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コラム

社内の共創、実は幻想?意外と気づいていない「社内対立」を引き起こす要因

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オムニチャネルは単なるチャネル論ではないこと、顧客起点で考えること、社内外の仲間たちと作り上げること。前回までの記事では、こうしたオムニチャネルの全体的なことに触れてきました。今回からは、社内対立の構図をどのように「共創」へ結びつけるかについて掘り下げます。まずは、社内共創への第一歩である社内の人間関係構築の重要性について考察します。【連載第4回:オムニチャネル~ビジネスを共創する時代の基本思考】

隣の部署は何する人ぞ? 

社内のメンバー同士は協力するのが当たり前。多くの人がこう考えるに違いありません。しかし、実際はどうでしょうか。あなたは社内の実状を正しく理解していますか。本当のことを分かっていますか?

例えば、あなたが営業担当だとします。毎日アポイントメントを取って外回りしたり、営業数値目標を達成すべく頑張っていたりするとします。こんな時、アポイントメントをどのように管理していますか? 契約を締結する際の契約書の法務チェックや稟議フローは誰が担当していますか? あたなが努力して売り上げた数字に対し、誰がどのように評価に結び付けていますか? そもそも製品・サービスを作っているのは社内の誰でしょうか? 倉庫から出荷しているのは誰、クライアントからの問い合わせに対応しているのは誰…。

ECの販売担当者であるときも同じです。Webサイトのサーバーを管理しているのは誰? 保守メンテナンスを担当しているのは誰? 商品を登録するデータベースを管理、運用しているのは誰? 倉庫内で入庫・出庫作業をしているのは誰? 返品や返金対応しているのは誰?

つまり、自身が担当する業務の「前後」の工程について、多くの人が知らないし、誰が担当なのかさえ分かっていないことが多いのです。もし「知っている」と胸を張って答えられる人でも、前後の業務に携わる部署が具体的にどんな業務に従事しているのかまで把握している人は少ないのではないでしょうか。「社内のメンバー同士は協力するのが当たり前」。他部署の業務内容すら把握せず、協力するのが当たり前と本当に言えるのでしょうか。

協力や共創という言葉を実現するには、自分以外の業務や担当者のことを理解しなければなりません。相手に対し、もっと関心を持つべきです。廊下で通りすがりに挨拶するだけでは不十分です。その人がどんな業務に携わり、どんな課題を抱えているのかまで踏み込んで理解することが大切です。こうした歩み寄りの姿勢が、協力関係を深化させるのです。多くの部署や担当者を巻き込んだ共創を生み出すのです。

あなたが働くオフィスを見回したとき、誰がどんな仕事をしているのか知っていますか? あなたの席の後ろに座っている人が、どんな仕事をしているのか知っていますか? 相手を十分理解しないことが「社内対立」を生むきっかけとなるのです。自分や自部署の都合しか考えられないなら、会社全体を俯瞰する視野を持つべきです。どの部署がどんな課題と向き合っているのかを理解すべきです。こうした姿勢が「対立」を「共創」に導くきっかけとなるのです。

逸見光次郎

CaTラボ 代表取締役
日本オムニチャネル協会 理事

1994年に三省堂書店に入社し、神田本店や成田空港店などで勤務。1999年にソフトバンクに移り、イーショッピングブックスの立ち上げ(現:セブンネットショッピング)。2006年にはアマゾンジャパンに入社し、ブックスのマーチャンダイザーを務める。2007年にイオンに入社し、ネットスーパー事業の立ち上げ後、デジタルビジネス事業戦略担当となる。2011年、キタムラに入社し、執行役員EC事業部長を経て、2017年にオムニチャネルコンサルタントとして独立。現在はプリズマティクスアドバイザーやデジタルシフトウェーブのスペシャリストパートナーなどを務める。

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