生成AIの普及により、AI活用は学習中心から推論中心へと軸足が移りつつあります。NTT、株式会社NTTデータグループ、NTTドコモビジネス株式会社は、AI活用の進展に合わせて最適な計算リソースやネットワーク、電力を統合的に提供するAIネイティブインフラ「AIOWN」の展開を発表しました。GPU高密度ラックに適した液冷対応や、分散配置された拠点間を結ぶ低遅延ネットワーク、機微データに配慮したセキュアな利用環境を組み合わせ、エッジまで含めた柔軟な設計を提供する点が特長です。国内160拠点超のデータセンター運用と、継続投資による国内シェアNo.1の基盤を背景に、拡張と高度化を加速します。東京都心の液冷標準データセンター計画や、印西・白井エリア、栃木の大型拠点整備など、多層的な供給体制を具体化しています。これにより、企業システムや社会インフラに組み込まれる推論需要の大幅な拡大を見据えた運用最適化が期待されます。
AIOWNが解決する課題と提供価値
AIが企業のコア業務や車、ロボットなどのフィジカル領域へ広がる中、インフラには高発熱対応と低遅延性、強固なセキュリティ、データ主権への配慮、そしてエッジまで含む柔軟性が求められています。AIOWNは、用途に応じたGPU等の計算資源、ネットワーク、電力を最適化し、分散拠点を横断する統合オペレーションを実現する枠組みです。データセンターの拡張や液冷対応の高度化を継続しながら、推論を中心に増大するAIワークロードを安定的に支えることを狙います。これにより、学習から推論、さらには社会実装までの一連の利用シーンで、必要な時に必要な分だけを確保する運用が可能になります。結果として、AI利活用の迅速な立ち上げと、運用コストの抑制、可用性の向上が見込まれます。さらに、機微情報の取り扱いに対してもセキュリティとデータ主権に配慮した環境を前提に構築されます。
国内データセンターの現状と液冷対応の優位性
NTTグループは47都道府県で160拠点以上のデータセンターを展開し、安定的な電力供給、低遅延かつ安全な利用環境を提供しています。継続的な投資により国内データセンター市場でシェアNo.1を確立している点が、AIOWNの土台となります。AI向けGPUの高性能化で1ラック当たりの電力が増加する中、NTTは空冷を超える効率を持つ液冷方式を標準装備可能な最新設備を導入しています。液冷を採用することで、空冷比で冷却用消費電力を最大60%削減できるとしています。高性能GPUを複数台収容可能なラック構成に対応し、ラック単位で液冷を利用できる柔軟性も備えます。液冷対応設備はグローバルで250MWを提供するトップランナーであり、次世代AIワークロードの高密度実装を現実的にします。これらの設備は、学習と推論を組み合わせたハイブリッド運用にも適合する前提で設計されています。
2033年度にIT電力容量約1GWへ。首都圏で多層的な拠点整備を推進
NTTは現状約300MWのIT電力容量を、2033年度に3倍超となる約1GWへ拡張する計画です。あわせて、複数拠点のGPUを柔軟に利用できるリソースマネジメント機能を順次拡張し、用途別に最適な配分を可能にします。東京都心部では、NTTドコモビジネスが液冷標準の高発熱サーバー対応AIデータセンター建設を開始し、2029年度下半期のサービス提供開始を予定しています。JR山手線沿線の駅から徒歩約5分の立地で、機器導入や保守の利便性を確保しつつ、クラウド事業者の接続ポイントやIXに近接した低遅延・高信頼のネットワーク接続を実現します。栃木県では、NTTデータグループが栃木インター産業団地に大規模データセンターTCG11を整備し、2029年竣工、最終的にIT電力容量約100MWへの拡張を計画しています。さらに、千葉県の印西・白井エリアでは国内最大級のデータセンターキャンパスを段階的に整備し、IT電力容量合計約250MWまで拡張する計画です。
エネルギー効率と地域連携。超省エネ型サービスとまちづくりの連動
東京都心のAIデータセンターでは、AI用途別に最適化された液冷フロアを標準装備し、高性能GPUを搭載した液冷サーバーに対応する超省エネ型コロケーションサービスを提供予定です。低消費電力なデータセンターやネットワークの提供により、企業のGXにも貢献するとしています。印西・白井エリアでの拠点整備は、白井市とNTTグループの包括連携協定に基づき、データセンター開発を起点とする地域の持続的発展と共生を志向しています。都市型と遠隔地型のデータセンターを組み合わせた多層構成により、学習から推論まで幅広いニーズをカバーする基盤を構築します。これらの一連の取り組みは、AI利活用拡大のボトルネックとなる発熱、電力、遅延、セキュリティの要件に対し、包括的に応える体制づくりと位置付けられます。加えて、需要に応じて短期に設置可能なコンテナ型データセンターの提供も計画され、設置場所や規模、設備を柔軟に選べるラインナップを展開します。
今後の提供体制と利用の見通し
AIOWNは、企業活動や社会インフラに組み込まれる推論需要の拡大を支え、必要なリソースを必要な時に必要量だけ届けることを目指します。NTTグループは、データセンターの拡張と液冷対応の高度化、低遅延ネットワーク、セキュリティやデータ主権への配慮を一体で提供し、統合的なオペレーションを通じて安心で最適な運用を支援します。東京都心、栃木、印西・白井エリアにおける計画は、2029年から順次稼働を見込み、2033年度に向けた容量拡張とともに、AI学習から推論、実運用までをカバーする多層的な基盤を段階的に整えます。国内47都道府県へ広がる拠点網と、グローバルでの液冷対応250MWの提供力が、AIOWNの持続的な供給を支える基礎となります。これにより、AI活用の現場で求められるスケール、効率、信頼性の要件に対して、実装可能な選択肢が拡充されます。NTTグループは今後も、AI活用に必要なリソースをニーズに合わせて届け、事業成長を支える方針です。
詳しくは「NTT株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















