全国のビジネスパーソン742人を対象にした株式会社ワークポートの調査では、人手不足が続くなかでも約6割が「買い手市場」を実感していることが示されました。企業の採用ニーズは拡大している一方で、内定獲得の容易さには直結していない現状が読み取れます。調査は20代から40代の男女を対象に、2026年3月10日から3月17日にかけてインターネットで実施されました。回答者は同社サービスを利用している層で、有効回答は742人です。人材需給と候補者体験のギャップが数値で可視化された点が注目されます。市場の体感温度を裏づける具体的な声も複数集まり、求められる資質の変化が浮き彫りとなりました。
約6割が買い手市場と回答 市場感覚と人手不足のギャップが顕在化

現在の市場について「圧倒的に買い手市場」が27.6%、「やや買い手市場」が31.4%で合計59.0%となりました。人手不足を背景にした「売り手市場」という一般的な見方とは対照的な結果です。転職活動の現場では、採用活動が活発でも応募から内定までの難度は高いという実感が広がっています。人手不足は必ずしも間口の拡大を意味せず、選考基準の明確化や専門性重視の傾向が強まっているといえます。こうした状況は、候補者が企業側の要件適合度をより意識せざるを得ない環境を示します。市場の印象と体験の差が、活動戦略や応募先選定に影響している構図が読み取れます。
選考ハードルの上昇を8割以上が実感 専門性と実績の要求がよりシビアに

企業が求めるスキルや実績の水準について「非常に感じる」が42.2%、「やや感じる」が41.8%で、計84.0%が上昇を実感しました。求人票の必須要件に専門性を明記する動きや、実務経験年数の設定が増えたという声が寄せられています。未経験歓迎と記載のある求人でも書類通過が難しいという体験談も挙がりました。面接では質問が専門的になり、具体的な成果やスキルの深掘りが行われるとの指摘があります。スキルや経験不足を理由とした不採用事例も報告され、現場での難度が上がっている実情が裏付けられました。専門性と実績への評価軸が精緻化し、候補者の選考準備に求められる濃度が増していることがわかります。
4月入社の優先度は低下 時期よりも納得感を重視する傾向が鮮明

入社時期に関しては「意識しなかった」が46.9%で半数近くを占め、「多少意識した」の36.1%と合わせて83.0%が4月入社を最優先にしていません。理由として、時期より納得感を優先したいという意向や、焦っての転職を避けたいという声が挙がりました。引き継ぎや準備期間の確保、ボーナス支給後の転職など現職や家庭の事情を踏まえた判断も目立ちます。新卒と同時期の入社を避けたいという意見もあり、中途採用では個別のプロフェッショナルとして扱われることへの期待が示されました。結果として、転職の意思決定は一律の年度区切りから離れ、各人の状況や価値観に沿った柔軟な運び方が主流になりつつあります。入社タイミングの固定観念が薄れることで、活動計画も多様化しています。
期間の考え方は二極化しつつ一致点は納得感 即決も長期戦も許容

活動期間のスタンスでは「縁があれば即決」が48.0%、「納得いくまで続けたい」が30.6%でした。相反する姿勢に見えますが、共通点として納得できない一社には入らないという意思が確認できます。即決派は好機逸失の回避や現状打破の必要性を挙げ、条件の良い案件は早期に収束するという前提を意識しています。長期戦容認派はミスマッチ回避と後悔のない選択を重視し、慎重な検討を優先しています。いずれのスタンスでも、採用の厳格化を前提に応募の精度と選考準備の質を高める姿勢がうかがえます。活動のスピード感は個別最適に振れながらも、意思決定の軸として納得感が強く共有されている点が今回の特徴です。市場の厳しさを受け止めつつ、機会の見極めに重心が置かれています。
詳しくは「株式会社ワークポート」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















