2025年12月5日にDeepLが公表した調査(2025年9月にCensuswideが実施)では、世界の経営幹部の69%が、今後1年間で自律型AIが業務を変革すると予測しています。AIはすでに業務効率化の段階を越え、意思決定に関わる領域へと踏み込んでいます。つまり、技術的には「使える状態」にあると言えます。
一方で、2025年12月3日にSAS Institute Inc.が発表した「データとAIの影響レポート(信頼の重要性)」では、日本企業のAI成熟度は世界平均を上回ると示されています。データ基盤やガバナンスへの投資も進み、準備は整っています。ここから導かれるのは、日本企業は「準備ができていない」のではなく、「使い切れていない」という事実です。
ではなぜ使い切れないのか。その理由が経営判断の欠如です。AIは分析だけでなく、具体的な打ち手まで提示できる段階に入っています。2026年3月24日に日本電気株式会社が発表した「NEC経営戦略支援コックピット」でも、KPIの変化点を捉えた上で、次の施策まで提示する仕組みが示されています。しかし、AIが提示するのはあくまで「提案」です。それを採用するかどうかを決めるのは経営です。
この役割分担を曖昧にしたままでは、AIは機能しません。経営が「どこまでAIに委ねるのか」を決めなければ、現場は判断できず、結果として部分的な導入にとどまります。現場任せのAI活用は、局所最適にはなっても、全社的な変革にはつながりません。
2025年8月8日に三井住友フィナンシャルグループが公表した「AI-CEO」の取り組みは、AIを通じて経営視点を現場に展開する試みです。これは、AIを単なる効率化ツールではなく、意思決定の質を引き上げる仕組みとして位置づけていることを示しています。ここまで踏み込んで初めて、AIは組織全体の変革に寄与します。
整理すると、日本企業はAIを使うための条件はすでに満たしています。技術もデータも揃っています。それでも進まないのは、経営が判断を下していないからです。AIにどこまで任せるのか、どの意思決定に組み込むのか。この線引きを明確にしない限り、AIは補助ツールの域を出ません。
企業内AI推進は、経営者の判断なしには成立しません。AIを導入するかどうかではなく、どこまで経営に組み込むのか。この意思決定を避けている限り、日本企業のAI活用は進まないままです。
詳しくは「DeepL」「SAS Institute Inc.」「株式会社三井住友フィナンシャルグループ」日本電気株式会社」
レポート/DXマガジン編集部 權





















