雑談を単なる場つなぎと考える人は少なくありません。しかし、本題前の何気ない会話こそ、顧客の本音を探る大事な時間だと考えるべきです。では、雑談を通じて本音をどう探り出すのか。相手の心理を読み取る雑談の在り方を考えます。【週刊SUZUKI #166】
営業担当者が雑談の時間で意識すべきは、自分が何を話すではありません。相手がどう反応するのかを丁寧に見ることです。商談の本題に入ると、相手は慎重になって表情や態度が硬くなることがあります。しかし、雑談の段階ではそのような緊張感はありません。そのため、この何気ない雑談の間に相手をしっかり観察することが、その後の商談を進める上では重要です。雑談は単なる場つなぎではありません。相手を理解するための準備段階の場であることを認識することが大切です。
では、雑談では何に注意を払うべきか。まず気にするのは目の動きです。話しかけたときに視線が合い、表情が明るくなる場合は、関心や好意を持っている可能性があります。一方で、視線が定まらなかったり、他のものに注意が向いたりする場合は、話に集中できていない可能性があります。こうした変化を目の動きで探るようにします。
口元の動きも参考になります。自然な笑顔が見られる場合は安心して会話している状態ですが、口を固く結んでいる場合は緊張や警戒が残っていると考えられます。さらに、姿勢や手の動きからも相手の状態を読み取ることができます。体を少し前に傾けていれば話に関心を持っている可能性が高く、反対に腕を組んだり体を引いたりしている場合は距離を取ろうとしているサインかもしれません。
その他、落ち着きなく手や足を動かしているときは、焦りや不安を感じていることもあります。例えば、相手が忙しそうであれば雑談を簡潔にまとめたり、疲れていそうな相手を気遣う言葉を添えたりするなど、その場に応じた対応が求められます。場合によっては、無理に話題を広げるのではなく、相手の関心がありそうな内容に絞る判断も必要になります。
このように相手を観察することは、「自分はあなたを理解しようとしている」という姿勢を示すことにつながります。人は自分の様子や気持ちを察してもらえると安心感を抱きます。その安心感がその後のぎこちなさを払拭するきっかけになります。こうした関係があなたとその人の良好な関係を築く契機にもなるのです。
相手の状態に合わせて雑談を進められれば、その後の商談も滞りなく進められるようになります。まずは相手の小さな変化に注意を向け、状況に応じて対応を変えられるようになることが大切です。こうした変化対応力を身に付けることで、その人に合った適切なコミュニケーションを取れるようになります。こうした場を何度も踏むことで、あなたの人間関係は築かれるのです。
【営業の心得 その9】

筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。





















