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AIを超える「カオス」の力とは?東芝が開発した成功率100倍の神演算

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創薬や金融で鍵を握る組合せ最適化に大きな進展です。東芝は量子インスパイアード計算機「シミュレーテッド分岐マシン」を強化し、少ない試行で最適解に到達する成功確率を飛躍的に改善しました。新アルゴリズムは“カオスの縁”を活用します。第2世代比で約100倍の高速化という具体的成果が示されました。発表は2026年4月7日で、学術誌にも掲載されています。

“カオスの縁”を制御し成功確率を100%近くへ SB第3世代が示す新機軸

東芝は2019年に発表したシミュレーテッド分岐アルゴリズムを基盤に改良を重ね、第2世代で速度と精度を伸ばしました。今回の第3世代では、分岐現象を引き起こす分岐パラメータを従来の1個から位置変数ごとに割り当てる方式へ拡張しました。各パラメータを対応する位置変数に依存して個別制御する非線形制御を導入し、探索過程のダイナミクスを精緻に操ります。この結果、挙動は規則的状態とカオス状態の間を取り得るようになり、その境界である“カオスの縁”に到達したときに成功確率が急上昇しました。局所最適から抜け出しやすくなり、大域最適解へ至る確率を100%近くまで高めたと説明しています。2000スピンの全結合イジング問題で現象を確認し、異なる変数構成の問題でも同様の傾向を観測しました。

新アルゴリズムはTime to solutionを指標に実力を示します。第2世代SBMに対して約100倍の高速化を達成しました。ハードウェア実装ではFPGAによる超並列実装を活用し、第3世代でもSBアルゴリズムの高い並列性が維持されています。これらの成果は米国物理学会のPhysical Review Appliedに2026年4月6日付で掲載されました。組合せ爆発に直面する現実課題に対し、高速かつ高確率で最適解に近づく道筋が明確化した意義は大きいです。新薬候補空間の探索、配送ルートの設計、投資ポートフォリオの選定といった現場で、計算資源の抑制と探索効率の両立が期待されます。

背景として、組合せ最適化は候補数が指数関数的に増えるため、少ない試行で解を得ることが難題でした。第3世代の要は、位置変数ごとに設けた分岐パラメータの非線形制御です。非線形強度パラメータを調整すると、規則からカオスへ振る舞いが遷移し、その臨界で探索性能が突出します。イベントの再現性と並列性を確保しながら、解探索の多様性を引き出す点に特徴があります。図示の結果では、カオスの縁において既知最良解の発見確率がほぼ100%に達する様子が示されています。第2世代比で10〜100倍の高速側へプロットが並ぶことも確認されています。実装の観点では、FPGAによりスケールとレイテンシのトレードオフを最適化したと説明されています。

今後の展望として、東芝は量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」の強化に本技術を反映します。産業利用を想定した形で、創薬、物流、金融など多領域の課題解決に貢献する方針が示されています。XSLTや外部要素に依存しないこと、システム全体の並列性を維持することが、運用時の安定と拡張性に寄与します。適用対象の問題設定に合わせた分岐パラメータの設計と非線形強度の調整が、成功確率と計算時間の最適点に導く鍵となります。カオスの縁に合わせ込む調整過程は、問題構造や制約条件ごとに最適値が存在する可能性があるため、実験計画に基づくパラメータ走査が有効です。イジング定式化の品質と前処理も、到達可能な解の品質と速度に影響します。

見解として、 “カオスの縁”を戦略的に利用する設計は、局所解脱出の古典課題に対し実装性の高い解を与えます。TTSで約100倍という成果は、現場の計算コスト構造を変えるインパクトがあります。

詳しくは「株式会社東芝」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部

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