株式会社NABLA Mobilityは、スカイマーク株式会社が運航最適化ソフトウェア「Weave」を正式導入することを発表しました。対象は巡航区間における運航最適化で、パイロットの意思決定をAIで支援し、燃料削減を一層推進します。スカイマークは温室効果ガス削減を重要な経営課題に据え、機材刷新やSAFの活用、運航効率化を包括的に進めており、今回の導入はその一環です。導入前のトライアルでは燃料削減効果の定量評価を実施し、明確な効果が確認されたため、正式採用に至りました。今後は巡航区間の最適化を通じ、脱炭素と燃料コスト最適化を両立し、より高品質な運航を目指すとしています。スカイマークに導入される新機材としてボーイング737-8にも言及があり、装備更新とデジタル活用の両輪で取り組む姿勢が示されました。
導入の背景 巡航区間の最適化は安全と定時性の両立が障壁
スカイマークは、温室効果ガス削減に向けた複数施策を推進してきましたが、巡航区間での最適化は難易度が高い領域でした。安全性の確保や定刻での離発着といった要件と燃料削減を同時に満たす必要があるため、改善余地の厳密な定量化が課題でした。従来は燃料削減の多くが飛行後データの事後分析を通じた次回以降の改善という手法で、リアルタイムの意思決定を直接支える仕組みは限定的でした。巡航は一定の高度や速度で長時間運航する区間であり、気象の影響を強く受けます。気象の不確実性が高い状況では、燃料や到着時刻に及ぼす影響を瞬時に見積もることが難しく、各パイロットの経験や利用可能な限定的情報に判断が依存していました。結果として、燃費改善のポテンシャルがあっても再現性の高い運用に落とし込むことが困難でした。これらの課題が、意思決定支援ソフトウェア導入の必要性を後押ししました。
Weaveの機能 各種データ統合で高度・速度の最適解を提案
Weaveは、各機体の特性や重量、最新の風向風速や気温といった気象予報、乱気流リスクなどの多様なデータを統合し、巡航区間における最適な高度と速度を提案します。従来のように経験と限定情報に依拠するのではなく、燃料消費や到着時刻への影響を可視化することで、定量的で再現性のある運航判断を支援します。パイロットはEFB上のアプリとして利用でき、運航管理者はパソコンのウェブブラウザで参照可能です。これにより、コックピットと地上が同じ前提情報を共有し、運航の狙いを一致させやすくなります。最も燃料消費が大きい巡航区間でリアルタイムの意思決定を支える点が特徴で、安全性と定時性を前提に最適化を進めます。乱気流リスクを踏まえた提案は、快適性と安全マージンの確保にも資する構成です。結果として、安定的に燃料削減を積み上げる運用が可能となります。

トライアルの結果と正式導入 明確な燃料削減効果を確認
スカイマークは正式導入に先立ち、トライアル期間を設けて燃料削減効果の定量評価を実施しました。評価の結果、明確な燃料削減効果が確認され、導入の有効性を認識したことから正式採用が決定しました。リアルタイム支援により、従来の事後分析中心のアプローチでは難しかった即時の最適化が可能になり、運用現場の再現性向上につながったとしています。今後は巡航区間の最適化を通じて、脱炭素化の推進と燃料コストの最適化を継続し、運航品質のさらなる向上を図ります。気象の不確実性が高い状況でも、安全確保とCO2排出量削減の両立に挑む姿勢が示されています。現場の細かな声に耳を傾けながら機能進化を続けている点も強調され、継続的な改善サイクルの実装が期待されます。運航管理とパイロットが同一基盤を参照できる運用は、現場定着に有効です。
関係者コメント 安全と定時性を前提にデータ活用を根付かせる
スカイマークの代表取締役社長執行役員 本橋学氏は、最も燃料消費の大きい巡航区間で最新の気象や乱気流リスクを踏まえた最適解を提示することが、本当に求めてきたソリューションだと述べています。安全性と定時性を大前提にリアルタイムの意思決定を支援できる点を評価し、NABLA Mobilityが現場の声に丁寧に向き合いながら製品を進化させていることに期待を寄せています。株式会社NABLA Mobilityの代表取締役兼CEO 田中辰治氏は、燃料削減にとどまらず、データとAI・機械学習を活用した意思決定の高度化を現場に根付かせる重要な一歩と位置づけ、連携を通じて運航コスト改善と脱炭素推進を両立する新たな運航の在り方を実現していくとコメントしています。両者のメッセージはいずれも、品質維持と効率化を同時に達成する方向性を明確にしています。導入効果の持続と拡大に向け、継続的な連携が示されました。現場からのフィードバックを反映し続ける開発体制が、運用への浸透を後押しします。
NABLA Mobilityとスカイマークの概要 取り組みを支える事業基盤
NABLA Mobilityは、航空会社の運航効率とレジリエンス向上、脱炭素化を支援するデジタルソリューションを提供しています。主力製品のWeaveに加え、地上の運航管理者向けに遅延リスクを予測するOperational Forecaster、航空機性能エンジニア向けにNOTAMなどの障害物データ管理を高度化するOBSTなど、複数製品を展開しています。現在は事業拡大に向けた人員強化と新製品開発を進め、航空業界の効率化と脱炭素化に挑戦する人材の募集も行っています。スカイマークは1998年に就航し、Boeing 737-800型機を29機保有、国内12空港24路線を運航しています。高い運航品質とシンプルで心のこもったサービスを身近な価格で提供するビジネスモデルを追求し、JCSIの国内長距離交通部門で顧客満足第1位を計4回獲得しています。装備更新とデジタル技術の活用を組み合わせる基盤が、今回の取り組みを下支えします。
詳しくは「株式会社NABLA Mobility」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















