選択肢となります。

写真:株式会社デジタルシフトウェーブ代表取締役社長 鈴木康弘

キャッシュレス決済の手数料は変わる?

その一つが、既存のキャッシュレス決済サービスとの関係です。参加者からは、普段利用しているキャッシュレス決済サービスの裏側で、ステーブルコインを活用できるのではないかという質問がありました。想定されるのは、消費者がこれまでと同じようにスマートフォンで支払い、事業者間の決済処理にはステーブルコインを利用する仕組みです。中山氏は、質問に挙がった具体的な導入事例については把握していないと説明しましたが、鈴木氏は店舗側が負担する決済手数料に注目しました。キャッシュレス決済は消費者にとって便利な一方、店舗側には一定の手数料が発生します。ステーブルコインを活用することで決済コストを抑えられれば、店舗にとって新たな選択肢になる可能性があります。

写真:ステーブルコインの「C」ポーズで、交流会まで盛り上がりました。

「よくわからない」から「自社で使える」へ

セミナーの最後には、鈴木氏から中山氏へ、今回の講演を振り返っての感想が求められました。中山氏は、新しい技術が社会に広がるまでには、さまざまな課題があるとした上で、「こうした新しい技術が登場する際には、さまざまなハードルがありますが、ぜひ皆さんと一緒に乗り越えていきたいと思います。その先には、また新しい可能性が広がっていると考えています」と、参加者に向けてメッセージを送りました。

商品が届いたら自動で支払う。在庫が減ったら発注から決済までを自動化する。イベントが中止になったら、参加者へ速やかに返金する。今回のセミナーで紹介された活用構想からは、ステーブルコインが単なる決済手段にとどまらず、企業の業務そのものを変える可能性が見えてきました。

自社の業務の中で、どのような支払いや入金確認に時間がかかっているのか。そこから考えることが、財務DXへの第一歩となるのかもしれません。

関連リンク
JPYC Gateway 業種別想定事例150選
https://jpycgateway.com/downloads/request.html?id=smart-contract-150

JPYC Gateway 製品サイト
https://jpycgateway.com

一般社団法人ノーコード推進協会
https://ncpa.info/

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