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生成AIが医療現場に本格導入 日本IBMと大阪国際がんセンターが問診・看護記録AIを運用開始

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日本IBM、医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪国際がんセンターは、生成AIを用いた問診生成AIと看護音声入力生成AIを2025年9月から実運用開始しました。看護記録や問診にかかる時間を削減し、患者に寄り添う医療の実現を目指す新たな取り組みです。

生成AI導入で変わる現場の「聞く」「記す」

今回の取り組みは、2024年3月に始まった共同研究の成果として展開され、8月に始まった「対話型疾患説明生成AI」に続く実運用フェーズです。問診生成AIは、患者や家族がスマートフォンやタブレット、PCでAIアバターと対話する形で日々の体調を入力でき、声入力にも対応します。これにより、副作用で文字入力が困難な場合でも記録が可能になり、従来の紙媒体に頼る運用からの脱却を図ります。患者が入力したデータは電子カルテ端末で参照でき、グラフ表示や週次サマリーで整理されるため、医療従事者は一元化された情報で診療に臨めます。

看護音声入力生成AIは、看護カンファレンスや電話サポートに着目したソリューションです。音声認識(IBM Watson Speech to Text)と日本語要約に最適化した大規模言語モデル(IBM watsonx.ai)を組み合わせ、会話の書き起こしから電子カルテへのドラフト作成までを支援します。検証では、従来の手入力と比べて記録時間を約40%短縮し、約8割の記録が本ソリューションの方が優れていると評価されました。一方で誤変換による正確性の課題が確認され、自動学習による誤変換修正と看護師による最終チェック運用を整備して品質を担保しています。

現場への影響は具体的です。看護師の記録作業は1日平均約94分に達するとされる中、本導入により診察時の症状ヒアリング時間を最大25%短縮することを目指しています。看護カンファレンスでは病棟ごとに1日あたり17分、電話サポートでは看護師一人あたり約2分の記録時間削減を想定し、削減した時間を患者対応やチームの連携強化に振り向ける狙いです。運用は大阪国際がんセンターの院内ポリシーに従い、既存の電子カルテ仕様に沿った安全なデータ連携のもとで行われます。さらに2025年10月には「対話型疾患説明生成AI」の他科展開や、電子カルテから医療文書を自動作成する「書類作成・サマリー作成」など、追加の生成AIシステム展開が予定されています。

詳しくは「日本アイ・ビー・エム株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權

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