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富士通の因果AIで解く 遺伝子と生活習慣の新因果構造と施策提案

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ジーンクエストと富士通が因果AI「Fujitsu Kozuchi」で約4,000名の遺伝子・アンケートデータを解析。1,000倍高速探索と信頼性強化で、甘味嗜好やコーヒー摂取、BMIに対する遺伝的影響の因果構造を導出し、個別化された健康施策の提案可能性を示しました。

因果AIで見えた関係性と実務的意義

富士通の因果AIは、高速因果探索機能、信頼性強化機能、施策提案機能の三本柱で構成されます。高速因果探索では富士通独自の手法により、従来技術に対して約1,000倍の速度でデータ間の因果関係を推定できます。信頼性強化機能は、データが少ない場合でも専門家知見や既存の実験結果を組み込んで精度を確保するため、実運用での実用性が高まります。施策提案機能は、推定した因果構造に基づき、具体的な改善アクションまで示唆する点が特徴です。

本研究はジーンクエストの同意を得た約4,000名の遺伝子とアンケートデータを用い、富士通の因果AIで主に「アルコール代謝関連の遺伝的特性と食習慣」と「ポリジェニックスコア(太りやすさ)とBMI・食嗜好」の二領域を解析しました。解析では、アルコール分解能力に関連遺伝特性が飲酒頻度と強く結びつき、その結果として甘味嗜好へ影響が及ぶ可能性が示唆されました。一方で、コーヒー摂取頻度は飲酒頻度を介さず遺伝的特性と直接関連する可能性が示されています。

また、ポリジェニックスコアを用いた解析では、遺伝的な太りやすさがBMIに対して直接的な影響を持ち、その影響度は性別や年齢と同程度である可能性が示されました。興味深い点として、信頼性強化機能で京都大学・弘前大学の「弘前健診因果ネットワーク」を転用した解析では、従来主張されてきた食事量の影響が相対的に低下し、脂っこい味やうま味嗜好といった味覚志向がBMI変動に与える影響の重要性が相対的に高まる結果が得られました。さらに、親族の病歴や身長、雇用形態などが隠れた共通原因として働いている可能性も示唆され、因果関係の立体的理解が進みました。

実務的には、これらの因果構造を基にした施策提案機能が注目されます。因果AIは単なる相関提示にとどまらず、個人の食嗜好・ライフスタイル・体格・遺伝特性を踏まえた具体的な介入案(例:BMI低下に向けた優先的な生活習慣変更)を提示できる見込みです。こうした個別化施策は、予防医学や健康増進プログラム、保健指導の効率化に結びつく可能性があります。富士通は本技術を医療・遺伝子分野以外にも展開し、製造やマーケティングなど幅広い領域での意思決定支援を目指すとしています。

詳しくは「富士通株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權

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