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三菱UFJ信託銀行、銀行の枠を超えた資産のデジタル化をブロックチェーンで実現

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三菱UFJ信託銀行とアセットマネジャーのKJRマネジメント(KJRM)、およびデジタル資産プラットフォームを提供するProgmatは、東京都港区の超高層オフィスビル「汐留シティセンター」を裏付け資産とする不動産セキュリティ・トークン(ST)について、公募の募集および発行を完了したと発表しました。発行総額は約314億円で、国内の不動産STとしては最大級の規模となります。

本件は、汐留シティセンターの共有持分(受益権準共有持分)を裏付け資産とし、ST(デジタル名義書換方式)として口数を分割して発行する仕組みです。1口あたりの販売単位は10万円で、合計口数は314,140口程度に設定されています。三菱UFJ信託銀行が受託者・原簿管理者を務め、KJRマネジメントがアセットマネジャー、Progmat のプラットフォームで発行・管理を行う体制です。

このスキームの特徴は、従来は大口投資家に限定されがちだった大型不動産に小口で参加できる点と、証券情報や取引原簿の管理をデジタル基盤で行うことで運用・管理の効率化と透明性の向上を図っている点です。Progmat の提供するプラットフォームにより、発行・原簿管理・分配情報の記録が一元化される仕組みになっています。

一方で留意すべき点もあります。ST は証券性を伴う商品であり、金融商品取引法や信託関連法規、税務処理などの制度整備・運用ルールの遵守が前提となります。また、投資後の二次流動性(売買のしやすさ)の確保や、裏付け資産の評価・情報開示の充実、プラットフォームのセキュリティとカストディ(鍵管理)体制の堅牢化が、投資家保護の観点から不可欠です。事務管理や技術面の運用体制が市場の信頼を左右します。

今回の発行完了は、国内における不動産ST市場の裾野拡大を示す重要な出来事です。三菱UFJ信託銀行は過去のST関連の原簿管理実績を公表しており、今回の大型案件を通じてST の実務運用力を一層強化する狙いがあるとみられます。また、本案件をきっかけに物流施設、商業施設、住宅など他用途でのST化や、二次流通の仕組み整備、海外投資家の参入など市場インフラの整備が進む可能性があります。

今後は、発行体側が継続的に裏付け資産の収益動向や分配方針を開示し、二次市場や流通インフラを整備することが、ST の持続的な普及にとって重要になります。今回の汐留シティセンター案件は、デジタル技術を活用したリアル資産の証券化が実務レベルで前進した証左であり、国内のデジタル証券市場の次の段階を占う試金石になるでしょう。

レポート/DXマガジン編集部 小松

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