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インタビュー

270年企業は、なぜ変わり続けられるのか。非エンジニアからDX人材が生まれるタキヒヨーの「挑戦する文化」

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1751年創業、270年以上の歴史を持つ繊維商社・タキヒヨー。長い歴史の中で時代の変化に対応しながら、現在はAIやクラウドなど新たなテクノロジーも積極的に取り入れ、変革を続けています。その原動力となっているのが、新しいことに挑戦する社員の存在です。

その象徴ともいえるのが、マーケティングセクション マーケティングチーム 兼 DX推進チームの山口比奈子氏です。2018年に事務職として入社した山口氏は、ECやマーケティング業務を経験する中でデジタル技術を学び始め、AWSや生成AIを活用した業務変革を実践。その取り組みが評価され、2026年には「日本DX大賞2026」で個人表彰のAIインパクト賞を受賞しました。

非エンジニアだった山口氏は、なぜ自らDXを推進する人材へと成長できたのでしょうか。今回は山口氏の挑戦を軸に、執行役員の大場氏、DX推進チーム DXコーディネーターの内木氏、システム運用・セキュリティ管理チームの西川氏への取材から、タキヒヨーに根付く「人が育ち、挑戦が広がる組織」の秘密を紐解きます。

「DXをやろう」と思っていたわけではない。仕事への向き合い方が挑戦の原点

――非エンジニアからAWSや生成AIを活用し、業務を変えるまでになった山口さんですが、もともとDXに強い関心があったのでしょうか。

山口: 最初からDXをやろうと思っていたわけではありません。ECサイトを運営する中で、外注していた業務を「自分でできれば経費を削減できて、チームにも貢献できるのではないか」と考えたことが始まりでした。

――DX推進から始まったのではなく、目の前の仕事に課題を見つけ、自ら解決策を考えたことが出発点だったのですね。そうした仕事への向き合い方には、何か原点があるのでしょうか。

山口: 私はもともと体操競技を16年半続けていました。競技では、自分の得意・不得意を見極めながら、どうすれば総合的に戦えるかを考えてきました。

仕事でも、一つの方向だけではなく、いろいろな角度から物事を見ることを意識しています。振り返ると、体操競技で培った考え方が今の仕事にも生きているのかもしれません。DXやAIも目的ではなく、目の前の課題をどう解決するかを考えたときの一つの手段でした。

株式会社タキヒヨー マーケティングセクション マーケティングチーム 兼 DX推進チーム 山口比奈子氏

「やってみていい」が人を育てる。挑戦を支える人と組織

――山口さん自身の姿勢に加えて、それを実際の挑戦につなげられる環境も重要だったのではないでしょうか。

山口: そうですね。ITをまったく知らない状態から勉強を始め、社内のエンジニアに相談したところ、AWSの資格取得を勧めてもらいました。資格を取った後、上司に「AWSを触りたい」と相談すると、「全然いいよ」と言ってもらえました。検証したものを実務で使いたいと相談したときも、「一回やってみていいよ」と。そうしたサイクルが成果につながったと思います。

――山口さんがAWSを学び、実際の業務へ活用していく過程では、DXコーディネーターの内木さんが技術面で学びや挑戦を支えてきたそうですね。内木さんから見て、山口さんが非エンジニアからここまで挑戦を広げられた背景には、どのような環境があったと感じていますか。

内木: 自分が「やりたい」と伝えたときに、それを承認してくれる人や、必要なときにフォローしてくれる人がいることは大きいと思います。山口さんの場合も、AWSやアーキテクチャーなど、分からない部分については周囲に相談しながら進めていました。ただ、誰かが代わりにやるのではなく、最終的には本人が自分で考え、進めていける。そうした環境があったことが、挑戦を成果につなげられた一つの要因だと思います。

株式会社タキヒヨー DX推進チーム DXコーディネーター 内木氏

――こうした社員の「やってみたい」を後押しする文化を、執行役員の大場さんはどのように捉えているのでしょうか。タキヒヨーでは、以前からこうした考え方が根付いていたのでしょうか。

大場: 当社は1751年から270年以上続いていますが、長く続くということは、同じことを繰り返してきたわけではありません。時代に合わせて変えてきたからこそ、今があります。
社員も役員も、新しいことに挑戦しなければ衰退につながることを実感しています。だから、やって失敗する方が何もしないよりもいい。現場から「やりたい」という声があれば、内容を聞いたうえで「やったらいいんじゃない」と後押しする。そういう考え方があります。

――その考え方は、DXを推進する組織のつくり方にも表れているのでしょうか。

大場: そうですね。DX推進チームも、会社が最初から組織としてつくったものではありません。システムや物流、営業など、興味を持った社員が部署を越えて集まって活動し、それを後から組織化しました。

株式会社タキヒヨー 執行役員 大場氏

一人の挑戦を、会社の「当たり前」に。次の挑戦者を生み出す

――タキヒヨーではDX推進チームの組織化だけでなく、システム部門も大きく変化しているそうですね。システム運用・セキュリティ管理を担当する西川さんも、もともとは営業職だったと伺いました。

西川: はい。営業職からシステム部門へ異動し、周囲に教えてもらいながら専門性を身につけてきました。現在はインフラやセキュリティ領域でもAIを活用しています。

――山口さんは、部署は違っても西川さんの存在に支えられている部分があるそうですね。

山口: 繊維商社の中では、IT分野に携わるメンバーはまだ少数です。その中で西川さんは、会社がデジタル化へ向けて変わっていく中で、自ら挑戦する姿勢がより強くなっているように感じています。

セキュリティの第一線で、難しい状況でも簡単に諦めず取り組む姿を見てきました。部署は違いますが、私にとっては社内でITについて話せる仲間でもあり、西川さんの姿勢に勇気づけられることも多いです。

株式会社タキヒヨー システム運用・セキュリティ管理チーム 西川氏

――山口さんや西川さんのように、専門外の領域へ踏み出す社員が生まれています。こうした挑戦を一人ひとりの経験で終わらせず、次の挑戦者へと広げていくために、今後取り組みたいことはありますか。

山口: 今後は社内のITリテラシーを高め、AIを業務で使うことが当たり前になるよう、社内AIコミュニティも立ち上げたいと考えています。人間にしかできない、もっとクリエイティブで面白い仕事を見つけて、「私にしかできない仕事」を生み出せる人が増えてほしいです。

――最後に、タキヒヨーとしてDXを今後どのように位置づけ、会社の未来につなげていきたいと考えていますか。

大場: DXはあくまでツールです。新しい技術やサービスを本業の成長にどう生かすのか。そして次の10年、20年、創業300年、その先の400年へ、会社をどうつないでいくのかを考えていかなければなりません。現場のメンバーが働きやすく、挑戦しやすい環境をつくりながら前に進んでいきたいと思っています。

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