東京地下鉄株式会社は、KDDI株式会社と株式会社サイエンスアーツと連携し、2028年3月末までに東京メトロ全171駅の改札口に遠隔案内端末を順次導入します。第1弾として、2026年3月16日から青山一丁目、淡路町、中野坂上、東銀座の4駅で運用を開始します。遠隔案内端末は、KDDIが提供するタブレット端末に、サイエンスアーツが開発したIP無線インカムアプリBuddycomのコール機能を組み込み、改札口付近に設置されます。利用者は端末の呼び出しボタンを押すだけで駅事務室の駅社員と通話が可能となり、離れた場所からでも的確な案内を受けられるようになります。ICカードやモバイル端末を用いた精算やカード処理にも遠隔で対応し、その場で手続きが完結します。視覚や聴覚に障がいのある方への配慮や9言語の翻訳機能も搭載し、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めます。
背景として、公共交通機関では労働人口減少への対応と、インバウンド増加や社会の多様化に合わせたサービス品質の維持が課題となっています。東京メトロは従来、インターホンによる遠隔案内を提供してきましたが、遠隔でのICカードやモバイル端末を使った精算、カード処理への非対応や外国語対応の十分性が課題でした。今回の遠隔案内端末は、こうした課題に対し、コールによる即時接続と多言語翻訳機能、遠隔精算の仕組みを備えることで解決を図ります。設置対象は全駅の改札口とされ、他社への管理委託駅や一部の無人改札は除外されます。端末サイズは高さ150センチ、幅30センチ、奥行35センチで、タブレットは床面から約110センチの位置に配置されます。誰にとっても使いやすい高さに設定しつつ、駅構内に適したコンパクト設計となっています。全駅への展開に向けて、順次導入が進められる計画です。
利用方法はシンプルで、まず呼び出しボタンを押し、駅社員が応答したら用件を伝えます。チャット機能も選択でき、聴覚に配慮したコミュニケーションが可能です。ICカードやモバイル端末での精算やカード処理が必要な場合は、端末下段のICカードリーダーにカード等を置くと、駅事務室の駅社員が遠隔で機器を操作して精算等を行います。必要に応じて、手持ちの乗車券や定期券の券面をカメラに提示します。下車駅まで使用したきっぷは、駅社員の案内に従い、ICカード読み取り部の手前にあるきっぷ回収部に投入します。現金の特殊な精算が必要な場合は、精算機での対応に案内されます。呼び出しから案内、精算までの一連の流れが同一端末で完結するため、移動負担や待ち時間の軽減が期待されます。なお、各駅の事務室には駅社員が常時待機しており、無人駅化は行われません。
バリアフリー対応としては、視覚障がいのある方に配慮し、端末から常時音声を流して端末位置や呼び出し方法の確認を可能にしています。聴覚障がいのある方には、耳マークをあしらったシートを端末に整備し、画面に提示いただくことで、駅社員が状況を認識し、チャットでの案内や現地でのサポートにつなげます。車いすの方が操作しやすい高さにタブレットを配置し、物理的なアクセシビリティにも配慮しています。呼び出しボタンから駅社員にダイレクトにつながるため、チャットボット等を介さず迅速な対応が可能です。多言語対応は日本語、英語、中国語の簡体字と繁体字、韓国語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語に対応し、訪日客の増加にも備えます。案内品質の平準化と対応力の向上により、利用時の不安を軽減します。
Buddycomのコール機能は、東京メトロとKDDIの要望を受けサイエンスアーツが開発した遠隔接客の新機能で、東京メトロで先行導入されます。インターネット通信網を活用し、音声、テキストチャット、動画、位置情報に対応し、AIを用いたデジタルアシスタントも備えています。呼び出しボタンを起点に、遠隔にいる駅社員が迅速に対応でき、社内業務連絡からお客様対応までを一体で運用可能にします。KDDIは全体統括とタブレット端末、通信回線の提供を担い、サイエンスアーツはBuddycomの提供と機能開発を担当します。東京メトロは設置計画の策定と導入を行い、3社の連携で持続可能な運営体制とサービス品質の両立を図ります。今後も対面接客と遜色のない新たなサービスの提供を掲げ、安心して利用できる駅づくりを進めていきます。
詳しくは「東京地下鉄株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















