キャッシュレス環境の高度化に向けて、株式会社ジェーシービーと大日本印刷株式会社は、指紋認証機能付きICカードを発行し、商用化を見据えた実証実験を開始します。近年増加するクレジットカードの不正利用に対応しつつ、利便性を損なわない決済体験を実現することが狙いです。本カードは、カード右下の指紋センサーに事前登録した指を乗せるだけで本人認証が完了します。認証処理はカード内で完結するため、加盟店側で新たな認証端末を導入する必要はありません。スマートフォンのように取引時に本人認証が行われ、非接触決済でも暗証番号なしでの利用が可能となります。加えて、ICカードの接触決済でも指紋認証により暗証番号入力を不要にします。
実施背景とカードの特徴
クレジットカードの不正利用が社会課題となる一方で、日常化したキャッシュレス決済にはスムーズさや所有する楽しさも求められています。両社はこれらのニーズに応えるべく、利便性とセキュリティを両立するカードの実用化に向けた検証を進めます。現在のICカードの非接触決済では一定金額以上で暗証番号が必要ですが、指紋認証カードはカード上での本人認証により金額上限なく非接触決済が可能です。接触決済においても同様に暗証番号入力は不要となります。既存インフラを活かせる設計で、店舗オペレーションへの影響を抑えながら導入可否を見極める体制です。カードには大日本印刷が開発した指紋認証対応の決済アプリケーションを搭載し、タッチ決済に対応した指紋センサー付きICカードとして提供されます。
実証実験の内容と進め方
今回の実証では、接触と非接触の両方式における操作性や指紋認証成功率、決済端末との相性、日常利用でのストレスの有無を検証します。検証の場は1都3県の加盟店で、実際の決済シーンにおける使い勝手と適合性を評価します。対象は株式会社ジェーシービーの社員で、本年2月からカードを発行して試験運用を行います。大日本印刷はカードの製造やパーソナライズの仕組みを提供し、既存端末での動作確認や実運用を想定した設定仕様の策定を担います。2018年にも非接触特化の指紋認証カードでの実証が実施されており、今回は商用化に向けた検証範囲を拡大する位置付けです。多様な決済環境における安全と利便性の両立をめざし、要件整理と改善点の洗い出しを進めます。
期待効果と今後の展望
指紋認証をカード内で完結させる方式は、暗証番号を省略しながらもセキュリティレベルの向上が期待できます。非接触と接触の双方で同一の本人認証体験を提供し、取引プロセスの一貫性を高めることも可能です。加盟店側は既存端末を継続利用できるため、設備投資負担の軽減につながります。検証結果に基づき、機能の磨き込みや運用上の課題への対応が図られ、商用化への道筋が具体化していきます。株式会社ジェーシービーは国際カードブランドとしてのネットワーク基盤を生かし、利用者基盤の広い環境での展開も視野に入れています。大日本印刷はICカード事業で培った認証とセキュリティ技術を背景に、実装と運用の両面からプロジェクトを支えます。利便性と安心を両立した決済体験の実現に向け、両社のコラボレーションが次段階へ進みます。
詳しくは「大日本印刷株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權






















