高密度AIサーバを冷やし切るには何が要るのか。答えの一つが「直接水冷」と「モジュール型」の掛け合わせです。IIJ、Preferred Networks、JAISTは、白井データセンターキャンパスに水冷モジュール型データセンター「AImod」を構築し、2026年4月に本格稼働します。2025年に松江で試験稼働したAIアクセラレータ・システムをアップグレードした位置づけです。エネルギー効率と経済性を両立するレファレンスモデルの開発が狙いです。政府系プロジェクトの一環として、省エネ指標の策定と評価も進めます。
直接水冷×モジュール型の実装設計、指標と運用で「使えるAI基盤」を磨く
共同実施主体は、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社Preferred Networks、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学です。経済産業省とNEDOの公募事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(委託)」で、2023年に採択された「超高効率AI計算基盤の研究開発」に位置づけられます。AImodは白井データセンターキャンパスに実装され、2026年4月から本格稼働します。狙いは、Society5.0や経済安全保障を踏まえた国産インフラ技術の確立です。AI需要拡大に伴う電力増に対し、環境負荷低減も重視します。実運用での検証により、データセンターのレファレンスモデル化と省エネ指標の策定を進めます。
AImodの設計値が示されています。フリークーリングにより、モジュール単位の設計pPUEは1.1台(フリークーリングモード)と1.2台(年間平均)です。水利用効率WUEは0で、冷却に水を消費しない運用を前提にします。ブリードインポンプで供給水温を約17度から45度超まで可変にし、サーバとの協調制御を可能にします。冷却は水冷と空冷のハイブリッドで、水冷と空冷の構成は7対3がベースです。給電は三相4線400Vを採用し、変圧損失の低減とコスト面のメリットを見込みます。CDUやIn Row Coolingの採用を含む全体アーキテクチャが図示されています。
検証はワークロード起点で行われます。PFNとIIJは実際のAIワークロードで、効率と運用性を評価します。JAISTとPFNは、Software Defined Liquid Cooling Facilityを掲げ、水冷設備と水冷サーバの協調動作により、資源配分の最適化と効率化を研究します。PFN、IIJ、JAISTは共同で、PFNの次世代MN-Coreシリーズにおける水冷技術と高密度化の実証を行います。AImodは、レファレンスモデル開発と省エネ指標の評価を経て、AI基盤構築を支援するファシリティソリューションとして提供予定です。提供の詳細は、今後の実運用での検証結果を踏まえて案内されます。
背景には、国産の大規模商用AI計算基盤の実現という明確な目的があります。AI向け半導体や大規模ネットワーク、それらを高密度に冷却する技術といった要素を統合し、相互運用性まで見据えた基盤づくりを推進します。松江データセンターパークでの試験稼働からのアップグレードにより、実機での学びを白井に反映しました。エネルギー効率の見える化と共通指標の整備が、産学連携の重要な成果となります。AImod外観やイメージ図も公開され、CDUやIn Row Coolingの構成が示唆されています。
本取り組みは、エネルギー効率を示すpPUEや水利用効率WUEといった客観指標に加え、温度可変の水冷制御や400V給電など具体の実装で特徴づけられます。ワークロードでの検証、設備とサーバの協調制御、次世代MN-Coreの実証という三層で、データセンターの省エネと高性能の両立を図ります。運用で得た知見をファシリティソリューション化する計画は、導入側にとって構築と運用の不確実性を低減します。国産のAI計算基盤を商用スケールで具現化する一歩となります。
AI計算資源の需要が高まるなか、直接水冷モジュールのような実装知見の蓄積は重要です。省エネ指標の策定とレファレンスモデルの整備が、国内のAIインフラ高度化を後押しすると考えられます。
詳しくは「株式会社インターネットイニシアティブ」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部






















