2026年4月の全国百貨店売上高は4,421億円余となり、前年同月比5.2%増(店舗数調整後)と4か月連続のプラスを記録しました。数字だけ見れば好調に映ります。しかし、データを丁寧に読み解くと、消費の現場では「二極化」と「インバウンド依存」という二つの構造が鮮明になっています。
都市と地方で真逆の景色
最も目を引くのが、都市と地方の格差です。10都市(10地区)の売上は前年比6.9%増と力強い伸びを見せた一方、10都市以外の地方(7地区)は0.8%減と6か月連続のマイナスとなりました。東京は7.4%増、広島9.2%増、福岡8.1%増と主要都市が軒並みプラスを記録する中、地方では東北が5.0%減、中部が9.1%減、九州が3.3%減と厳しい数字が並びます。
同じ「百貨店」という業態でありながら、立地によってこれほどの差が生まれているのが現実です。都市部では後述するインバウンドや高額消費の恩恵を受けやすく、地方では人口減少や消費者の節約志向がより直接的に数字に表れています。
伸びているのは「高額品」と「インバウンド」
商品別を見ると、伸びを牽引しているのが「身のまわり品」(9.5%増)と「雑貨」(10.3%増)です。特に雑貨の内訳では、美術・宝飾・貴金属が19.6%増と突出しています。株高や不動産価格上昇等を背景とした高額品需要の強さが9か月連続プラスという形で表れています。
一方、生鮮食品は1.9%減と25か月連続マイナス、子供服・洋品も2.3%減と2か月連続マイナスが続いています。日常消費や子育て世代向け商材が振るわない中、高額品だけが伸びるという「消費の二極化」がデータから読み取れます。
インバウンドが下支えする構図
全体のプラスを語る上で欠かせないのがインバウンド(免税売上)の存在です。4月のインバウンド売上は520億円(前年比18.3%増)と二桁増を達成し、2か月連続プラスとなりました。シェアは11.8%に上ります。
円安基調が継続する中、購買単価の上昇が売上を牽引しています。ただし、購買客数は6.0%減と6か月連続マイナスが続いており、「客数は減っているが、1人当たりの購入額が増えている」という構図です。中国については購買客数が約3割減となりながらも、売上高は約2%減にとどまっています。台湾、韓国、東南アジア等他国売上が伸長し、全体を下支えしました。
東京地区に限れば、インバウンド売上は14.8%増と二桁増で高伸。国内売上も6.2%増と幅広いカテゴリーで堅調に推移しており、都市部の百貨店がインバウンドと高額消費の両輪で成長していることが鮮明です。
「4か月連続プラス」の足元を冷静に見る
4か月連続プラスという見出しは明るく映ります。しかし、その中身は高額品・都市部・インバウンドという限られた領域が全体を引き上げている姿です。日常品や地方、子育て世代向けの消費は依然として厳しく、5月足元動向は国内外顧客共に堅調で前年比10.4%増(5月17日時点)と報告されているものの、地方の構造的な弱さが短期間で反転する兆しは数字からは見えてきません。
百貨店の売上動向は、日本の消費全体の縮図でもあります。「誰が、どこで、何を買っているか」を丁寧に読むことが、消費の実態を正確につかむ第一歩です。
レポート/DXマガジン編集部 權
(出典:日本百貨店協会「2026年4月 全国百貨店売上高概況」および「東京地区百貨店売上高概況」(2026年5月25日)





















